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答申第15号

[2010年3月4日]

ID:17130

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岡情審査第14号
平成13年8月24日

岡山市教育委員会
委員長 西田 秀史 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成12年11月2日付け岡市教委指第625号による下記の諮問について次のとおり答申します。

市立中学校等において行われた会議に関する会議録、メモ、資料その他一切の文書(以下「本件文書」という。)の開示請求に対して、一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件文書に関して岡山市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った一部開示の決定は、妥当である。
ただし、当審査会の調査の過程で実施機関から提出され、その存在が明らかとなった文書、すなわち本件異議申立ての争点となっているメモが公文書に該当しないことを確認するために、平成12年3月初旬に作成され、メモとともに同年3月15日開催の教育委員会協議会に提出された文書については、新たに対象公文書として特定し、公務員以外の個人氏名部分を除いて開示すべきである。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立人の子に対する他生徒からの暴力行為事件について、加害生徒の属する3中学校の教職員や教育委員会の生徒指導担当者らが対策を話し合った会議等の会議録の開示を求め、平成12年2月22日付けで、実施機関に対し、岡山市情報公開及び個人情報保護条例(昭和62年市条例第43号。以下「旧条例」という。)第6条の規定に基づく開示請求(以下「一回目請求」という。)を行った。その具体的内容は、次の各号のとおりである。
(1)平成12年2月7日に興除・妹尾・光南台の3中学校の教員が興除中学校において行った会議の会議録
(2)平成12年2月14日に市役所庁舎内で行われた「生徒指導対策会議」関係課の連絡調整会議録
(3)平成12年2月16日に市役所庁舎内で行われた興除・妹尾・光南台の3中学校の校長が集まって行った会議の会議録
(4)平成12年2月10日の「学警連絡会」の会議録
(5)平成12年2月15日の「学警連絡会」の会議録
2 実施機関は、一回目請求で開示対象とされた会議録は作成されておらず、職員の個人的なメモしか存在しないとして、平成12年2月29日付けで、申立人に対して公文書不存在通知を行った。
3 それに対し、申立人は、平成12年3月13日付けで旧条例第25条第1項の規定により、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づく異議申立て(以下「一回目申立て」という。)を行い、会議出席者のメモを公文書として開示すべきである旨主張したが、実施機関は、同年3月15日開催の教育委員会協議会において、当該メモが公文書に該当しないことを再確認したうえで、公文書不存在通知は同法第4条第1項に規定する「処分」に該当しないため、一回目申立ては要件を欠く不適法なものであるとして、同年4月26日付けの決定で却下した。
4 その後、申立人は、請求対象公文書の範囲を次の各号に掲げる文書に変更し、平成12年9月5日付けで、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づく開示請求(以下「二回目請求」という。)を行った。
(1)平成12年2月7日に興除・妹尾・光南台の3中学校の教員が興除中学校において行った会議について
ア 会議記録、メモ、その他会議の内容を記録した文書全て
イ 会議において資料として使用された一切の文書
(2)平成12年2月14日に市役所庁舎内で行われた「生徒指導対策会議」ないし中学校生徒指導関係各課の連絡調整会議について
ア 会議記録、メモ、その他会議の内容を記録した文書全て
イ 会議において資料として使用された一切の文書
(3)平成12年2月16日に市役所庁舎内で行われた興除・妹尾・光南台の3中学校の教員が集まって行った会議の会議録
ア 会議記録、メモ、その他会議の内容を記録した文書全て
イ 会議において資料として使用された一切の文書
(4)平成12年2月1日から平成12年2月29日までの間に、興除・妹尾・光南台の各中学校で行われた職員会議の会議記録のうち、生徒指導に関する部分全て及び当該部分に関し会議で配付された文書全て
5 二回目請求に対して、実施機関は、平成12年9月19日付けで、4(1)ア、4(2)ア、4(3)アのうち、「会議記録」及び「メモ」については、一回目請求の場合と同様、会議記録は作成されておらず、メモは公文書に該当しないとして、文書不存在を理由に非開示とした(旧条例と異なり、現在の条例では不存在の場合でも、非開示の決定をすることが義務付けられている。)が、「その他会議の内容を記録した文書」に該当するものとして、実施機関の担当者が申立人からの一回目請求及び一回目申立てに関する担当者引継用資料として作成していた文書中に会議の内容に関する部分があったので、条例第5条第1号に定める非開示事由である個人情報(以下「個人情報」という。)に該当する部分及び請求対象外部分を除いて当該文書を開示した(「○○氏が文書開示請求している会議の内容と対応について」と題する文書で、平成13年6月14日実施機関補充意見書では「別紙文書2」と称されている。)。また、4(1)イ、4(2)イ、4(3)イ、4(4)についても、個人情報に該当する部分を除いて開示を行った。
6 その決定を受けて、申立人は、平成12年10月21日、次の各号に掲げる部分の開示を求めて、本件異議申立てを行った。
(1)個人情報該当を理由に非開示とした部分のうち、
ア 申立人本人及びその子が識別され、又は識別されうる情報(以下「本人情報」という。)に関する部分
イ 加害生徒の加害行為に関する部分
ウ 公務員の職務の遂行につき当該公務員が識別され、又は識別されうる情報(以下「公務員情報」という。)に係る部分
(2)公文書に該当しないとされたメモ
7 本件異議申立てを受けて、実施機関は、平成12年11月2日付けで、当審査会に対し、条例第16条に基づく諮問を行った。
なお、実施機関は、本件諮問後、上記「別紙文書2」の内容のうち、請求対象外部分であるとして除外していた部分については、「条例上の非開示事由にも該当せず、公開したとしても何ら問題は生じないものであるから、申立人からの申し出があれば情報提供に応ずる。(実施機関側口頭意見陳述)」としている。

