2015年12月17日(木曜日)に、2015年度第8回ESDカフェ「ひろげよう!サステナビリティの輪~効果的なコミュニケーションとソーシャルスキル~」が開催されました。ゲストは岡山大学言語教育センター別ウィンドウで開く准教授のプリチャード・ケイレブさん。24名が参加して、サステナビリティの輪を広げるための方法について話し合いました。
サステナビリティ(Sustainability)とは、「持続可能性」、「持続することができる」という意味。「人と人、人と自然のつながりを大切にしながら、今の時代も、これからの時代も人々が幸せに生きられる社会や自然環境がずっと続くように」というメッセージがこめられています。より多くの人が、サステナビリティについて知り、共感し、考え、行動し、サステナビリティの輪を広げるにはどうしたらよいのでしょうか?
オレゴン州(アメリカ)出身のプリチャードさん。幼少期は、自然の中でのびのびと育ったそうです。例えば、サステナビリティの要素の一つである自然に関心を持つためには、幼少期にたくさんの時間を自然の中で過ごして体験するとともに、教育の中で自然について話したり、学んだりする経験が大切です。
プリチャードさんのお子さんは、3歳の時、幼稚園の先生から「家族はなぜ車に乗らないの?」と聞かれ、「地球温暖化の原因になるから」と答えたそうです。大人になってから価値観を変えるのは難しいもの。特に、8歳までの経験が価値観の形成に大きな影響を与えるとのことでした。
子どもや大人、年齢に関わらず人の心に響く・記憶に残るメッセージの伝え方や話し方とは?
情報を伝えるだけの一方通行のコミュニケーションよりも、質問する→相手に考えてもらう→答えを伝えるなど、双方向のコミュニケーションの方が記憶に残りやすくなるそうです。また、「百聞は一見にしかず」の言葉に代表されるように、話だけではなく、写真や動画などビジュアルを活用することも大切です。その他、「アクティブラーニング」という、課題を与えて、議論させ、自由な意見を話させるという方法は、学びを深めるために有効な方法だそうです。
話し方についてもコツがあります。アイコンタクトや大きなジェスチャー、十分な声量も、話し手の情熱や熱意を伝えるためには重要です。また、聞き手に近寄って行くなど、聞き手へのアピールも有効だということでした。
サステナビリティについて知っていて、関心を持っていたとしても、それが直接行動に結びつくとは限りません。ある調査によると、94%は「ポイ捨てされたゴミを拾うべきである」と回答した一方で、実際に拾う人は2%だったそうです。社会を変えるのは行動です。では、どうしたら行動を変えられるのでしょうか?
まず、人を惹きつけるためには、その人にとっての利点を伝えることが大切。説教をしたり、批判をしたりするのは効果的ではありません。「サステナブルな暮らし方・生き方は、楽しくて、簡単、カッコいい!」というメッセージを伝える方が、心に響き、共感を呼び、「自分もやってみたい!」という行動へのモチベーションを高めることにつながります。
また、人の行動に影響を与えるためには、やはり、行動で示すことが効果的。親が子どもに行動で示すのはもちろんのこと、自転車に乗ったり、家族で地域の食べ物をおいしそうに食べていたりする様子をFacebookやYoutubeなどで発信するのことも効果的です。
そこで、もう一つ大切になるのは、ソーシャルキャピタル。どれだけ仲間がいるかです。仲間が多ければ、共感や行動の輪が広がりやすくなります。
プリチャードさんが住んでいらっしゃったポートランドは、50の大都市をサステナビリティ指標で比較した2006年版「USシティランキング」※で、堂々の1位に輝いた都市。そのうわさや評判が広がり、サステナブルなライフスタイルに共感する若い人や芸術家、起業家などを惹きつけており、毎週約400名が移住してくる人気の都市になっているとのこと。サステナビリティの輪はどんどん広がっているそうです。
プリチャードさんのお話のあと、参加者同士で、「サステナビリティの輪を広げるためにはどうしたらよいか?」について話し合い、次のような意見やアイデアが出ました。
社会の担い手として私たち一人ひとりが、グローバルな視野を持ちながら、自然や人を大切にする価値観を育み、身近なところから行動してみる。サステナブルでかっこいい暮らしを始めてみる。その輪が少しずつ広がっていくことで、岡山がもっとサステナブルでかっこいい町になっていくのだと思います。
岡山市市民協働局ESD推進課 小西・流尾
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