竹島さんは現職の中学校教員であると同時に、NPO活動や空手道など様々な側面から青少年の教育に関わっていらっしゃいます。「学校の教育実践と社会課題をつなぎ、実力ある人間を育てる!」活動についてお話を聞きました。
2010年に設立されたNPO法人国際協力研究所・岡山(NPO ICOI)には、海外出身者や留学生、JICAの専門家、大学の研究者、飲食店経営者、福祉職など、国籍や世代、職種の異なるメンバーが在籍し、様々な国や地域と接点をもっています。また、竹島さんをはじめ現職の教員もおり、リアルな教育現場とのつながりがあります。
NPO ICOIは、メンバーの経歴や体験を活かしながら、次の3つを大きな柱として活動しています。
NPO ICOIでは、東日本大震災以降、福島県双葉郡浪江町でボランティア・交流を続けてきました。この経験をふまえて、2018年7月に発生した西日本豪雨災害の際は、被害が大きかった倉敷市真備町の民家へ毎週末通い、泥土を搬出するボランティアを行いました。
では、これをどのように中学生たちへつなげたのでしょうか。
中学生が直接現地でボランティア活動をすることは安全面・衛生面でリスクが伴います。そこで、現地での活動以外で子どもたちが関われる方法を探り、当時「災害支援ネットワークおかやま」が取り組んでいた「ぞうきんプロジェクト」に参加しました。これは、災害時に必要な古雑巾を集めて被災地へ寄贈するプロジェクトです。生徒会や総合学習と関連づけて取り組み、岡山市内外の7つの中学校から2千枚を超えるぞうきんを集め、NPO ICOIが現地でボランティア活動をする際に被災地の方へ手渡すことができました。その後、この活動はチャリティーライブでの募金活動、九州豪雨災害時の「ぞうきんプロジェクト2」へと引き継がれました。一度きりでなく、次の活動につながったことがよかったと竹島さんは考えています。
NPO ICOI では、岡山市の国際友好交流都市である米国サンノゼから高校生の親善大使を招き、学校や地域と連携して、岡山市内各地および中・高・大学生との交流プログラムにつなげました。文化交流やホームステイなどの体験をとおして、互いに国際感覚を養うことができました。
また、コロナ禍でも、日本と海外のユース世代に出会い、つながりの場をつくるオンライン交流”International Meeting”を続けています。
続いて、国立教育政策研究所の「ESDの視点に立った学習指導の目標」(2014)が紹介されました。これは、持続可能な社会づくりに主体的に関わる人に必要な能力・態度とはどのようなものか?その能力・態度を育てるためにはどのような授業や教育活動が必要か?を示したものです。
これを踏まえて、竹島さんは「総合的な学習の時間」の「探究活動」を大切にしているそうです。環境や防災など様々な分野の課題について、生徒たちは(1)問いと仮説の設定、(2)情報収集、(3)整理・分析、(4)まとめ・表現というプロセスをとおして、考える力、行動する力を身につけていきます。また、操南中学校では地域でのフィールドワークを取り入れていて、学校の外とつながることで子どもは成長する、目の輝きが違ってくると竹島さんは話します。
生徒たちから生まれてくる問題意識を活動、整理分析、まとめへとつなげっていった実例として、ウクライナ緊急支援プロジェクトや対話型芸術鑑賞(ワークショップ)、海・川ごみ・用水路の清掃活動、防災運動会の様子などを次々と紹介してくださいました。
参加者からは、竹島さんのバイタリティあふれる活動に感心する声や、自分の所属団体も学校と連携して何かできるのではないかという声が挙がりました。また、この春大学を卒業して中学校教員になるという参加者は「学校の中でこれだけいろいろな活動ができるのだと知り、自分も参加したいと思った」と話していました。