ESDリレーコラムでは、4回にわたってESD大学生インターンシップに参加した学生の活動レポートをご紹介します!
NPO法人岡山市子どもセンター別ウィンドウで開く(以下、子どもセンター)は、子どもが豊かに育つ社会づくりを目指して、様々な「子どもの育ちを支援する事業」に取り組む団体です。主には、舞台芸術鑑賞事業やキッズフェスティバルの開催、プレーパークの運営などに取り組んでいます。今回のインターンシップでは、プレーパーク別ウィンドウで開くにおじゃましました。
プレーパークとは、子どもたちが「自分の責任で、自由に遊ぶ」場です。木登りや水遊びなどの自然と関わる遊びや、ベーゴマなどの昔の遊びを体験することができます。このような遊びは、行政だけでは行き届かない教育分野も含んでいますが、子どもセンターが「NPO法人」という形であるからこそ、柔軟に取り組むことができるのだと思います。
NPO法人杜の家(以下、杜の家)は、働きたいと願う障がい者を対象に、就労支援を行っています。
まず、障がい者は、杜の家が運営する農園でイチゴや葉物野菜などの生産から出荷までの一連の業務に取り組みます。そして、「働くこと」に慣れてきたら、希望に応じて民間企業に就職するなど、次のステップに進めるようにサポートします。
また、発達障がいなどを持つ子どもたちを対象に、デイサービスも行っています。ゲームで遊んだりおやつを食べたりと、子どもたちがのびのびと過ごせるようなプログラムや空間づくりに取り組んでいます。
杜の家に注目してみると、次のような疑問が浮かんできました。
少しずつ考えを深めていくと、「そもそも『障がいがある』ということで、就職が困難になるのか?」という疑問にたどり着きました。企業は、障がい者を一定数雇うことが法律で義務付けられています。とはいっても、法律が完全に機能しているとは言えず、障がい者の多くは就職することが困難な状況にあります。
その根本にあるのが、「差別や偏見」だと思います。
杜の家では、障がい者に対する差別や偏見をなくすために、民間企業の敷地を借りて就労支援や障がい児童のデイケアを行っています。
「障がい」を個性として活かすことで、杜の家にとっては経済的なメリットを、企業にとっては社会的なメリットを生み出します。
また農業においても、細かく工程を分けて仕事内容をシンプルにしています。このことにより、障がい者の負担が減るだけでなく、生産性や利益率アップにつながります。
つまり、障がい者を一方的に支援するのではなく、「win-win」の関係を築くことが大切だと思います。障がい者を「かわいそう」、「守ってあげなければ」と思うことは、差別や偏見の種になるのかもしれません。
偏見をなくすために、私たちに何ができるでしょうか?
障がい者が自分の力でできることは見守り、できないことだけをサポートすることが、理想的な「障がい者の自立支援」だと思います。「障がいがあるから支援を受ける」ことと、「風邪を引いたから薬を飲む」ことに、大きな差はないはずです。
人間がお互いを理解するには、実際に交流することが必要です。
そのために、まずは「知る」ことから始め、どんなきっかけでもいいから、「見てみる」・「話してみる」・「ふれ合ってみる」。知ることで友人に話をしたり、周囲に誤った知識や考え方を持つ人がいれば訂正したりする。この一つひとつの行動が、次のステップにつながるのだと思います。子どもセンターから学んだ「子どもたちの自立」、杜の家から学んだ「障がい者の自立」。
どちらも社会が「過保護」になりすぎていることが、さらなる問題を生んでいるのかもしれません。保護するのではなく、社会を生き抜く力を身につける教育や支援が、持続可能な社会をつくるために必要な考え方であると思います。中国の歴史が好きで、三国志や水滸伝などの漫画を読みます。気まぐれでのんびり屋、マイペースな性格です。座右の銘は、「鶏口となるも牛後となるなかれ」。
地域の防災や子育て、子どもの遊び、障がい者の就労支援など、私たちに身近な課題について、インターンシップを通じて実に多くの気づきを得られたのですね。その気づきをぜひ今後の行動につなげてください。