岡山地域では、ユネスコによるESDの取組がスタートした2005年に、岡山市が主体となって岡山ESD推進協議会を設立するとともに、「岡山ESDプロジェクト基本構想」を策定しました。同年6月には、国連大学から世界初のRCE(ESDに関する地域拠点)の7ヵ所の一つに認定され、それ以降、公民館やユネスコスクールを拠点とし、学校や市民団体、企業、行政などの多様な主体が連携して、地域全体でESDを推進しています。
特に、2014年に岡山市で開催された「ESDに関するユネスコ世界会議」を契機に、全市域におけるESDの普及啓発活動が活発に行われ、地域に幅広くESDが浸透しました。また、岡山地域で行われてきた、多様な主体の参画による地域コミュニティに根差したESD実践は、「ESD岡山モデル」として世界会議において発信され、関係機関や参加者から高く評価されました。
ESD世界会議の参加者
ESD世界会議の市長挨拶
こうしたESD活動の広がりにより、2022年3月には約340団体が岡山ESDプロジェクトに賛同し、岡山ESD推進協議会に登録しています。これまで本協議会では、多様なステークホルダーに対し様々な支援を行うとともに、人材の育成に繋がる事業を実施してきました。
各地域では、多様な活動団体が持続可能な社会づくりに向けた課題解決に取り組んでいますが、課題が複雑かつ密接に繋がっており、様々な創意工夫や他団体との連携などで課題を解決していく必要があります。そこで、本協議会では、団体交流会や学び合いのフォーラムを開催し、今後の活動のヒントや新たなアクションに繋がる連携の機会を創出しています。
また、学校においては、生徒の皆さんが総合的な学習の時間を活用して、各地域の特性に応じた様々な社会課題の解決に取り組んでいます。これらをホームページで紹介したり、高校生のSDGsの取組をイベント等で発表する機会を作っています。
ESDフォーラム
イベントでの高校生発表
ESD活動で最も重要な人材の育成に関しては、各地域で活躍するコーディネーターを養成するための研修を開催しています。研修では、ESDの視点で地域課題を解決するプログラムの構築を学び、所属団体での中心的な役割を担って活動の発展に貢献する人材を育成しています。
また、次世代を担う若者が持続可能な地域づくりに取り組むことを目指し、大学生等を対象としたESD学生インターンシップを実施しています。参加者は地域や社会の課題解決に取り組む公民館や市民団体の活動現場に参加し、学びや体験を通じて、意識や行動の変容に繋げてもらいます。
コーディネーター研修
ESD学生インターンシップ
岡山ESD推進協議会では、持続可能な社会づくりに向けた実践活動として、海洋プラスチックごみをはじめとする海ごみの削減を目指し、「SDGs守ろう!海川プロジェクト」を実施しています。内容としては、多様なステークホルダーや岡山連携中枢都市圏の各自治体と連携して、河川の清掃活動やフォーラム、パネル展を開催し、海に流入する河川ごみの現状を学ぶとともに、考え、行動するきっかけづくりを行います。
河川ごみの清掃活動
パネル展
岡山地域では、2005年から積み上げてきたESD活動の成果として、数多くの団体が各地域で活発に活動を展開し、多くの優れた人材が活躍しています。また、岡山ESD推進協議会が行う岡山ESDプロジェクトの取組は、世界からも高く評価されており、岡山地域は国内外のESDをリードする存在となっています。今後も多様なステークホルダーと連携して、ESDの取組をより一層推進し、実践に繋げることで、SDGsの達成に貢献していきます。
「コーディネーターが重要」
ESD活動で最も重要な人材育成として、コーディネーター研修を実施されていて、まさしくそこが重要と、とても共感します。研修を修了しても、つながりがその後の展開を生みそうですね。