第3.審査会の判断
申立人と実施機関との間における本件異議申立てをめぐる諸問題に関し、当審査会は以下のとおり判断する。
1 本件異議申立てにおける争点について
本件異議申立てにおける争点は、申立人が開示を請求している部分に関する実施機関の非開示決定が妥当であったか否かである。具体的には、前記第2の6(1)及び(2)に掲げた点について検討していくこととする。
2 個人情報該当を理由に非開示とされた部分について
(1)当審査会が職権による調査を行った結果、本件文書中で個人情報該当を理由に非開示とされた部分は、すべて個人氏名(本人情報を含む)に関する部分であった。条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの」を非開示情報としている。個人の氏名はそれのみで明らかに個人を識別できる情報であり、個人情報に該当するので非開示の決定は妥当である。
(2)(1)で述べたとおり、本件文書中における個人情報該当を理由とする非開示部分は、個人氏名に関する部分のみであり、申立人が開示を要求している加害生徒の加害行為に関する記述の存在は認められなかった。
(3)また、申立人は、本件文書中で非開示とされた個人情報のうちの公務員情報の開示を求めているが、公務員情報については、条例第5条第1号ただし書ウで、「当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分」の開示が義務付けられており、それを受けて、本件文書においても、公務員情報については既に開示済みであり、新たに開示すべき部分はない。
(4)以上のことから、本件文書中で非開示とされた個人情報のうち、その非開示の妥当性が問題となるのは、本人情報に関する部分ということになる。
申立人は「本人情報は、当該個人のプライバシーを考慮する必要のないものであって、非開示事由としての個人情報に該当しない。情報公開条例による開示請求をする場合に当たって、開示を請求しようとする情報の中に請求者自身の氏名も含まれている可能性がある場合には、請求者は情報公開条例に基づく開示請求と個人情報保護条例に基づく自己情報の開示とを併用しなければ開示を得られない、ということになってしまう。これは開示請求者に対して著しい煩瑣を強いるものであり、許されない解釈というべきである。(平成13年5月21日申立人側補充意見書)」とし、条例第3条第1項に基づく開示請求による本人情報の開示を求めている。
しかし、条例は、個人情報に該当するか否かのメルクマールとして、プライバシー性ではなく、「個人を識別することができる」かどうかという個人識別性を採っており、本人情報についても異なる取扱いは認めていない。仮に、本人情報の開示制度を持たない自治体であれば、情報公開制度において、その解釈により本人情報を開示する必要性及び可能性につき検討する余地がありうるかもしれないが、岡山市では、岡山市個人情報保護条例(平成12年市条例第34号)第11条第1項によって、本人情報の開示を制度的に保障しており、その権利の保護に欠けるところはない。
したがって、条例第3条第1項の規定に基づく開示請求に対して、本人情報を含めて個人氏名を非開示とした決定は妥当である。
3 公文書に該当しないとされたメモについて
(1)条例第2条第2号は、公文書について、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(略)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」と定義している。
