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2026年度第2回ESDカフェ「『ふつうの暮らし』、未来とつながっています―衣・食・住から考える環境問題―」

[2026年8月26日]

ID:84865

2026年度第2回ESDカフェ「『ふつうの暮らし』、未来とつながっています―衣・食・住から考える環境問題―」

  • テーマ:「『ふつうの暮らし』、未来とつながっています―衣・食・住から考える環境問題―」
  • 開催日時:2026年7月23日(木曜日)18時30分から20時
  • 開催場所:岡山TONKAN(岡山市北区奉還町二丁目9-10)およびオンライン(Zoom)
  • ゲストスピーカー:大同 唯和(だいどう ゆな)さん

「環境問題」というと地球規模の問題で、自分の暮らしとはかけ離れたイメージを描きがちな部分があります。今回のESDカフェでは、これまで幅広く環境問題に取り組んできたユースが、衣・食・住を切り口に、暮らしと環境のつながりについてわかりやすく語ってくれました。会場には14名、オンラインでは10名が参加しました。

環境問題に対する取組

岡山育ちで、今春京都大学を卒業し、9月からオランダの大学院に進学する大同さん。

大学で生物多様性を専攻する一方で、環境NPOのインターンシップ生として気候変動についても学び、京都だけでなく故郷でも岡山市主催の環境に関するシンポジウム、企業や学生を対象とした環境に関する講座で学生モデレーターとして活躍してきました。留学前に地元の役に立ちたいと、ESDカフェへの登壇に至りました。

環境問題に踏み込んでいくきっかけは、高校1年生の時に岡山で開催された「市民・地域共同発電所全国フォーラム」への参加でした。大学生から身近に取り組む気候変動対策について情報を得たことで、自分にも何かできそうだと感じたそうです。

環境活動を推進する組織のユースチームにも所属して精力的に活動に参加、また、フィリピンでマングローブを守る植林ボランティアなども経験し、体験と知識を増やしていきました。
ゲストの自己紹介

身近で危機的な環境問題

「環境問題という言葉で思い浮かぶことは?」との問いかけには、「豪雨」「身の回りの全てが環境に関わる」などの意見が出ました。「環境問題は身近な問題か、規模の大きい問題か?」との問いには、約半分が身近に感じるとの反応でした。

昨年行われた全国アンケートによると、国内の環境問題で「危機的と感じること」として回答者の約半数が「気候変動」を上げました。一方で、18~24歳のZ世代では「環境問題で危機的に感じることはない」と回答した人が13%に上り、自分ごととして捉え、取り組んでいくことの必要性が改めて確認されました。

「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」といわれる、人類が地球上で持続的に生存・発展していくために、越えてはならない環境負荷の許容限界を示す9つのデータが紹介され、気候変動と生物多様性はすでに限界を超えていることも共有されました。

会場の様子

多様な環境問題の今

2026年2月の国連の会議で、気候変動対策は国の義務であることが合意されました。岡山市の2025年の猛暑日(35℃超)の日数は45日。だからこそ、気候変動への緩和(今の状況を改善する)と適応(今の状況に対してうまく対応)が必要となります。気候変動指数マップによると、今の気温上昇は変動前と比べて5倍高く、今後さらに高くなる可能性が示されています。

こうした状況は、生物多様性にも大きな影響を与えています。森林伐採は、CO₂吸収源だけでなく生物の住処の消失にもつながり、経済活動を通じた外来種の侵入による生態系汚染にも影響を及ぼします。こうした状況を踏まえ、国連は2030年までに自然・生物の損失や絶滅を止めてプラスにする世界の約束「ネイチャーポジティブ」の取組を進めています。日本国内でも取組を進める企業がありますが、今回の参加者の半数は初めて聞いたとの反応でした。

続いて、環境汚染に関してです。日本のプラスチック製造量は世界3位。プラスチックの原料となる原油の使用は、地球温暖化の主要な原因のひとつです。岡山市では家庭でのプラスチックごみの分別が始まっていますが、実はリサイクルの工程でCO₂が排出されるという側面もあります。また、海洋プラスチックごみは、2050年には海の魚の量を超えることも予測されています。環境汚染を改善するためには、「使う量を減らす」ことが重要です。


