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#31 令和2年度岡山市立公民館大会「若者と地域をつなぐ公民館」レポート

[2021年2月24日]

ID:43177

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「岡山市立公民館基本方針」が策定されてから2年。岡山市の公民館では、「ともに 私たちが 未来をつくる 開かれた公民館」という理念が掲げられ、市民が公民館の運営や事業に積極的に参画し、公民館とともに自ら学びを作り出していくという取り組みが進められています。 

この基本方針を活かした新たな取り組みの成果と展望を4つのテーマで語り合う、岡山市立公民館大会が今年も開催され、その中のひとつ、1月30日に操山公民館で行われた「若者の地域参画~若者と地域をつなぐ公民館」を取材しました。

岡山市公民館大会の様子1
岡山市公民館大会の様子2

公民館が、若者と地域をつなぐ橋渡しを

はじめに、東山公民館主任の藤山宙子さんから、公民館振興室「若者の地域参画ワーキンググループ」でどのような検討がなされてきたのか、報告されました。

現在、残念ながら公民館活動への若者の参加は少ないそうです。インターンシップや社会教育主事の実習で公民館を訪れた大学生に話を聞くと、学生にとっては公民館の存在自体が希薄で、「高齢者や子どもが行くところ」というイメージをもっていることがわかりました。しかし、社会に出る前に、何か社会貢献活動に参加してみたいという意欲のある声も、予想以上に多かったそうです。その一方で、町内会や婦人会など地域の諸団体からは、若者がなかなか地域活動に参加してくれない、次世代の育成もままならないという声も……。若者と地域の間を取り持つコーディネーター役が、公民館サイドでうまくできていないのではないかという問題提起がなされました。

また、大学や大学の教員が、学生と公民館をつなぐキーパーソンであることもわかってきました。公民館はこれまで、小中高の学校とは連携を密にしてきましたが、大学や大学の先生とのつながりができていなかった、今後は連携を積極的に進めていきたい。このように、2年間の調査で見えてきた、課題と今後の方向性についての報告でした。

藤山さんの写真

藤山さん

「自分が住む場所だから、楽しい場所にしていきたい」

中里さんの写真

中里さん

次に、IT関連会社経営・カフェ「omoや545」経営の中里真一さん。移住者から見た地域の魅力や課題について話されました。

IT関連のエンジニアである中里さんは、東京生まれの東京育ち。ライフスタイルに疑問を持ったことから、平成30(2018)年に岡山市の御津地区へ移住しました。
中里さんは、移住の下見に来ていた頃から、地域の人とのコミュニケーションを重ねてきました。移住後半年で、庭先でピザパーティーを開いて地域の人を招くなど、良好な関係を築いています。

その後、中里さんは地域の一員として、様々な活動を担っていきます。農産物販売所「青空市場五城村」の手伝いを始めたことから、平成31(2019)年に活動を継承。老朽化した建物を有志で改修し、段階的にリニューアルしています。また、伝統行事「棒使い」や、田んぼでスポーツを楽しむ「どろりんピック」など、わくわくするような地域の活動が紹介されました。

移住翌年には、岡山市の「地域の未来づくり推進事業」の認可を受け、「縁を紡ぐ家再生プロジェクト(えんつむプロジェクト)」を始動。旧庄屋邸を、地域の人の力を借りながら再生し、移住者支援の拠点にしていくプロジェクトです。昨年11月には、この再生古民家で、アレルギーフリーのスイーツ&イートインカフェ「omoや545」をオープン。楽しみながら地域を元気にしていく様子に、会場からは熱い視線が注がれました。

omoや545の写真

omoや545

棒使いの写真

棒使い

「どろりんピック」の様子

どろりんピック

「縁を紡ぐ家再生プロジェクト」の様子

縁を紡ぐ家再生プロジェクト

大学と公民館の連携で若者の地域参画を

就実大学人文科学部総合歴史学科准教授の中塚朋子さんからは、大学の社会教育主事課程の科目の中で、公民館との連携が行われていることが報告されました。

社会教育主事課程は、今年度から新課程に変わり、社会教育実習が必修となりました。従来、実習は夏休み期間中に90時間(約2週間)行っていましたが、実習先の負担になっている面もあったといいます。必修化に伴い、中塚さんは公民館振興室と協議。その結果、1年間を通して、企画から実習報告までを、大学と社会教育施設との間で行えるようになりました(令和4(2022)年度から実施予定)。

