12月16日(木曜日)に、オンラインで今年度第8回目のESDカフェを開催しました。
今回は「バリ島の暮らしの哲学『トリ・ヒタ・カラナ』に学ぶSDGs」をテーマに、一般社団法人アースカンパニーの藤本亜子さんにお話しいただきました。
一般社団法人アースカンパニーは、日本とバリ島(インドネシア)を拠点として「次世代につなぐ未来のために人と社会と自然が共鳴しながら発展するあり方を追求する」をミッションに、(1)チェンジメーカー支援、(2)エシカルホテル運営、(3)研修プログラムの3つの事業に取り組まれています。今回は特に「エシカルホテル運営」についてご紹介いただきました。
はじめに、バリ島に住む人々の文化や暮らしについて説明されました。
バリ島の人々の多くは勤勉でおおらかで、また、約90%がヒンドゥー教徒で、深い信仰心を持っているそうです。
バリ島には、強い村組織が存在し、毎週のように何かの祭事が行われています。特に、毎年3月頃に行われるバリヒンドゥー教のお正月にあたる「ニュピ」は「静寂の日」と呼ばれ、家の中で静かに過ごします。外出禁止だけでなく、火や電気、wi-fiも使えない日で、観光客もそれを守ります。
また、島の内陸部には、豊かな農村が広がり、伝統的な稲作が盛んに行われているそうです。
一方、バリ島には、中国、インド、オーストラリア、日本などから多くの観光客が訪れています。観光業は、バリ島にとって大きな収入源となっています。
しかし、リゾートホテルのプールなど観光施設の膨大な水利用によって、農業に必要な水が不足してしまう問題や、観光客の捨てる大量のゴミによってバリ島の埋め立て地が予測より早く埋まっている問題など、観光業は多くの問題の原因にもなっているそうです。
そこでアースカンパニーでは、観光業が発展すればするほどバリ島の社会課題・環境問題が解決されるホテル運営のモデルを具現化するために、エシカルホテル「マナ・アースリー・パラダイス」を2019年に設立・運営しています。
藤本さんからは、「課題を生み出さないホテル」とはどんなものでしょうかと問いかけがありました。
参加者からは、
バリ島の人々は、「トリ・ヒタ・カラナ」という、神々・人々・自然の3つの調和が幸せや喜びであるという考え方(哲学)を重視しているそうです。
エコホテル(マナ・アースリー・パラダイス)は、上空から見ると、「トリ・ヒタ・カラナ」を象徴するロゴに見えるように建物が配置されているそうです。
エコホテルの「建物」、「レストラン」、「マーケット」についてそれぞれ説明されました。先ほどあげられた意見のほとんどが実践されていました。
建物は、太陽光発電、雨水の利用、土のうを使ったエコ建築など循環型建築で、レストランは、ホテルの畑で原種から育てたオーガニック野菜を使用、マーケットは、環境や社会に配慮した製品のみを販売しているそうです。また、客室の設備などは、一見他のリゾートホテルと変わらないつくりで、宿泊費も1泊6,000円ほどだそうです。
また、快適さやお洒落さを大切にすることが、エコホテルを「持続可能」にしていく上で必要であり、宿泊者に「滞在を楽しんでいたら、知らず知らずのうちにエコな取組に貢献していた」という体験をしてもらうことが目標だそうです。
「トリ・ヒタ・カラナ」の説明の中で、バリでは「神々の中には悪霊もいるが、悪霊を払うのではなく、うまく共生していこう」という祭事があるという話がありました。アースカンパニーが行っている活動も、バリ島の課題に対して、「トリ・ヒタ・カラナ」の哲学を取り入れた、課題と共生しながら解決していく取組のように感じました。
岡山ESD推進協議会(岡山市市民協働局市民協働部SDGs・ESD推進課内)
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