2017年7月25日から8月5日の13日間、韓国のトンヨンで開催された「第2回 Bridge to the World 国際ユースキャンプ」についてお伝えします。このキャンプでは、“共生”をテーマに世界13都市からの参加者たちと国連の定めたSDGs(持続可能な開発目標)についての議論や異文化交流、その他体験活動を行いました。
「もっと社会や世界の課題について、様々な国の人達と考えたい。キャンプ参加後も活動を次につなげていき、多くの人と共有したい。」という想いから、この国際ユースキャンプに参加しました。
参加者は、まず4つのチームに分かれ、自己紹介やアイスブレイクのためのゲームをしました。最初はみんな緊張している様子でしたが、徐々に距離が縮まっていきました。
午後からはオープニングセレモニーがありました。講演を聞いた後に簡単なディスカッションが行われ、各国の若者がしっかりと自国の課題を認識し、発言する姿にとても良い刺激を受けました。
2日目はまず、「世界を100人で表すと(if world is 100 people)」を見た後に、資源共有についてお菓子を使っての体験をしました。最初はたくさんお菓子の入った袋を各チームに渡され、そこから一人ずつ適当な量を取って次の人に回すという単純なゲームでした。しかしながら実は「袋の中のお菓子=限りある資源」を意味していて、現在の社会の中でも無意識に、もしくは故意的に有限な資源を搾取してしまうことがあるのではないかと考えました。
その後、ランチは「格差体験」という面白いプログラムに。
参加者たちはくじを引き、ランダムに上流階級、中流階級、下流階級に分けられました。
上流:テーブルや椅子、デザートつきランチ。
中流:テーブルはなく、デザート無しランチ。
下流:テーブル、椅子、箸なし。全て参加者のランチを準備し、自分たちのランチは少しだけ。
この格差体験プログラムを体験して、各階級で何を感じたか意見を出し合いました。私は中流階級として体験をしましたが、中流階級で出た意見としては、
等でした。この体験を通して、世界中で課題となっている経済格差に関してより理解を深めることができました。
このキャンプ中、数回行われた「参加者同士が自分の気持ちを皆に共有する時間」。
参加者全員で輪を作り、一人ひとりが自分の気持ちを話し、相手の気持ちを知る機会となっていました。この時間が参加者同士の中で微妙にあったわだかまりをほぐしてくれました。参加者一人ひとりの想いを聞くことにより、改めてそれぞれがそれぞれの気持ちを抱えながらプログラムに参加していることがよくわかりました。
この経験を踏まえて、どんな組織にいたとしても、心の奥底で考えていることを共有することが組織の中でのプログラムを円滑に行う上で大事なことでもあるのだろうと思いました。
キャンプの行われたトンヨンは海近くの場所に位置し、多くの観光客でにぎわう街でした。その中に、アート作品が施された壁が沢山連なる観光地もありました。そこで、2つの壁に「水を守ろう」という意味を込めて皆で作品づくりに取り組みました。参加者同士でアイディアを出し合い、完成した時には達成感と共に、良い疲労感もありました。
多くの観光客がこの作品を見て、少しでも水という大切な資源のことを考えるきっかけになればと願います。
通常のプログラムは研修センターで行われていましたが、3日間だけは島で生活をしました。この3日間の中で様々な面白い経験を培うことができました。カラオケの機械を動かしたり、綿あめを作ったりするためのエネルギーを生むために自転車をこぎました。何となくここから「共生」を実感することができました。なぜなら、誰かが歌うためには誰かがこがなければならず、お互いに助け合う必要があるからです。私たちは1人で生きていくということは不可能であり、必ず人との関わりがある中で生きていかなければならないと思います。年齢や性別、国籍関係なく、お互い思いやることによって「共生」が成り立つのではないでしょうか。
他にも、ベジタリアンへの理解を深める映画を見たり、エネルギー節約啓発のためのビデオを作ったりもしました。私はこのような映画を初めて見たためか、とても衝撃が大きかったです。見た直後は豚肉を食べることが出来ず、現在もはっきり豚肉だと見えてしまうもの、わかってしまうものは食べるのに抵抗があります。ただ、この映画は、「今後豚肉は食べてはいけない」ということを伝えたいだけのものではありません。1匹1匹に人生があり、有難みを感じながらいただくことが大切だと思いました。そして、食べ物を粗末にしてはいけないと改めて感じました。
島ではゴミ拾いも行い、観光客によるゴミが多いと感じました。面倒かもしれませんが、自分が持ってきたものは自分で全て持ち帰るのが基本です。「塵も積もれば山となる」とあるように山となってしまったゴミを、ボランティアで全て拾い集めるのは困難だと思います。これ以上地球上にゴミが溢れかえらないようにするためにも、一人一人がゴミの量を減らす、あるいはゴミを持ち帰ることを意識し、実行することが大切だと感じました。
プログラムの中には異文化交流をするための時間も設けられていました。
参加国の様々な文化を様々な視点から知ることができ、とても良い機会になりました。ほとんどの国の子たちが伝統衣装を身にまとい、場の雰囲気も盛り上がりました。さらにプレゼンテーションでは、インドネシアの子たちはダンスを、キルギスタンの子は素敵な伝統楽器を皆に伝え、私たち日本人も岡山のことを含め、日本の素晴らしいところを紹介しました。食文化も、実際に食べたり飲んだりすることでよりその国の文化への理解を進めることができました。
このBTW 国際ユースキャンプに参加したことで「共生」をキーワードに多くの学びを得ることができました。
たとえ国は違っても人であることに変わりなく、皆がより良い世界になることを願っています。また、それぞれの国がそれぞれに問題を抱えていて、ただ先進国と途上国で違うだけではなく、気候や文化、土地によっても違いが生まれていることに改めて気づかされました。もっと「当事者意識」をもって身近な問題から世界で起こっている問題を考えたいです。
このキャンプで学んだことをぜひたくさんの方々に共有したいと考えています。
さらに今後の自分の人生の中でも今回のキャンプで学んだことを忘れず、これからの社会や未来に貢献できる人間になりたいです。今後もESD活動には携わっていきたいと考えています。今回は貴重な機会を頂くことができ、本当に感謝しています。
鹿児島県出身。現在岡山大学文学部4回生。
大学では留学生支援ボランティア団体WAWAやEPOKバディとして留学生の生活サポート、学外ではNPO法人だっぴにて活動中。またタイ、アイルランド、中国(北京、上海、吉林)にて留学や研修を経験。
BTW国際ユースキャンプの後、9月に開催された第4回ESD日本ユースコンファレンスに参加。