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#103「幸せって何?三カンプロジェクト(岡山市立第三藤田小学校)」

[2023年3月13日]

ID:48099

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幸せって何?

本校では、毎年6年生が総合的な学習の時間で、「幸せって何?」のテーマのもと、カンボジアの子どもたちと交流を行っています。本来、総合学習は、子どもの中に湧き出る「これってどういうこと?」「なんで?」といった疑問や探求心から出発し、それらを各教科で学習したことを使いながら何とか解決していこうといった流れで進んでいくものです。しかし教師の仕事は多忙で、できるだけ新しいこと(仕事)を増やしたくないと思っている方も多いのではないでしょうか(少なくとも私はそう思います)。ですから初めは、毎年行っているものをそのまま引き継いで取り組んでいました。

世界の現状を知る

4月、まず、子どもたちに自分が今幸せかという疑問をぶつけました。するとほとんどの子どもが幸せだと答えました。理由を聞くと、「毎日温かいご飯が食べられる」「家族がいる」「勉強ができる」「好きなことができる」など、想像していたとおりの答えが返ってきました。そこから、フィリピンのゴミ山で生活する女の子、ガーナのカカオ農園の児童労働、カンボジアで起きたポル・ポト政権による大量虐殺など、世界で起きている様々な問題を動画等で紹介しました。子どもたちにとってはショッキングな内容もありましたが、学習をしていく中で自分たちの生活と世界の子どもたちの生活にあまりにも違いがあることに衝撃を受けていました。

6月頃、世界のことを勉強していく中で、本校とつながりのある、NPO法人ハート・オブ・ゴールドの方の話を聞く機会がありました。そこではカンボジアの実態や子どもたちの生活について教えてもらいました。子どもたちは、頭の中では分かってはいるけれど、どこか遠い国の話というような印象で聞いている様子でした。話を聞いた後は物資支援を行いました。物資支援も毎年行っているので今年もやろうといった感じで始めました。近隣の学校や公共施設にお願いして歯ブラシや文房具などを寄付してもらい、集まった物資を集計してハート・オブ・ゴールドに送り、カンボジアに届けてもらいました。1学期はこのような学習をしました。

教室で話を聞いている様子

ハート・オブ・ゴールドの方の話

集まった物資を数えている様子

子どもたちで考えた募金活動

2学期。一人一台の端末を活用して、カンボジアの学校とオンライン交流を行いました。好きなものや学校生活について互いに話し合い、最後は岡山の魅力を紹介して交流が終わりました。その時に私が「今勉強するうえで困っていることや何か必要なものがありますか」と質問すると、「体育が好きで、サッカーボールやバレーボール、ネットなどが欲しい」と答えてくれました。それが子どもたちの探求心に火がついた瞬間でした。

ボールは1ついくらか、何個くらいあったらいいか、などいろいろ意見が出る中で、算数の学習を生かして考えました。出した結論は、みんなが楽しく遊ぶためには最低でも3万円は必要だということです。そして、そのお金を集めるにはどうすればいいか考え話しあい、募金活動をすることにしました。活動に名前があった方がよいということになり、第三藤田小学校の「三」とカンボジアの「カン」を取って三(み)カンプロジェクトと名付けました。

参観日に校門に立って保護者の方に募金を呼びかけました。しかし、本校は小規模校。全然3万円に届きません。そこで学区内のお店やコンビニなどに募金箱を置いてもらうことにしました。子どもたちが自分で電話をかけて許可をもらい、約2か月間、地域の様々な施設12か所に募金箱を置かせてもらいました。集まった総額は62,769円。お金を数える子どもたちの生き生きした表情は忘れられません。また、子どもたちは一連の活動をパソコンでスライドにまとめ、参観日に発表しました。

カンボジアの学校とのオンライン交流

学校での募金活動

募金箱設置のお願いの電話

「幸せって何?」という究極の問いの答えを探す中で、子どもたちが自ら考えて行動を起こす姿を沢山見ることができ、本校のこれまでの総合学習の大切さを改めて実感しました。

最近はいろいろ便利なツールが身の回りにあふれていますが、人々の繋がりや、家族の大切さ、誰かのために行動すること、そして周りを幸せにするために自分に何ができるかを考えることなど、子どもたちには大切なものを忘れないで大きく育っていってほしいと願っています。

岡山市立第三藤田小学校 教諭 石田直己さん

岡山市立第三藤田小学校 石田直己さんの写真

岡山市立第三藤田小学校 教諭
石田直己(いしだなおき)

1988年生まれ。民間企業でサラリーマンをした後、小学校教諭に転職。子どもたちにとっても先生たちにとっても楽しい学校づくりをモットーに仕事に励んでいます。

関連リンク

次の執筆者さんからのメッセージ!

株式会社ココピア 藤原真由美さん

三(み)カンプロジェクト!ネーミング素敵です!!
「幸せって何?」という問いから子供達一人一人が自分で考え行動できる授業が日本中に広がって欲しいと思いました。
世界は遠いものではなく繋がっている。
私も起点であること、それを感じられる取り組みだと思います。