備中神楽と言えば高梁市や井原市を思い浮かべる人が多いでしょうが、備中国の一部であった足守にも、神楽太夫(神楽を演じる人)が何人もおられたそうです。
その一人である小林弘照先生(故人)が、神楽面の製作を高梁の春山流(しゅんざんりゅう)で学び講師となって、昭和61 年に足守公民館の神楽面講座が始まりました。クラブ講座として30 年以上継続しています。
開講当時は20 人以上の講座生がおり、その中から上達した方が講師となって高松公民館、一宮公民館でも講座が始まりました。
講師(写真中央)の話に聞き入る受講生
参加歴28 年という方から今年度より始めたという方まで、現在9名が月2回活動しています。「昔から神楽が好きで見に行きよるうちに、(面を)彫らにゃおえんと思うて」と言われる方、お姑さんがクラブに参加されていて、その時の作品を手本に同じ鬼の面を制作中の方、40 代の頃に1 年間没頭した面彫りを15 年のブランクを経て再び始められた方、彫っていたら気持ちが穏やかになるという方、彫った作品を海外にいる親戚に送ったら喜ばれるという方など。
かつては、足守地域でも神社の祭りの際に神楽が舞われていました。公民館では、今後こうした地域に伝わる郷土芸能を知るような講座を計画していきたいと考えています。
「手力男命」(たじからおのみこと)の面彫りに集中している受講生
※備中神楽とは…昭和54年に国の重要無形民俗文化財に指定された岡山県の郷土芸能。
備中地方に伝わる。荒神様(産土神)を招き五穀豊穣、家内安全を祈り演じる神事。