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答申第44号

[2010年3月8日]

ID:17162

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岡情審査第252号
平成18年3月24日

岡山市議会
議長 花岡 薫 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成17年4月26日付け岡議総第1333号による下記の諮問について次のとおり答申します。

平成15年度陳情書及び請願書並びに当該文書に係る審査関連文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市議会(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定において、非開示とされた項目のうち、法人印及び法人の代表者印の印影については開示すべきである。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年3月9日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年3月22日付けで、本件公文書記載事項のうち、個人の氏名、住所、電話番号及び印影等については、条例第5条第1号に規定する非開示情報である個人情報(以下「個人情報」という。)に該当することを理由に、また、法人印及び法人の代表者印(以下「法人等の印」という。)の印影(以下「本件印影」という。)については、条例第5条第2号に規定する非開示情報である法人情報(以下「法人情報」という。)に該当することを理由に非開示とする、一部開示決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 上記決定を受けた申立人は、実施機関に対し、同年4月11日付けで、本件処分は理由付記の要件を欠き違法であるとして、また、本件印影に係る非開示決定処分の取消しを求めることを内容とする、本件異議申立てを行った。
4 それに対して、実施機関は、同年4月26日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.実施機関及び申立人の主張要旨
実施機関及び申立人の主張の要旨は、次のとおりである。
1 実施機関の主張要旨
(1)本件処分の理由付記について
実施機関は、本件印影が法人情報に該当すると判断し、公文書一部開示決定通知書において、「法人の印影は、岡山市情報公開条例第5条第2号の法人情報に該当するため」との非開示理由を付記するとともに、申立人が了知し得るよう、上記趣旨について口頭でも説明を行った。したがって、理由付記の要件を欠く違法なものとは言えない。
(2)本件印影の非開示について
申立人は、法人等の印が押印された文書は多数あるはずであるという推論から、本件公文書記載の法人は不特定多数の者に本件印影が広く知れ渡ることを容認していると主張しているが、特定の信頼関係のある者に知られることは想定されるものの、不特定多数に知れ渡ることを容認しているとは言えない。
また、本件印影は、偽造等の悪用により、法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報であると判断して、非開示としたものである。
2 申立人の主張要旨
(1)本件処分の理由付記について
実施機関は、公文書一部開示決定通知書に付記すべき理由について、条例第5条第2号所定の非開示理由のどれに該当するかを、その根拠とともに個別具体的に立証しなければならず、また、開示請求者が了知し得るものでなければならない。
条例第10条第1項では、非開示理由は、一般人が容易に理解し得るものでなければならないと規定されており、本件処分の理由付記は、必要かつ十分条件を満たしておらず、要件を欠き違法である。
なお、非開示理由についての口頭説明を行ったことをもって違法なものとは言えないとする、実施機関の主張は失当である。
(2)本件印影の非開示について
本件公文書記載の法人は、当該法人の目的達成のために必要な活動を行っており、法人等の印が押印された、各種の契約、照会、通知、回答及び報告等の文書は多数あるはずである。
このように、法人等の印が常用される実態から勘案すれば、当該法人は不特定多数の者に本件印影が広く知れ渡ることを容認し、これを介して、さらに本件印影が広く知られ得る状態に置かれているということができる。
したがって、本件印影については、これを開示しても当該法人の正当な利益等が損なわれるとは認められないため、開示すべきである。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書について
本件公文書は、平成15年度中に、岡山市議会に対して提出された請願書及び陳情書並びに当該文書に係る審査に関連した次に掲げる文書である。
請願書
陳情書
陳情文書表
陳情の審査結果について
閉会中の継続審査及び調査の申し出について
陳情の審議結果について
陳情の送付及び処理の経過並びに結果報告の請求について
陳情の処理経過及び結果について
陳情取下申出書
実施機関は、本件公文書のうち、請願書及び陳情書中の、個人の氏名、住所、電話番号及び印影等については、個人情報に該当することを理由に、また、請願書、陳情書及び陳情取下申出書(以下「本件請願書等」という。)中の、請願、陳情及び陳情の取下げを行った法人が押印した本件印影については、法人情報に該当することを理由に、非開示とした。
このうち、申立人は、本件請願書等中の、請願、陳情及び陳情の取下げを行った法人が押印した本件印影に係る非開示決定処分に対して、異議申立てをしているものである。
2 本件処分の理由付記について
