わたしは薬屋を営んでおります。【薬を売らない薬屋】です。
安価で質の高い医療行為を受けることができるのは確かに我が国のメリット。しかし増大する医療費で国は沈みつつあり、慢性病に苦しむ人々の増加にも歯止めがかかりません。
そこで、【薬に頼らないで済む丈夫な身体づくり】
そして、【最小限の服薬で最大限の効果が得られるような身体づくり】
これらを応援したい!との気持ちから、少し変わった薬屋を営んでおります。
【いのちの授業】とは、福岡県でめぐみ助産院を開業されている助産師の寺田恵子先生が取り組まれている講座です。
寺田先生がこの講座を始められたのは、長崎県で2004年に起こった小学生女児殺傷事件がきっかけでした。これは小学6年生の女子児童がカッターナイフで同級生の女児を切りつけ殺害した事件で、当時、世間に大きな衝撃と波紋を広げました。
そうした事件を背景に、あまりに命が軽んじられている現代に生きる子ども達に対して、大人として助産師として伝えられる事が何かあるはず…と駆り立てられる思いで、寺田先生は活動を始められました。
いのちの尊厳、差別のない社会、親子の絆…当たり前だけど大切なこと。
しかし現代、それらをあえて口にし、具体的に接触する機会を設けなければ、当たり前のことを育むことが難しい世の中になっていることも確かです。
助産師ならではのリアルな出産シーンの再現や親子でのふれあいワークを取り入れたこの活動は、テレビや新聞などの各種メディアにも取り上げられるようになり、全国各地で感動の嵐を巻き起こしています。
そして2011年、わたしは報道ステーションの特集で、偶然この【いのちの授業】と出会いました。
番組を見ている途中から、「これはまだ知らない方々に伝えなくてはいけない!地域の方々にも知っていただきたい!特に子ども達には絶対に体験してもらいたい!」という思いが溢れて止まらなくなったのです。
そこから無我夢中で寺田先生にメールを出したのが、そもそもの始まりです。
先生は名前も知らない人間の突然の要請に快く応えてくださいました。
【薬を売らない薬屋】ふくべの理念と寺田先生の想いが共鳴して、2012年に【いのちの授業】を初開催することができたのです。
初めての開催場所は岡山市立福浜小学校の多目的教室でした。
土曜日の午前中に開催し、参加はどなたでも可能でしたが集まったのは親子合わせても10数名。
それでも【いのちの授業】の前後で比べると、児童たちの目の輝きが違います。
授業前は、「いのちってなんだろう?」というつかみどころの無い思いが、「いのちはここにある!」「わたし達は生きている!」という確かな実感に変わっていることが手に取るように分かりました。
生命誕生の仕組みの説明や、親⼦でのふれあいを通して命のかけがえのなさを学びます
そんな変化、そして参加者の声、実際に授業を目の当たりにした教師の方々の想いも重なって、2012年秋には小学校のカリキュラムとして授業参観での【いのちの授業】開催が決定したのです。
以来毎年開催することができ、幼稚園や小学校だけにとどまらずオープンな市民講座としても広がりをみせています。
これまでの参加者は延べ千名を超えました。そしてこれからも継続していくことができたらと考えています。