「箏曲三上社」は、日本古来の弦楽器「箏」による邦楽の演奏を通じて、日本の伝統音楽である邦楽文化の普及や発展を目指して活動を続けている団体です。
1939年(昭和14年)、地元の岡山で教授をしていた初代宗家の三上澄恵氏が上京し、当時活躍していた箏曲家の宮城道雄氏、作曲家の久本玄智氏に師事。1960年(昭和35年)に作曲活動を開始、翌年の1961年(昭和36年)、お弟子さん達と共に「箏曲三上社」を岡山で創設しました。
現在は二代目宗家三上澄山さんが代表を務め、稽古場での個人レッスンや会員による教室や講習会を実施。1年間の集大成となる春の定期演奏会では、総勢約120人の会員が日ごろの練習の成果を発揮しています。
「箏曲」とは、箏が主となる音楽を総称した言葉で、古典的な邦楽の一種。箏は元々中国から伝わった弦楽器で、13の弦を演奏用の爪で弾いて音を響かせます。邦楽に馴染みのない方には「お琴」というとイメージしやすいかもしれません。厳密にいうと「箏」と「琴」は異なる楽器ですが、一般的に「お琴」と呼ばれているものがこれにあたります。箏曲には歌の入った歌曲や、三絃(三味線)・尺八といった和楽器との合奏も含まれます。
箏曲の魅力は、何と言っても繊細で美しい音色にあります。弾くとすぐに音が出せるので、音が響く瞬間の感動や楽しさに惹かれて始める方も多く、初心者でも親しみやすい楽器です。弾き方によって何通りにも音色が異なり、音の出し方、間の取り方一つとっても実に多彩な表現ができます。
そして四季や情景、人の感情を豊かに表した邦楽にも日本人の心に響く普遍の良さがあります。敷居が高いと思われがちですが、日本人にとって身近なものであり、知れば知るほど奥の深い伝統文化です。
今回は、尺八の講習会に向けた練習の様子を拝見しました。この日は4名の中堅メンバーが、尺八の伴奏曲「龍樹」を箏と三絃2名ずつに分かれて合奏しました。「一つひとつの音を意識し、キレイな音の伸びと余韻を大切に」と話すのは、副宗家の三上澄之さん。
特に合奏では、みんなの音をキレイにそろえるのが難しいポイントで、チームワークを高めて気持ちをひとつにすることも大事だと語ります。今回練習している4人の息はぴったり。お互いにパートを確認し合いながら、和気あいあいとした雰囲気で練習が進みました。
箏曲三上社は、月4回程度の個人レッスンを主体として活動しています。また、おさらい会と呼ばれる合同練習や、著名な作曲家や演奏家を講師に招いた講習会も実施しており、会員の能力向上やモチベーションのアップを図っています。
箏曲三上社の大きなイベントの一つに、年1回の定期演奏会があります。次回は2019年4月14日(月曜日)に岡山市民会館にて開催予定。会員約300人の中から希望者を募り、子どもからシニアまで100人超の会員が演奏を披露します。誰もが楽しめるバラエティに富んだプログラムの中でも、数十名もの奏者が大合奏する華やかなステージは、まさに圧巻の一言。初めて箏曲に触れる方から愛好家まで毎回注目を集めています。
「先人達の優れた知恵によって400年以上も続いてきた邦楽の伝統を、大切に守り伝えていきたいと願っています。年齢を問わず気軽に楽しめて、ずっと長く続けていける奥深さを体験してみてください」と語る三上澄山先生。
興味を持たれた方は、まずは下記の連絡先にお問い合せください。
《主な活動》
箏曲三上社
岡山市北区丸の内1-7-1
TEL:086-223-8961
FAX:086-232-6339