「シニアスクール」とは、高齢者を対象としたシニアのための教室です。小・中学校の空き教室を利用して、高齢者の学び直しや生きがいづくりを目的に、1年間子どもたちと同じ学び舎で勉学に励んでいます。
教育機関という場所にて高齢者と子どもたちがともに過ごすことで、核家族化が進む社会の中でも子どもたちの健全育成や、世代の壁を超えた心の交流、そして人間的なつながりが育まれ、魅力的な空間となっています。
2004年(平成16年)全国初の取り組みとしてスタートとした「シニアスクール」は、現在、岡山市の3校(岡輝中学校、清輝小学校、岡南小学校)で約50名のシニアたちが日々勉学に励んでいます。
「NPO法人子どもたちと共に学ぶ教室シニアスク-ル」は、学校との調整、学習プログラム、講師・担任の確保、子どもたちとのふれあい交流の機会づくりの企画・運営など、これらシニアスクールに関わる全てを一手に担っており、各地域の健全化と活性化に寄与することを目的に日々活動しています。
「シニアスクール」は、毎年4月、1年生と一緒に入学式を行います。授業数は学校によって異なりますが、週1日から週3日、子どもたちと同じように朝登校し、午後まで授業を受けます。日直や給食当番、掃除ももちろん自分たちで行います。授業教科も子どもたちと同じ9教科。自身が子どもの頃には無かった英語の授業だって、「この歳になって新しいことを学べることが嬉しい!」と真剣に取り組んでいます。
子どもの頃に還ったように、同じ世代の友達と楽しく授業を受け、となりの教室では子どもたちの賑やかな声が聞こえる、そんなシニアスクールという新たな居場所が、生徒の喜びや楽しみ、生きがいにもつながっているようです。
「楽しく学べて給食あり。宿題・テスト・卒業はないから子どもの頃より最高です!」と生徒たちは楽しそうに語ります。
授業は主に午前中に4教科、給食を食べて、午後に1教科を学びます。先生を務めるのは、定年退職後の元教師や塾講師の方など。専門分野で活動されていた方なども特別講師を務めます。生徒だけでなく、先生という立場でもシニアの方が再び活躍する機会にもなっています。
黒板や教科書・資料を見ながら、熱心に先生の話を聞きノートをとる生徒たち。宿題やテストがなくとも、学べる喜び・楽しさが感じられます。
基本的には各学校それぞれで入学をし、さまざまな授業を受けますが、岡輝中学校・清輝小学校・岡輝小学校のシニアスクール3校合同授業も定期的に行っています。学校は違えど同じスクールに通う者同士、すぐに仲良くなり楽しい会話がはずみます。チーム対抗戦などでは額に汗しながら、みんなで協力し合い、団結力が育まれています。
この取り組みの元々の目的は”子どもたちのため”でした。学校に地域の人々がたくさん出入りし、交流を広げることで子どもたちの健全な育成につながると考え、実際にその効果も十分にありました。そのうち、この取り組みは子どもたちだけでなく、シニアの方たちのためにも大きく役立っていると感じられようになりました。シニアの方たちは、自分たちがいることで学校が良くなっているという喜びや役立ち感を感じながら、授業を介した学び直しによる自身の成長、そして何より子どもたちと触れ合ったり同世代の仲間と楽しく交流できることが、この取り組みの大きな意味となりました。
「シニアスクールには、卒業式がありません。学びたい、地域の役に立ちたいというシニアの方たちすべてに開かれた教室です。今通ってくださっている生徒の方はもちろん、興味のある方は、ぜひ一緒にシニアスクールに通いませんか?みんなで地域全体を良くしていきましょう!」と代表の竹内さん。(2017年取材当時)
興味のある方は、体験入学から参加してみませんか。
NPO法人子どもたちと共に学ぶ教室シニアスクール
岡山市北区岡町12-17 岡輝中学校内 (代表:川上洋一)
電話:086-232-0056