発表の様子

私たちの暮らしと自然

2015年の調査によると、家計消費に伴う温室効果ガス排出量は、住居、移動、食、レジャーなど約6割を占めています。日々の生活における選択が大きな影響を与えていますが、取り組めることもたくさんあります。

家庭の排出量の約半分は電気によるものです。化石燃料を使う電気と再生可能エネルギーによる電気の値段は、ほぼ同じ価格になってきました。大同さんの下宿先でも、再エネ電力に契約変更した話を幾つか耳にしたと言います。

家の断熱効果を高めることも大切です。小学校の事例では、21%の電力が削減できたとの報告もあります。移動では、日々の通勤通学を車から公共交通や自転車に変えることが排出削減につながります。また、飛行機移動を鉄道に変えると、CO₂排出量は約1/5も減少します。

食に関して、2022年の日本のフードロスは472万トン、これは1人あたり毎日おにぎり1個を捨てている計算になります。ロスになる食品の生産に係るCO₂排出量は1046万トン、これを1年間で吸収するには、杉が11億9千万本も必要になるほどです。

暮らしの身近なところでは、「今年は野菜が高い」「例年は売っているのに、今年は売っていない」などの声も聞こえてきます。農産物の殆どは土壌で育てられ、受粉で実をつけます。水も欠かせません。また、衣服の製造は環境負荷が大きく、年間215兆リットルの水が使われます。さらに世界の温室効果ガス排出量の2〜8%を占めています。最近では、AIが便利に使われるようになりました。しかし、データセンターの冷却水使用量は年間約5.6億m³です。

これらの元になるのは、森林が育んだ水と生態系です。気候変動も、生物多様性も、私たちの暮らしも、実はいろいろなところでつながっています。ここまで見てくると、「私たちの暮らしは自然に支えられている」ということがとてもよくわかります。

発表スライド
発表用スライド2

一歩進めるために~私たちにできること~

暮らしを支えてくれている自然を大切にするために、私たちにできることを考えてみました。

「情報を集めて発信する」ことは大切です。状況はめまぐるしく変化するので、情報が入ってきやすいように、地球温暖化防止などの環境にやさしい生活や取組を行う「アースキーパー」に参加するのも良いと思います。エシカルコンシェルジェ講座の受講も最新情報を入手する機会になりました。

また、「意見を届ける」ことができるのがパブリックコメントです。国や自治体が条例や計画の更新・新設に際して、決定前に市民に意見を求めるものです。2025年の岡山市環境基本計画、生物多様性おかやまプランの意見提出者は各2名でした。同じ2025年、京都府の基本構想には584名から計1514件の意見が提出されました。このうち10~20代によるものは47%です。私も意見を提出した一人ですが、当初の基本構想にはなかった、京都議定書、地球温暖化などの言葉がパブリックコメント後に追加されており、意見が反映されていることがわかります。強い主張や論拠だけでなく、質問を投げかけるということも有効なのではないでしょうか。

「身近なところで具体的に行動」した例として、竹箸プロジェクトがあります。学食のプラスチック箸を、学生が制作した竹箸に置き換える取組です。学生5人で1週間かけて、6000膳の箸に漆を塗るところから始まりました。利用者の理解を得るのに3年かかりましたが、「食べ心地も良い」「衛生面も公表されているので安心」などの声を受け、補充しながら現在も続く取組になりました1人だと続かないことも、家族や友達と一緒に少しずつ取り組んで継続すると良いと思います。

社会課題の解決に向けては、1人の100歩か、100人の1歩と言われますが、これからの時代は、1人の100歩に加えて、100人の2歩(知る+次へ動く)を同時にしていくことが必要だと感じています。完璧でなくてよいから、変化を楽しみながら前進することが大切です。 

最後に、参加者が、これから実施するアクションを各自で考えました。「行ける範囲は自転車で」、「冷感グッズを活かす」、「やっていることを続ける」、「マイボトルを持ち、ペットボトル飲料を買わない」などそれぞれの思いが込められた一歩が共有されました。


グループワークの様子

参考

お問い合わせ

岡山ESD推進協議会事務局(岡山市市民協働局市民協働部SDGs・ESD推進課内)
所在地:〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号
電話:086-803-1351・1354
ファクス:086-803-1777