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#34 若者と地域をつなぐ公民館~坪田譲治で地域を盛り上げる

[2021年12月20日]

ID:43209

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児童文学作家・坪田譲治を通じて、ふるさとの自然を考える

日本における児童文学の第一人者として活躍した坪田譲治(明治23(1890)年-昭和57(1982)年)は、現在の岡山市北区島田本町で生まれ、代表作「お化けの世界」「子供の四季」など、独自の世界観で書かれた小説や随筆などの文学作品を残しました。

自然豊かな明治期の岡山で少年時代を過ごした譲治は、身近にある田畑や川、水辺の生き物をこよなく愛し、多くの作品の中でふるさとの自然や生き物の様子、幼い頃の日常風景を描いています。

そんな岡山の偉人、坪田譲治の魅力を伝え、地域を盛り上げる活動を続けているのが、ノートルダム清心女子大学の学生有志による「ツボジョーワールド探検隊」です。作品から岡山の環境問題へと視点を広げ、未来に残したいふるさとのあり方について考えてもらうための取り組みを行っています。

この活動が、岡山市の公民館が掲げる「市民と共につくる、開かれた公民館」の理念とマッチし、若者の地域参画事業として形になりました。今回は岡西公民館、京山公民館と合同で開催されたセミナーをレポートし、市民と公民館で取り組む豊かな街づくりについて紹介します。

岡西公民館外観
岡西公民館会場風景

【岡西公民館外観と岡西公民館会場風景】

「坪田譲治がつなぐ私たちのふるさと」レポート

2021年11月21日に開催された「坪田譲治がつなぐ私たちのふるさと」は、ノートルダム清心女子大学「ツボジョーワールド探検隊」が主催し、坪田譲治ゆかりの川や水辺の生き物について、参加者と楽しみながら学べるプログラムを企画。合同セミナーとして、岡西公民館と京山公民館の2会場をオンラインでつなぎました。

今回取材を行った岡西公民館には、「ツボジョーワールド探検隊」のメンバーがスタンバイし、地域住民を中心とした岡西公民館48人、京山公民館15人の参加者が訪れました。

京山公民館とオンライン開催の様子

【京山公民館とオンライン開催】

ノートルダム清心女子大学「ツボジョーワールド探検隊」の取り組み

発表風景
用水の水質調査

【発表風景と用水の水質調査】

はじめに「ツボジョーワールド探検隊」のメンバーで、大学3年生の渡邊さん、圓山さん、井上さん、田中さん、大学2年生の鈴木さんの5名が坪田譲治について説明し、作品に登場するドンコツという魚やナマズ、カエルといった川の生き物をスライドで紹介しました。近所でフナ釣りやカニ捕り、舟遊びを楽しんでいた譲治の少年時代を振り返ってみると、身近な場所にも生き物の棲む清らかな水があり、川と人々の暮らしが密接に関わっていたことが分かります。

この日は自主制作した2冊の紹介冊子が参加者に配られました。イラストをたくさん盛り込んだ読み応えのある内容で、参加者からも「大人から子どもまで楽しく読める」と好評でした。

次に、石井学区を流れる「能登川用水」と京山学区を流れる「観音寺用水」について調査した内容を発表。メンバーの1人は、2つの用水路の水質の良さについて触れ、「街中にも環境の整った川があることに驚いた」と話しました。続いて京山地区住民の方からも「水と緑の活動」について報告があり、参加者は自分たちの住む地域の川や環境について、興味深く耳を傾けていました。

探検隊が作成した冊子
ツボジョー体操

【探検隊が作成した冊子とツボジョー体操】

セミナーの後半では、メンバーが自ら作詞・作曲・振付をした「ツボジョー体操」が披露され、参加者もお手本の映像を見ながら楽しく体を動かしました。

絶滅危惧種「ダルマガエル」の保全プロジェクトを紹介

メディア部の発表
ダルマガエル保全活動お米

【メディア部の発表とダルマガエル保全活動:お米】

坪田譲治の作品にはカエルがよく登場し、水田にケロケロと鳴き声が響く、懐かしいふるさとの原風景を思い出させます。この日は、岡山市大野学区の田んぼに生息する絶滅危惧種の「ダルマガエル」に関する活動が取り上げられました。

セミナーでは、大安寺中等教育学校のメディア部が制作したダルマガエルに関する映像作品を上映。この作品は「第44回岡山県高等学校総合文化祭 放送文化部門県大会」で優勝、「第45回全国高等学校総合文化祭」で優秀賞を受賞という快挙を成し遂げています。

上映後はメディア部代表の浦上さんが、約1年に及んだ撮影秘話を話しました。作品の中では、ダルマガエルに関する調査や保護活動を行う「おかやま大野ダルマガエル保全プロジェクト」の取り組みを取材。同プロジェクトは保全活動を通じて地域の輪を広げ、自然環境と調和した魅力ある街づくりを目指しています。

保全活動の一環として生産するブランド米「大野ダルマの大合唱」は、化学肥料を使わず完熟たい肥や有機質肥料を使って育てた特別栽培米です。ダルマガエルの生息する田んぼでつくられる安心安全なお米で、一人でも多くの人に保全活動を知ってもらうことを目的にしています。店頭販売ではなく、イベントや直接注文で販売を行っているそう。この日は会場内に可愛い1kgサイズの袋を並べて、販売受付を行いました。

クイズ大会の風景1
クイズ大会の風景2

【クイズ大会の風景】

最後は坪田譲治にまつわるクイズ大会を開催。京山公民館では学区の子ども達も参加し、オンラインながら2会場が一体となって大いに盛り上がりました。勝ち抜けた2会場の各優勝者には「大野ダルマの大合唱」がプレゼントされました。

学生や市民との連携で地域活動をサポート。開かれた公民館を目指す

講義や体操、クイズ大会など、多彩なプログラムで楽しく坪田譲治の魅力を伝えた「ツボジョーワールド探検隊」。学生メンバーのみなさんは、『私たちが公民館でできることは何だろう?』と考え、譲治作品に出てくる川をキーワードに文学と地域の環境保全活動がつながるテーマを企画しました。8カ月前から準備を重ねてきたので、来場された方々が最後まで熱心に聴講してくれてうれしいです」と、今回の企画について振り返りました。

続けて、「公民館の方には用水路の調査からリハーサルまでお世話になり、たくさんの力をお借りできたことに感謝しています」と話してくれました。

今回の企画を担当した岡西公民館の細川さんは、「初の合同開催ということで、接点が少なかった京山公民館との交流が生まれ、各自の活動について情報共有できたことは大きな収穫でした」と話し、「学生と地域の活動がつながった非常によいテーマだと思う。連携し合うことで公民館の活動も発展し、地域づくりに活かせるのでは」とまとめてくださいました。

坪田譲治の文学を通じて、自分たちの住む街への興味を深めるきっかけとなった今回のセミナー。公民館が地域に開かれた拠点となり、交流や学びの機会を生み出していくことに期待のふくらむ一日となりました。

お問い合わせ・連絡先

岡山市立岡西公民館
TEL:086-253-7581
岡山市北区下伊福西町1-48

岡山市立京山公民館
TEL:086-253-8302
岡山市北区伊島町2-9-38

ノートルダム清心女子大学 文学部 日本語日本文学科