ハラルとは、イスラム教で「許されたもの」・「健全な商品や活動」を意味します。イスラム教徒にとって安全な生活を示すためのガイドラインであり、無くてはならない規準となるものです。
ハラルの反対語はハラムと呼ばれ、「有害なもの」・「中毒性のあるもの」を意味します。代表的なものとして豚肉やお酒があります。イスラム教徒にとってハラルと正式に認められるもの以外の食品や行動は避けなければなりません。
「ハラル岡山準備組合」は、岡山においてイスラム教徒の生活と文化に関する理解を広め、ハラル対応の取り組みを進めていくことで、イスラム教徒の観光客などが岡山で快適に過ごせる環境づくりをめざしています。
イスラム圏の人口は2010年に16億人、2030年には22億人になると予測されており、現在世界人口の四分の一を占めています。経済上でも15年後には1,000兆円の巨大市場になると予想されています。また、世界の中でイスラム教徒が最も多く暮らす地域が日本に近いインドネシアをはじめとする東南アジアの国々です。
ハラル岡山準備組合では、2013年12月2日(月曜日)・2014年2月3日(月曜日)・7月18日(金曜日)の3回にわたって勉強会を開催し、それぞれ20から40名の方が参加しました。回を重ねるにつれてハラルに関する理解を深めるとともに、「岡山にイスラム圏からの観光客を迎えるために何をしていくべきか」について意見を交わしました。
2014年2月3日(月曜日)に開催された勉強会の様子
2014年7月18日(金曜日)に開催された勉強会の様子
ビザの緩和や円安などの影響もあり、2014年には東南アジアから日本を訪れる人の数が過去最高を記録し、今後もその数は増えていくと思われます。
しかし、岡山ではイスラム教徒に対するおもてなしやハラル対応は遅れていて、ハラル対応のお土産品もほとんどないというのが現状です。
ハラル岡山準備組合では、こうした問題を少しでも解決していくために、岡山県中小企業団体中央会(以下、中央会)と話し合い、中央会が中心になって「東南アジアイスラム市場対応商品開発等支援事業」を行うことにしました。
この事業は日本を訪れるイスラム教徒をターゲットに、2014年8月から日本の国内市場におけるお土産品などの商品開発と販路開拓を支援する取り組みです。
今後は専門家による研修会やテストマーケティング、商談会を開催することで、世界のイスラム市場に通用する「ハラル認証」を得た商品づくりも進める予定です。
「東南アジアイスラム市場対応商品開発等支援事業」の研修会
マヘンドラインドネシア駐日大使
2014年9月には県内5ヶ所で事業説明会を開催し、食品製造業者や旅館・ホテル業者など32社がこの事業に参画することになりました。
2014年9月に開催された事業説明会の様子
2014年11月19日(水曜日)には神戸での実地研修会を開催し、神戸モスクや神戸大学、ハラル商品取扱商社、ハラル認証を取得している企業などを訪問しました。
2014年11月19日(水曜日)の視察研修の様子
2015年1月26日(月曜日)には、テストマーケティングを開催しました。日本で暮らすイスラム教徒の方々に、開発中の商品を体験していただくことで、2015年2月に開催する商談会へ出品する商品を改良し、商品力を強化することにつなげていきます。
テストマーケティングの様子
イスラム教徒の方々を岡山に迎えるためには、歴史や文化、また経済発展の現状など、広い視野をもって取り組む必要があります。
ハラル岡山準備組合としては、イスラム圏からの留学生や日本で暮らすイスラム教徒の方々の意見をしっかり聞きながら、宿泊や飲食、食品・食肉、観光などのいろいろな分野をつなげ、イスラム教徒の方々をお迎えできる体制をつくり上げていくこと、その際の「推進役」となることを目指しています。
「ハラル対応」という課題を日本社会に住む私たち自身の問題として捉え、岡山の地から取り組んでいく(think globally, act locally)ことにより、イスラムの方々に対する新たな価値観やおもてなしの行動を生み出すこと、そしてこれらのことを通して「持続可能な社会を創造していきたい」と考えています。
「ハラルを活用して岡山活性化を図ろう!」という思いで集まった有志が「ハラル岡山準備組合」として活動しています。
今後も岡山県内の企業や行政とも連携しながら、事業を展開していきます。
ハラルの普及活動によって、単に「食事に困らない街」ではなく、イスラム教と日本の食文化が双方で理解されることによって、より「住みやすい街」に変わっていくのだと思いました。今後目にするハラル商品が楽しみです。