せみのだっぴ。蛇のだっぴ。ザリガニのだっぴ。
だっぴとは、成長に応じて変化すること。
私たちは、一人ひとりが、いい出会いを通じて自分らしく“だっぴ”するお手伝いをしています。
ただ、成長と言っても、必ずしも新しいことが出来るようになることではなく、自分の中の新しい自分や知らなかった自分に出会うこと、他の人の話を聞いて自分も、ひょっとしたらそう言うことが出来るかも知れないと思うこと、そういう心の成長、変化を大切にしています。
だっぴは、出会いを通じて新しい自分や知らなかった自分がみつかる場
では、どうやって、そんな“心のだっぴ”ができていくのでしょう。
私たちは、人と人のつながりと対話を大切にしています。
私たちNPO法人だっぴが開催している事業は、様々な人が出会い、対等に立場を気にせず交流し、安心して自分のことを話し、また他の人の話を真剣に聞く、そんなフラットな交流と対話による相互成長の事業です。
例えば、2009年に初めて開催してこれまで継続してきた、「だっぴ50×50」という事業。
これは、将来を模索している50人の若者が、岡山で自分らしく魅力的に生きる50人の大人と出会い、対話し、交流する事業です。
半分が若者、半分が大人という人数比で、7人から8人のグループを作り、働き方や生き方に関するテーマに対し、自由に話し合います。
高校生から大学生、若手社会人まで沢山の若者が参加している
ただ、みんな最初は緊張していますし、お互いを知らないので、簡単なゲームで場を和ましたり、フリップを使って答えを書くことで皆の考えが輪の中に自然に集まるようにしています。
声の大きな人の話ばかりになるのではなく、参加者全員の考えが混じりながら色んな会話、化学反応が起きていく、そんな工夫です。
フリップを使って自由に語り合う、多くの人の価値観と物語に触れる時間
テーマは、最近のうれしかったことなど話しやすいものから始まり、恋の話や人生を選択してきた話、今の不安、未来への想いなど少しづつ深い話になっていきます。
その過程で、年齢や立場、関係なくお互いの話に引き込まれ、自分自身を振り返る。参加者がお互いに色んなものを分かち合う、そんな時間が流れていきます。
大人の話を聞きながら自分のことも話すその過程でどんどん真剣な表情になる
成長と最初に書きましたが、私自身は、成長って新しい自分になることではなく(そればっかりだとしたら、いつか息切れしちゃう)、自分の持つ色が増えていくことじゃないかなと思っています。
例えば、私たちの活動は、学生など多くの若者が実行委員として主体的に作っているのですが、その一人だった女子学生のAさんは、最初は本当に自分に自信がないと言っていて、話していても自分の自信の無さから周りに心を開けないところがありました。その時に私が感じた彼女の色は、薄い紫と言う感じでした。きっと明るい色を持っているのに、それが出せないでいる。そんな感じでした。
しかし、私たちの活動を通して、沢山の人と出会い、イベントを仲間たちと苦労しながら作る経験を通じて、今では人前でも堂々と自分の言葉で話すことが出来るようになり、自信のない自分を受け入れながら、確実に人を助ける明るい本来の自分を見つけられています。彼女は確かに成長しました。
それは彼女の中の色んな色にちゃんと光があたり、自分でそれを出すことができ、また他の人の色とも混ざり合った。そういう結果だと思うのです。
短い時間の中でも本当に多くの変化が起きます
今、私たちは、このような様々な世代の出会いの場を中学校教育現場でも展開しています。
去年から今年、岡山市教育委員会との協働事業の一環で、4校の中学生、約300名に、地域の大人と地域の大学生との交流の場を特別授業として届けました。
中学生と地域の保護者である大人とが自由に素直に語り合う、そこに普段の教え教えられると言う関係はなく、一人の人間同士として語り合う、その交流の助けを地域の少し先輩の大学生が自分のことも話しながらお手伝いする。
そんな最高に素敵な場を、実は日本で初めて岡山で開催しています。そして、子どもたちのとても大きな心の変化と成長に繋がっています。
来年度、私たちはこの授業を更に増やして、県北の過疎地域や離島の中学校でも開催しようと計画しています。
中学生だっぴの様子
「いい出会いはいい人生を創る」
これは私たちの大切にしているスローガンです。
出会いの格差が人生の格差にならないように、私たちは活動を続けます。
そして、1人でも多くの素晴らしい出会いの場を生み出していくことにチャレンジしていきます。
だっぴ50×50イベントの集合写真 100人以上の若者と地域の大人の交流会
岡山市生まれ。
大学卒業後、気象会社で環境調査や気象コンサルタントの営業業務に4年携わった後、地域に根差した生き方をするため生まれ育った岡山に戻りました。現在は、環境保全に関わる仕事をしながら、地域の魅力的な大人と若者が繋がる機会をNPO法人だっぴの活動として行っています。
私は学生時代20歳の頃から、40年以上にわたって漁師さん達とともに海で仕事をしてきました。
また、様々な問題にぶつかる度に様々な分野の研究者、技術者に助けを求めました。
その度に多くの素晴らしい出会いをいただくことで“だっぴ”があったと思います。
“えび”や“かに”は脱皮するごとに体がひとまわり大きくなります。
“ひと”は“だっぴ”するごとに“そのひとの色”が増えて内面がひとまわり大きくなるのですね。