ゆうあいセンターとは岡山県が運営する岡山県ボランティア・NPO活動支援センターの通称であり、2005年に設立され、その指定管理者として岡山県社会福祉協議会と岡山NPOセンターが共同管理で受託運営しているものです。
主な事業として県から指定されている特定事業は、(1)ボランティア・NPO専門相談事業、(2)ボランティア・NPO活動コーディネーター支援事業、(3)ボランティア・NPO人材育成交流事業、(4)ボランティア・NPO活動情報発信事業です。
指定管理者が自主的に行う自主事業は、(1)県内非営利団体における組織マネジメント調査、(2)多様な主体による公共施設運営のモデルづくりプログラム、(3)ボランティア・NPOスタートアップ支援プログラム、(4)次世代主体の社会参画プログラム、(5)持続可能な社会づくりプログラム等です。
大まかに言うとボランティア・NPOの組織づくり支援と担い手育成ということになるでしょうか。
私はゆうあいセンターのプロボノ(プロフェッショナルボランティア)として「NPO何でも相談コーナー」を担当しています。それこそボランティア・NPOに関することは何でも相談に応じていますが、私の最も強い使命感は「価値創造」です。
組織に関する諸問題を解決していくことはもちろん大切なことですが、何よりも「人」即ち「担い手」の価値が変わらない限り、根本的な問題解決にはならないということを経験上知っているからです。
最近売れ行きもよく、内容も評判になっている書物『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)をご存知でしょうか。
“はじめに―SDGsは「大衆のアヘン」である!”はちょっとショッキングな書き出しでした。
しかし、要するに著者の言いたいことは、人間たちの活動の痕跡が地球の表面を覆いつくした年代である「人新世」は、このまま突き進むと地球環境を破壊し続け、もはや人間の住む場所がなくなるという危機感を基に、これを回避するためには資本主義社会とその価値を変える以外に方法がないという主張です。
そのために「コモン」という第三の道、地球を「コモン」として管理すると、「コモン」とは社会的に人々に共有され、管理されるべき富のことを指します。彼はこの「コモン」という概念をマルクスの再解釈から導き出し、脱成長コミュニズムを提唱しますが、私がより注目したいのはこの「コモン」はもともとアソシエーションを通じて形成されてきたと彼が述べていることです。
この論はこの書物でその後あまり展開されていませんが、アソシエーション即ちNPOに長く携わってきた私としては、とても重要なポイントだと確信しました。
そう言えば19世紀の半ば、欧米でアソシエーション革命が起こった時期とマルクスの活躍時期が重なることも、決して偶然のこととは言えないと思います。NPOが生み出す価値「コモン」が脱資本主義になるのではないかと改めて期待しました。
プロフィール
1972年財団法人神戸YMCA 就職
1984年岡山YMCAに出向
1993年岡山YMCAが財団法人岡山YMCAへ移行。常務理事・総主事就任
2000年「岡山NPOサポートネットワーク」代表に就任
2002年「岡山NPOサポートネットワーク」が特定非営利活動法人「岡山NPOセンター」へ移行。代表理事就任
2005年吉備国際大学社会福祉学部福祉ボランティア学科 教授 就任
2009年吉備国際大学保健医療福祉学部 社会福祉学科 教授・社会福祉学科長 就任
2013年吉備国際大学保健医療福祉学部 社会福祉学科 教授 就任
2014年保健医療福祉学部社会福祉学科 特任教授 就任
2019年吉備国際大学 定年により退職
現在に至る
どうしたら人と出会えるか?、どこに相談に行ったら良いか?という漠然とした悩みを抱えていた岡山に来たばかりの頃、「まずはここで話してみて」と言って色々な方とつないでくださいました。社会活動をする人にとってすごく心強い場所です。