ノートルダム清心女子大学 3年 高橋蓮都
正太のまわしているコマは、「鉄の厚縁」のコマであった。そして正太は、次の日にすぐにでもそのコマをまわすことができるように、麻緒を「解けないように結んで」いた。正太の不器用な性格は「鉄の厚縁」として感じられ、不器用ながらも麻緒を丁寧に巻いているところからは、正太の優しさを感じ取ることができた。そんなコマの様子から、正太の両親は「正太の小さな命」を感じ取っている。正太にとってコマは、自分自身を反映する鏡のようなものだったのだろう。
そして、そのコマは、ネズミの家族によってぞんざいな扱いを受けることになる。それは、決して悲しみを描き出したのではなく、正太から両親への、不器用ながらも「もう自分は大丈夫だ」というメッセージが込められていたのではないかと思った。
悲しみと温かさの入り混じった話であった。
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