ノートルダム清心女子大学 3年 F.R.
コマは誰もが一度は手に取って遊んだことのあるおもちゃではないだろうか。本書では、コマはまるで子供のように描かれている。しかし、コマの持ち主である正太は亡くなってしまう。最も印象に残る場面は、コマが不平をこぼす場面である。まるで駄々をこねる子供を表現しているようである。その様子は、2度も描かれる。一度目は、正太がコマを廻した時、二度目は正太の弟がコマを廻した時。不平をこぼすのは決まってコマとして廻されたときである。なぜ不平をこぼすのか。私は、このコマの抱く不平にこそ作者が読者に伝えたいことが隠されているのではないかと感じた。不平とは、コマとして長く存在できるよう優しく扱ってほしいという願いではないか。人間もおもちゃも感情があるならば、長生きしたいと願うのではないか。本書では、人間とコマを対にして描くことで命の大切さ、儚さを描いていると思った。
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