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#71「こころの病気を学ぶ授業」

[2018年5月14日]

ID:38395

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「こころの病」とは?

こころの病である精神疾患は、その多くの兆しが思春期に表れ、精神疾患の代表的疾患の「統合失調症」は思春期に発病しやすい病気です。
海外では、精神疾患の正しい知識を習得するメンタルヘルス教育は、イギリス、カナダ、フィンランド等で教育の柱として取り組まれていますが、日本の教育現場での実施は今後の課題となっています。
また、精神疾患への偏見も根強く、障害者福祉施設建設の際に反対行動が起こる等、社会的排斥がこころの病を持つ当事者の社会復帰を阻む現実があります。

「こころの病気を学ぶ授業」の立ち上げ

私が勤務する障がい福祉サービス事業所「多機能型事業所ひまわり」では、地域に根強く残る精神疾患への偏見を解消し、地域と共に共生する試みとして、2003年に施設と地域との架け橋となる「地域交流イベントひまわりサロン」を立ち上げました。立ち上げ当初は数人だった参加者も回を重ねる毎に増加し、公開イベントでは参加者が約300人を超える地域でもお馴染みのイベントとなりました。

ひまわりサロン

地域交流イベント「第50回 ひまわりサロン」で町内会との合唱披露

しかし、イベント参加者の多くが中高年世代であったため、「若い世代を巻き込むには精神疾患の正しい知識を習得するメンタルヘルス教育を実施することが不可欠ではないか」と、施設近隣の岡山市立京山中学校に「こころの病気を学ぶ授業」の実施アプローチを行いました。

岡山市立京山中学校とメンタルヘルス教育連携実施

2008年度、岡山市立京山中学校2年生全クラスを対象に人権教育として「第1回こころの病気を学ぶ授業」を連携実施。以来、毎年恒例の授業として定着し、2018年に10周年を迎えました。授業を受けた生徒さんは延べ約3千人となります。

京山中学校授業風景

岡山市立京山中学校の「こころの病気を学ぶ授業」風景

授業テーマは「生きにくさを共に生きる」。思春期に発病しやすい「統合失調症」の正しい知識を学び、統合失調症に対する差別、偏見を理解する授業を実施。最終授業は心の病を持つ当事者との交流授業を行います。県下各地から30人の当事者が集い、自らの体験談を中学生と車座となって語り合う授業を実施しています。

第7回心の病気を学ぶ授業

当事者とふれあい交流を行う「こころの病気を学ぶ授業」の様子

授業を精神科医等専門家が実施するのではなく、教員自らが担当することで、教員のメンタルヘルス研修ともなっています。授業は6単元7時間。教員自らが授業を行い当事者が参画する授業体制は、他に例のない取り組みとして注目されています。

「こころの病気を学ぶ授業」の今後の展開について

今後は、岡山のみならず全国の学校でメンタルヘルス教育を実施するとともに、メンタルヘルス教育の先進国であるカナダやフィンランドでの事例にも学びながら、インクルーシブ(包括的)な社会への構築に貢献したいと思います。

世界精神医学会実行委員会

「第6回  世界精神医学会 アンチスティグマ分科会国際会議」で海外の事例を学ぶ

医療法人万成病院 多機能型事業所 ひまわり 施設長 田淵泰子さん

田淵さんプロフィール写真

1986年山陽放送株式会社報道制作局アナウンス部アナウンサーとして入社。1992年フリーアナウンサーとして独立。2003年万成病院に精神保健福祉士として入職。財団法人こころのバリアフリー研究会評議委員。岡山県教育委員会人権教育講師。

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