4月21日に、本年度第1回目のESDカフェ「震災ほぼ1年後のネパールを訪ねて」を開催しました。
今回は、28名の方にご参加いただきました。ネパールで3月に合同会社ダフェプロジェクトが主催した震災復興支援活動ツアーに参加した杉田さんと江見さんに、現地の様子を報告していただき、そこで感じたこと、私たちにできることを話し合いました。
第1回ESDカフェの様子
正式名称はネパール連邦民主共和国。国旗は世界で唯一、四角や正方形ではない、三角形を縦に二つ並べたような独特な形をしています。面積は14.7万平方キロメートルで北海道2つ弱くらい、人口は2,800万人程度の国です。公用語はネパール語ですが、それ以外の言語も話される多民族国家です。人口密度は南部のほうが高く、北東の中国チベット自治区との国境には世界最高峰のエベレスト山があることで有名です。
ネパールでM7以上の大地震が起きたのは1934年以来、約80年ぶりだったため、現地の人々の災害に対する意識も高くなかったそうです。家を失った人やけがをした人などには国からお金が支給されることになっていたものの、医療費は3か月のみの援助で十分ではありません。また、家の建設費の補助は政府の方針に従って建設された家に補助が出る仕組みでしたが、実際にその方式で建設するとなると費用が高額になり、建てることができる人は少なかったようです。
つながりの大切さについても触れられました。ある日本の福祉大学のボランティアグループは、学校のカリキュラムでネパールの村に数週間ホームステイしており、その村に人脈があったため、その村を拠点に円滑にボランティア活動をすることができたそうです。
杉田さんは、「日本は地震が多いので、岡山のように地震の少ない地域であっても地震について考える機会はありますが、ネパールではほとんど防災意識がありません。ネパールでも防災教育が大切で、小さい時から意識づけをしていく必要がある」と話されていました。また、「自然災害の悲惨さについて、次の世代に語り継いでいくこと重要」とも言われていました。
当日は、ネパール在住の歌手、スンダリ・ミカさんにもお越しいただき、実体験をもとに震災を通じて感じたことをお話しいただきました。震災当時ミカさんは、ネパールの首都カトマンズで、生活していました。ネパールの家は、土と石でできた家が多く、耐震構造が整っていないため地震には非常に弱く、多くの家が倒れてしまったそうです。また、震災前は耐震構造に対する市民の意識は高くなかったとのこと。震災を経験した現在、また土と石で家を建てるにしても、せめて大きな石を使うのではなく、小さな石を敷き詰めて家を建てるとか、どうしても2階建ての家を建てる必要がなければ、1階建ての家にすることで地震による倒壊で圧死する可能性を減らせることなど、そういうことを伝えていくことが必要だ、とミカさん。
電気も止まったそうですが、ネパールでは普段から13~15時間程度停電しているため、それほどの混乱はなかったそうです。ただ、24時間電気が使えないので、大切な人と連絡を取り合う手段が断たれ、それが辛かったとおっしゃっていました。
ネパールは、インドの隣の国です。インド同様厳しい身分制度(カースト)があるため、通常身分を超えた交流は少ないのですが、震災後の炊き出しでは身分にかかわらず食料を分け合って交流されていたのが印象的だったそうです。
カフェの最後には、ミカさんにネパール復興応援ソングの「こころをひとつに」の日本語バージョンを歌っていただきました。また、1週間前に発生した熊本地震の募金活動も行われました。
電気がない生活に慣れていたり、カースト制度があったり、大地震に遭ってもまた土や石で家を建てる人がいたりと、日本とネパールでは習慣や価値観が違う点もあります。日本との違いを含めて、現地の方、現地に実際に行かれた方からお話を聞けて勉強になったという感想を多くの参加者の方からいただきました。
福祉大学の学生たちは、現地での人脈づくりができていたから、ボランティアが円滑に行えたとのこと。災害は、いつ起こるかわかりません。私たちも日頃からコミュニティの絆や人々のつながりを持つことが大切なのではないでしょうか?
岡山ESD推進協議会(岡山ESD推進課内)宮崎・小西
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