平成28年5月19日に、平成28年度2回ESDカフェを開催いたしました。テーマは「未来に生かす里山づくり~南海トラフ地震に備えて~」。17名の方にご参加いただき、就実学園森林研修センター長の石田省三先生に就実・森の学校の取り組みについてお話しいただきました。
就実・森の学校がある今谷校地は岡山市東部に横たわる操山山塊の東端、岡山市中区今谷地区にあります。
今谷校地は学園から少し離れているために利用者が少なく、さらに竹林に囲まれていたため次第に荒れてゆき、以前は手が付けられない状況になっていたそうです。
隣地に迷惑をかけるため、このままではいけないと今谷校地を活用するため調査をしたところ、竹林から良質なタケノコが生えていることがわかりました。
また、笠井山の東斜面には古墳があることもわかっていたため、竹林を中心とした豊かな自然体験と、古墳による歴史学習のできる場として7年前から整備が始まりました。
荒れた竹林を取り除き、竹林の間引きをしたり、古墳に入りやすいように古墳周辺の整備をしたりもしました。
また、竹林の中にステージを作り、音楽イベントを開催できるようにし、自然や古墳に興味のある人だけではなく、音楽好きの人にも来てもらえるようになりました。
今では古墳の見学会や、タケノコパーティーなど、多くの行事が開催されていて、去年は年間約30回行事を開催したそうです。就実・森の学校では、成長過程に合わせた学習の機会も用意されています。
例えば小学生は森の中で遊ぶことで自然に触れる体験をすることができますし、大学生であれば、植生調査や里山の変容調査ができます。
岡山は災害が少ない印象があり、危機意識が低い人が多いと言われることもありますが、操山の南側は干拓地が広がっており、地盤は非常に軟弱で、一度大地震が起きると液状化現象が起きる可能性もあります。
そこで、就実・森の学校では防災面にも着目し更なる森の整備をしました。
まず、竹で作った炭を備蓄するための倉庫を設けました。
非常時にはその竹炭を利用することができます。
また、緊急避難地を就実・森の学校内に設定しました。
周辺地域から緊急避難地までの登山道はいくつもあるそうですが、途中の道を歩きやすいように整備をし、緊急避難地までの避難経路図も作りました。
学習、自然体験だけではなく、地域の防災拠点として整備された森の学校を、将来的には、子供も大人も来てくれる里山、「岡山のセントラルパーク」にしたいと石田先生はおっしゃっていました。
先生のお話の後は、今回ESDカフェに参加して頂いた皆さんで、感想を話し合いました。森の学校が発展し、地域の防災拠点にまでなっていることに驚いたという声や、長年岡山に住んでいるのに、里山については今回初めて聞き興味深かったという声など、さまざまな意見が聞かれました。
就実・森の学校は地域の資源を活かしながら、自然体験や文化や歴史の継承、防災などさまざま活動の場として活用されています。
それらの取り組みを通して、子どもから大人まで地域の人々の交流や学び合いも深まり、豊かな里山として未来に引き継がれていくのではないでしょうか。
岡山ESD推進協議会(岡山ESD推進課内)宮崎・小西
電話:086-803-1351
電子メールアドレス:esd@city.okayama.lg.jp