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2023年度第5回ESDカフェ「探求の先を勝手に考える〜生徒や市民の探求や調査をどう社会に活かすか〜」

[2023年11月10日]

ID:54368

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  • テーマ:探求の先を勝手に考える〜生徒や市民の探求や調査をどう社会に活かすか〜
  • 開催日時:2023年9月21日(木曜)18時30分から20時
  • 開催場所:Wonderwall(岡山市北区駅前町1ー8ー18イコットニコット2階)またはオンライン(Zoom)
  • ゲストスピーカー:石原 達也さん(NPO法人岡山NPOセンター 代表理事)

無いなら作ろう

「岡山NPOセンター」代表理事、「みんなの集落研究所」代表執行役、「SDGsネットワークおかやま」会長、「SDGs市民社会ネットワーク」理事などたくさんの組織に関わっている石原さん。市民が主体となり、連携・協働により地域の社会課題を解決していける“自然治癒力の高いまち”を目指して、「無いなら作ろう」と、さまざまな仕組みを作り続けています。

今回のESDカフェでは特に、中高生の探求学習や大学生のインターンシップ等、若者の社会参画の取組支援やコーディネートの経験を通じて見えてきた、活動の広がりに関する課題について、事例紹介と共に問題提起がなされ、参加者一同でディスカッションを行いました。

取組事例とディスカッションの様子の一部を紹介します。

事例「地域づくりの担い手育成・地域コーディネーター」

2019年から開催している「県北高校生うまいもん商店街」は、岡山県北の地域・高校生・商店街の協働によるイベントです。高校生は企画・運営を担い、地域の美味しいものを探してきて出店を交渉、クラウドファンディングで資金調達などを行います。津山駅前商店街の活性化はもちろん、高校生が地域愛を深めるきっかけになっているとのこと。複数の高校から学年の違う生徒有志が参加しており高校生同士の交流も生まれているほか、年に一回の報告会は、学校の先生や地域の方々との交流の場にもなっています。

こうした取組を支えているのが、高校生と地域をつなぐ役割として配置が進んでいる「地域コーディネーター」です。「みんなの集落研究所」では津山東高校に地域コーディネーターを派遣していますが、活動するうちに、学校内でのコミュニケーションの難しさ、雇用の不安定さ、市町村や学校間の連携不足など様々な課題が見えてきたそうです。

そこで有志で検討会を立ち上げ、2020年10月に岡山県教育長へ「高校地域コーディネーターのあるべき姿」に関する提案書を提出しました。提案には、(1)地域推進体制の構築、(2)各学校での市町村自治体と連携した体制づくり、(3)地域コーディネーターの質向上と安定確保が含まれています。

県北高校生うまいもん商店街
「高校地域コーディネーターのあるべき姿」に関する提案書

事例「高校生主体の取組と伴走支援」

当事者である高校生が主体的に取り組み、「SDGsネットワークおかやま」が伴走支援を行うことで、活動がうまく広がった例の一つが「生理革命委員会」の活動です。

岡山市立岡山後楽館高等学校の3人組「生理革命委員会」は、総合的な探求の時間の授業をきっかけに、トイレットペーパーと同じように生理用品が置かれている状況、生理についてオープンに話ができる社会を目指して「生理の貧困」問題に取り組んでいます。貧困・ジェンダー平等などについて学びを深めると同時に、校内でのニーズ調査・実証実験を実施。また、様々な人と対話・意見交換する中でアイディアを得て、署名活動と、クラウドファンディングによる資金調達を計画しました。その結果を添えて、県内公立高校トイレへの生理用品の設置を求め、2023年6月に岡山県議会と岡山県教育委員会へ陳情書・提言書をそれぞれ提出。陳情は県議会6月定例会にて全会一致で採択されました。

中高生が自ら考えて企画・実行する取組には社会を変える可能性もあり、授業での学びを実際の行動にどうつなげるかが重要だといいます。

「生理の貧困」から「当たり前」を考える
クラウドファンディングの記事

「消費」から「積み上げ」へ

地域学・探求学習に取り組む中で、中高生が地域のNPOや企業と話す機会は増えています。話を聞かれる地域側としては、中高生が代弁する形で活動の発信ができることや、中高生とのつながりができるといった良い点があります。しかし、その対話の中で得た学びを生徒がどう深め行動に移しているのかがわかりづらいことや、学年が変わって新しい生徒から同じ説明を求められることなどから、授業のために地域が「消費」されているように感じられるケースもみられるそうです。

探求の取組を通じて本当に地域を変えていく「積み上げ」を進めるためには、「県北高校生うまいもん商店街」や「生理革命委員会」の事例のようなコーディネート・伴走支援が有効かもしれません。また、探求により得られた調査結果などの地域に関する知見をデータベース化し、学年が変わっても受け継いで内容を積み上げていくことや、そのデータを市民に公開していくことなどが提案されました。

グループワーク

石原さんのお話をふまえて、3~4人のグループに分かれて話し合いました。「学校の先生が地域コーディネーターの役割を果たせるのが理想」「データベースをうまく検索できると活動に取り入れられそう」「データベースはNPOや教師にとってはよいが、生徒はそれを望んでいるのか」など、参加者それぞれの立場から多くの意見があげられました。

まちづくりや課題解決に当事者意識をもって具体的に取り組む人や組織を増やしていくために、“探求のその先”を見据えた仕組みの構築や、地域や人の関わり方を引き続き考えていくことが求められます。


コロナ禍の間はオンラインで開催していたESDカフェ。今回から対面・オンラインのハイブリット開催になりました。グループに分かれての話し合いでは活発に意見が交わされ、また終了後も会場に残って話を続ける参加者も多く、直接集まれることの楽しさを実感しました。

集合写真

リンク

お問い合わせ

岡山ESD推進協議会事務局(岡山市市民協働局市民協働部SDGs・ESD推進課内)
所在地:〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号
電話:086-803-1351・1354
ファクス:086-803-1777
電子メールアドレス:esd@city.okayama.lg.jp