南区箕島にある岡山高等学校は、令和3年度から「岡山ESDプロジェクト」活動団体に登録し、主に総合的な探究の時間での活動を通してESDに取り組んでいます。
令和3年度・4年度に岡山ESDプロジェクト活動支援助成金を活用して取り組んだ「高校生・企業協働フードロス削減プロジェクト」では、これまで取り組んできた学童保育ボランティアとフードロス削減に向けた啓発活動とを組み合わせた学童保育対象オンラインイベント「やめられない?とまらない?やめなきゃいけないフードロス!」を実施しました。
全国から21施設(うち岡山県内5施設)、1116名(同県内346名)の児童が参加し、岡山一宮高校・就実高校・岡山後楽館高校・岡山高校のグループが、各校の探究学習で学んだことを活かしながら参加者にフードロス削減啓発を行いました。
学校の壁を越えて高校生同士がつながり、岡山県学童保育連絡協議会・NPO法人フードバンク岡山・株式会社ウィライツ・カルビー株式会社など、多くの団体・企業との協働を通して、生徒たちが学びを深めながら課題解決アクションを進めてゆくプロセスを体験することができました。
この活動をきっかけに、多くの生徒・グループが、学校での学びを実社会でのアクションにつなげるための流れを作ることができました。
コロナ禍により消費が大きく落ち込んだ関係で危機を迎えた県内米農家の現状をテーマに探究学習を進めていたグループは、令和3年度から「瀬戸内かきがらアグリ」事業に参加し、コメ作りを通して県産米の魅力を創出・発信する「コメ作り×エシカル消費プロジェクト」を開始しました。
瀬戸内市邑久町の稲田で土壌肥料にかき殻を使用した有機無農薬米「里海米」の栽培を行い、収穫した里海米を岡山高校オリジナルブランド米「ツバサクラ」として販売しながら、流通経費削減や地域に根付いた経済の実現に向け、エシカル消費についての理解を浸透させる活動に取り組んでいます。
瀬戸内の海洋課題について学ぶグループは、缶詰の開発を海洋環境改善や地域の魚食推進アクションにつなげる活動に取り組んでいます。
令和4年度はシャコに着目しました。シャコは、生息する改定の底質部の環境変化により個体数の減少が続いていることで、地域の食文化から消えつつあります。そこで、シャコの殻を出汁に使用したリゾット缶詰「syako can」を開発して、その味を体験してもらいながら底質環境の変化について訴えるアクションを行いました。
令和5年度には藻食性魚アイゴのアヒージョ缶詰を開発し、海苔やアマモの食害の改善と未利用魚の利用促進についての啓発活動を行いました。同年8月には「おかやまSDGsフェア」でこれまでの取り組みをまとめて公開しています。現在も「表町OKAYAMAつながる市」など地域イベントを中心に、商品の販売を通しての啓発活動を続けています。
ESDの考え方を持ちながら学校での教育活動を行うことで、生徒は自らと社会とのつながりを実感しながら社会への関心を深めることができるようになったと感じています。
取り組む社会課題そのものだけでなく、日々の活動の中で大小さまざまな課題に直面しますが、その経験が課題を発見し、よりよく解決できる人材の育成につながっているとも感じています。