(1)実施機関は、本件印影が法人情報に該当すると判断し、公文書一部開示決定通知書において、「法人の印影は、岡山市情報公開条例第5条第2号の法人情報に該当するため」との非開示理由を付記するとともに、申立人が了知し得るよう、法人情報の趣旨について口頭でも説明を行っているので、理由付記の要件を欠き違法なものとは言えないと主張している。
これに対して、申立人は、実施機関の記載した非開示理由は、一般人が容易に理解し得るものでなければならないという条例第10条第1項の要求する理由付記の条件を満たしていないため、本件処分は、理由付記の要件を欠き違法であると主張している。また、非開示理由についての口頭説明を行ったことをもって違法なものとは言えないとする、実施機関の主張は失当であると主張している。
(2)条例第10条第1項は、「実施機関は、前条第1項又は第2項の規定により、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、当該非開示決定又は一部開示決定の通知において、その理由を示さなければならない。この場合において、当該理由は、当該通知の内容から一般人が容易に理解し得るものでなければならない。」と規定されており、非開示理由の付記のあり方については、「一般人が容易に理解し得る」ように記載すべきであることは、申立人の主張するとおりである。
本件においては、実施機関は、本件公文書の非開示理由を、条例第5条第2号の法人情報に該当するためと記載しているが、個別具体的非開示理由の記述はなされていなかった。
(3)しかしながら、実施機関は、単に根拠規定を付記しただけではなく、法人情報に該当する旨記載しており、口頭の説明で、「開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」と申立人が了知し得るよう努めていることは認められた。
したがって、非開示理由が具体的に記載されていないことをもって、本件処分が違法であるとまでは言えないと判断する。
3 法人情報該当性について
(1)条例第5条第2号本文は、「法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」を非開示情報として規定している。
(2)申立人は、法人等の印が押印された文書は多数あるはずであり、本件公文書記載の法人は不特定多数の者に本件印影が広く知れ渡ることを容認し、これを介して、さらに本件印影が広く知られ得る状態に置かれているため、本件印影を開示しても、当該法人の正当な利益等が損なわれるとは認められないと主張している。
これに対して、実施機関は、当該法人は不特定多数の者に本件印影が広く知れ渡ることを容認しているという申立人の主張は推論であり、「特定」の信頼関係のある者に知られることは想定されるものの、「不特定多数」に知れ渡ることを容認しているとは言えないと主張している。また、本件印影については、偽造等の悪用により法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断して、非開示としたとも主張している。
(3)法人等の印が銀行印等金銭的業務にかかわる文書その他の重要書類に使用される場合、その開示、公表は本件公文書記載の法人の正当な利益を害するおそれがあるとする実施機関の主張は、一般論としては理解し得なくはない。
しかし、本件印影は、岡山市議会への本件請願書等に、本件請願書等の提出者である個人及び団体とその代表者の氏名及び住所とともに、本件請願書等の提出者を証明する目的で押印されているのであって、それ以外に特殊な情報が含まれているわけではない。しかも、いわゆる内部管理事項にふさわしい厳密な管理・使用が要請されるはずの銀行印等を、こうした本件請願書等に押印する可能性は通常少ないと考えられる。したがって、本件印影を開示することにより、当該法人等の「権利、競争上の地位その他正当な利益」が損なわれるおそれがあるとの実施機関の前記主張の妥当性を肯定することはできない。
(4)また、実施機関は、本件印影を公開した場合、本件印影から偽造された印鑑の悪用によって、法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとも主張している。
実施機関が危惧する印鑑の偽造及び偽造印鑑の悪用等のおそれがないとは断言できないが、本件印影を開示することと印鑑偽造及び偽造印鑑の悪用等の犯罪行為との関連性は直接的なものではなく、犯罪者が不法な意図をもって、開示された印影を用いて印鑑偽造を行い悪用するのは、あくまで異例の事態と考えられる。したがって、印鑑偽造及び偽造印鑑の悪用のおそれを理由として本件印影を非開示とする実施機関の主張についても、その妥当性を認めることはできない。
(5)以上のとおりであるから、条例第5条第2号の法人情報該当性を理由にして、本件印影を非開示とした実施機関の処分は妥当とは言えず、本件印影については、その全てを開示することが妥当であると判断する。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は、次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成17年4月26日 諮問書の収受
平成17年5月26日 実施機関側意見書の収受
平成17年6月20日 申立人側意見書の収受
平成17年7月25日 審議
平成17年8月22日 審議
平成17年10月24日 実施機関側及び申立人側口頭意見陳述並びに審議
平成17年11月28日 審議
平成17年12月19日 審議
平成18年1月23日 審議
平成18年2月20日 審議
平成18年3月13日 審議
平成18年3月24日 答申

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