平成31(2019)年度、就実大学人文科学部は、御津公民館と連携協定を締結。これにより、学生たちは企画を立てるだけでなく、その企画を地域の人々との関わり合いの中で実行し、身をもって経験することができるようになりました。

外国の方と軽食を共にしながら地域住民が交流する「多文化カフェ」、親子連れを対象に、楽しみながら防災を学ぶ「御津防災キャンプ」、御津地域の鳥獣害を考える「猟師が作る本気のシシ鍋講座」など、多彩な活動を行っています。

「こうした活動の積み重ねにより、学生たちも地域の方々とのつながりが深まり、次の活動に展開していくのではないか」と中塚さん。この日、社会教育を学ぶ就実大学の学生のなかから2名ほど、シンポジウムやワークショップに参加していました。

中塚さんの写真

中塚さん

シシ鍋講座の様子

シシ鍋講座

多文化カフェの様子

多文化カフェ

御津防災キャンプの様子

御津防災キャンプ

公民館が大学生のイベント企画を応援

最後のパネリストは、ノートルダム清心女子大学3年生の角名咲さん。角名さんからは、北公民館で「はたらくかふぇ」を行った体験談をお聞きしました。

角名さんはかねてより、大学生の早い段階から就職活動や仕事について関心をもつべきだという問題意識をもっていました。社会人の話を聞くことで、1~2年生のうちからイメージを掴んでもらおうということで、この「はたらくかふぇ」を発案しました。

そこで、大学生の企画を実現するための「あなたのやりたいこと×公民館応援プロジェクト」事業に応募。開催までに、角名さんは公民館に何度も足を運び、打ち合わせを重ねました。

「やりたいという思いはあっても、一人では実現できなかった。公の施設をお借りして、講師への謝礼は公民館に用意していただくことで、開催する側も参加する側もハードルが下がったと思う。公民館が学生を応援したいという気持ちが伝わってきた」と、角名さんは話します。

大学1~2年生を対象とした、この「はたらくかふぇ」は、3月にも開催予定。1回目の反省点を改善し、また、2回連続の参加者がいれば、前回からの変化も知りたいと意気込みを語りました。

角名さんの写真

角名さん

「はたらくかふぇ」説明の様子

はたらくかふぇ

参加者それぞれの活動に活かす

パネリストの発表後には、参加者同士でグループに分かれ、感想や疑問点などの話し合いがもたれました。

「自宅の庭でカフェを開きたいが、どのように誘ったらいいかわからない」「学生ボランティアを募集したことがあるが、大学によって窓口が違うので大変だった」「学校の先生に公民館をもっと知ってほしい」などの意見が出されました。

以前、このコラムで紹介したことのある「発達障害者支援グループ連絡会」の後藤智子さんも参加されていて、「これまで支援の必要な子どもたちは、親が子どもたちのやりたいことを見つけてイベントを企画し、用意してきた。これから私たちの子どもも成長して『若者』になっていく。支援の必要な子どもたちも、自分たちで実現する力をつけてほしい。公民館が若者の活動を応援していることを知り、とても心強い」と発言。

参加者それぞれの活動に、こうした取り組みが一層活かされ、若者と地域のコラボレーションが進んでいくことを感じさせる公民館大会でした。

岡山市公民館大会の様子3

お問い合わせ・連絡先

岡山市教育委員会生涯学習課 公民館振興室
岡山市北区幸町10番16号
電話:086-234-6015 FAX:086-234-6016