「きょうだい」という言葉は単に兄と弟などの関係を示す「兄弟」だけでなく、ひらがなで表記した場合、障害や病気のある人の兄弟姉妹という意味でも使われています。障害や病気の子どものケアに忙しい親に構ってもらえない寂しさ、社会の偏見や差別、親亡きあとの不安など、きょうだいは、子どもの頃から特有の悩みを抱えやすいと言われています。また近年注目されている「ヤングケアラー」、きょうだいも子どもの頃はヤングケアラーであり、大人になればケアラーになることがほとんどです。
このような生きづらさを抱えたきょうだいは今まで社会的に見過ごされてきました。
私には3歳下に知的障害のあるダウン症の弟が一人います。
2010年に母が病気で亡くなり、その後、父も要介護となり特別養護施設に入所していた2018年に私がインフルエンザに罹ったことがきっかけできょうだい会の存在を知りました。その時は岡山にはきょうだい会の組織がなかったので「岡山に会が無いのであれば作ってしまおう!」という思いで「岡山きょうだい会」の立ち上げを決めました。立ち上げ当初は勉強会や茶話会で意見交換をしていましたが、その中で今なお、悩みもがいているたくさんのきょうだいの声を聴き、「きょうだいの悩みや問題は家族の中だけで抱え込むには限界がある!もっと外部の方に知ってもらおう!」と新たなビジョンを決め、きょうだいの啓発活動として、2020年にリアルボイスイベントをスタートしました。
このリアルボイスイベントは、きょうだい当事者の体験談をインタビューし、それを台本にして岡山で演劇活動をしている方々にお芝居として演じていただく「発表会」、さらに掘り下げた「勉強会」、岡山県下の学生の方々にきょうだいをテーマにプレゼンしていただく「学生福祉国会」の3つの企画があります。そして、このリアルボイスイベントは岡山市人権啓発活動補助事業にも採択していただき、5年間で延べ1500人を超える方々にご参加ご協力いただいています。さらにリアルボイスミニキャラバンとして岡山県内外への講演やワークショップなどもさせていただいています。この取組みは、これからもさらに進化させ、継続していきたいと考えています。
SDGsの理念である「誰一人取り残さない」とある中で、この誰一人に入らず、取りこぼされている人はまだまだたくさんいます。「きょうだい」も今まで透明人間のようにその存在を知られていませんでした。障害や病気は決して他人事ではありません。誰がいつその当事者になるかわかりません。だからこそ障害や病気は他人事ではないのだと、まずは自分事として考えていただく。そのためにまずは「きょうだい」を知っていただくこと、そこからがスタートなのです。誰もが生きやすい優しい社会になることを目指し、この啓発活動をこれからも続けていきたいと思っております。
岡山きょうだい会、リアルボイス実行委員会代表。
美容コンサルタント。幼稚園教諭免許取得。総社市障がい者千五百人雇用委員。
壮絶な両親の介護、看取りをきっかけに、ダウン症の弟をもつ立場から2018年岡山きょうだい会を設立。
また2020年からはきょうだいの啓発活動を目的にリアルボイス実行委員会の全体統括責任者としてイベントを毎年主催。
「きょうだい」「元ヤングケアラー」「現ケアラー」として自治体や企業、大学や施設他で講演。TV・ラジオ出演など広報活動中。
所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1351 ファクス: 086-803-1777