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第3回ESDカフェ(2016年度)

[2016年7月15日]

ID:38375

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  • テーマ:心のバリアフリーをめざした地域づくり~『こころの病気を学ぶ授業』と『ひまわりカフェ』~
  • 開催日時:2016年6月16日(木曜日)午後6時から午後7時30分
  • 開催場所:環境学習センター「アスエコ」(岡山市北区下石井2-2-10)
  • 講師:医療法人万成病院 多機能型事業所ひまわり施設長 田淵泰子さん

第3回ESDカフェ「心のバリアフリーをめざした地域づくり~『こころの病気を学ぶ授業』と『ひまわりカフェ』~」

6月16日に、平成28年度第3回ESDカフェを開催しました。「心のバリアフリーをめざした地域づくり『~こころの病気を学ぶ授業』と『ひまわりカフェ』~」というテーマで、医療法人万成病院 多機能型事業所ひまわり施設長の田淵泰子さんにお話しいただき、40人の方にご参加いただきました。

まず、アイスブレイクとして精神障害を持つ方へのイメージを話し合いました。参加者からは、「一つの能力が抜きんでて優れている」、「クセがある」、「関わり方がよくわからない」など様々な意見が出ました。

第3回ESDカフェの様子1

ひまわりサロンのなりたちと取り組み

平成15年にアナウンサーを退職し、福祉の仕事を始めた田淵さん。アナウンサー時代は毎日いろいろな人との出会いがあったそうです。しかし、ソーシャルワーカーになった当時は訪ねてくる人もおらず、人と出会うことが大好きな田淵さんは、毎日当事者と自分とで同じ作業をするのが息苦しくて、仕事を辞めたいとも思ったそうです。しかし、辞めるのは簡単。辞める前に何かを変えてみようと思い立ち、ひまわりサロンを立ち上げました。

もともと病院と町内会との間で交流が全くなく、交流の場を作りたいと考えた田淵さんは、様々なイベントを企画し、地域住民をサロンへ招きました。最初は来てくれる人も少なかったものの、回を重ねるごとに参加者は増え、ひまわりサロンが病院と地域との交流の場になっていきました。また、地域の方をイベントに招待するだけではなく、協働でイベントも行いました。例えば、町内会と一緒に合唱団をつくり、歌を披露したり、ゴスペルや、うらじゃにも挑戦したりしました。町内会の廃品回収の協力もしました。また、谷万成は高齢化が進んだ地域で、一人で暮らされているお年寄りも多いです。誰でも集まって話ができる場を作ろうとひまわりカフェを始められました。

心の病気を学ぶ授業

心の病気を学ぶ授業は、平成21年にスタートした授業であり今年で9回目になります。若い人にも誰にでも起こり得る精神疾患について、また、共に生きることについて考えてほしいと思ったのがこの授業を始めたきっかけです。この授業の特徴は、教員自らが授業をするということです。他で開催されている心の病気を学ぶ授業は、専門家が先生になって授業をする場合がほとんどです。しかし、この授業では田淵さんが直接授業をするのではなく、敢えて精神疾患の専門家ではない学校の先生に授業をしてもらうようにしているのだそうです。そうすることで、生徒が一番困ったときに真っ先に相談できる先生に知識を付けていただき、また、先生が転勤された先でもその知識と経験の種をまいてくれることを期待しているそうです。

第3回ESDカフェの様子2

様々な活動を通じた意識の変化

心の病気を学ぶ授業をする前に中学生に精神疾患についてのアンケートを取ると、多くの生徒がはっきりとマイナスイメージを持っているそうですが、授業を終えた後もう一度アンケートを取ると、プラスイメージの回答をする生徒が多いとのことです。
地域住民の方にも多機能型事業所ひまわりの活動がどのように受け止められているのかのアンケートを行ったところ、「精神疾患へのイメージが変わりましたか」、「精神疾患への理解が深まりましたか」という問いに、いずれも9割以上の肯定的な回答があったとのことです。具体的には、「精神科病院は行き場のない人のための施設というイメージだったが、回復するための施設とイメージが変わった」、「以前は患者さんが病院の中に閉じ込められているというイメージだったが、今は開かれていると感じる」、「精神障害の方々を差別せずにお付き合いをするために、これからも定期的に地域交流活動を進めてほしい」、「自分や家族がいつ病気にかかってもおかしくないと思うようになり、より身近なことととらえるようになった」などの意見が寄せられています。
当事者の意識変化についてみてみると、「地域交流を通じて自分が変化したと感じますか」という問いに、9割以上が変化したと答えています。中には、「地域に受け入れられているという安心を感じる」、「地域に貢献したい」という気持ちを持たれる方もいます。

ぬくもりがわかるんじゃ

施設の活動紹介と、心の病気を学ぶ授業の紹介をしていただいた後、DVDを見ました。施設に入所されていた寺川武志さんは、自立のための訓練で詩を書いた後、日常感じたことを詩に書き留めるようになったそうです。「NHKアート展~ともに生きる~」に創作した詩を応募したところ、約5,400点の応募の中から見事入選50点に選ばれました。その詩のタイトルが、「ぬくもりがわかるんじゃ」。病院を出て、様々な人と関わる中で湧き上がってきた詩です。「日々の生活の中で受ける周りの人からの施しや、病気に対する理解をぬくもりという言葉で表現した」とおっしゃっていたのが印象的でした。

第3回ESDカフェの様子3

まとめ

今までの活動を通じて、「精神疾患への偏見や差別を解消するためには何より当事者と触れ合う場を定期的につくることがとても大事だと思う」、「地域に開かれた、風通しのいい事業所を展開していきたい」「地域の方に理解してくださいと一方的にいうのではなく、協働で福祉事業を通じコミュニティーを形成していきたい」と田淵さん。
万成は、50年以上病院と地域の交流がなく、病院への偏見の根強い地域だったそうですが、「(万成が)こんな風に変わっていくことができるから、どんな地域でも変わっていくことができるはず。」また、「今日のカフェが精神疾患について今まで抱いていたイメージが変わるきっかけになればうれしい。今日感じた気持ちを一人でも多くの人に伝えてほしい。」とのことでした。
「だれ一人取り残さない」(Leaving no one left behind)は、持続可能な開発目標(SDGs)に記された持続可能な社会を目指すキーワードです。多機能型事業所ひまわりのような取り組みが地域に広がることが、とても大切だと思ったカフェでした。

お問い合わせ

岡山市ESD推進協議会(岡山市ESD推進課内)宮崎・小西
電話:086-803-1351
電子メールアドレス:esd@city.okayama.lg.jp