(2)本件異議申立ての争点となっているメモは、少なくとも教職員らの私的な会議ではなく、学校あるいは市庁舎内で職務として行われた会議について、出席した教職員らが作成したものであるから、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」であることには疑問の余地がない。
(3)問題は、それらが「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」に該当するかどうかである。
この点に関して、実施機関は、当初、当該メモが「組織的に用いるもの」ではないことを主たる理由にして、公文書該当性を否定するとともに、メモの原本については作成者に返却し、各自の処分に委ねた結果、再提出の要請にもかかわらず原本の提出がなかった、また、その写しについても、平成12年3月15日の教育委員会協議会終了後、回収し破棄したなどと主張することにより、その物理的存在そのものをも否定ないし疑問視する態度を示していた。
しかし、平成13年5月1日に行なわれた口頭意見陳述の際に、上記教育委員会協議会のために作成・提出された、メモの所在等についての調査結果をまとめた文書(岡山市教育委員会指導課が作成したことが明示されている「○○氏が文書開示を請求している会議の内容と対応について」と題する文書で、平成13年6月14日実施機関補充意見書では「別紙文書1」と称されている。)及び7件のメモの写しが、「(当時の)担当者の一人が(略)廃棄するのを忘れて個人的にもっていたもの(上記補充意見書)」が調査・確認の過程で見つかったとして、実施機関により、当審査会に提出された。
そこで、当審査会において、上記7件のメモの写しにより、本件メモの内容並びにその利用及び保管の状況について調査・検討したところ、本件メモは、作成者により一定の差異はあるものの、判読困難なものが多く見られ、また、内容も個人の備忘録的水準にとどまっているなど、その内容・形式のいずれから見ても、作成者以外の職員の利用を前提にして作成したものとは見受けられず、「実施機関の職員が組織的に用いる」文書と判断しがたいものである。
また、利用及び保管の状況に関しても、前述したように組織的に利用されうる状況ではなく、各作成者が個別に保管又は廃棄しており、平成13年5月21日申立人補充書において申立人が主張しているような事実、すなわち、他の公文書と一括して管理されることにより、組織的に保有・管理された公文書の一部になるといった事実も認められなかった。
したがって、本件メモは「実施機関が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」には該当せず、条例上の「公文書」に該当しないとの理由で、それを非開示とした実施機関の決定に誤りがあったとはいえない。
(4)なお、この点に関し、当審査会の審議の中で、必ずしも全ての会議について言いうることではないが、本来会議録を作成すべきであるにもかかわらず、会議録が作成されておらず、職務上作成された職員個人のメモのみが存在し、他に当該会議に関する記録が存在しないといった本件の如き特殊な状況下においては、当該メモを会議録に準ずるものとして開示すべきであると主張する少数意見があったことを付記しておく。
(5)次に、実施機関が、メモの写しとともに提出した文書(「別紙文書1」)についても当審査会の判断を示しておきたい。
当該文書につき、実施機関は、それをメモの写しと一体のものとみなしたうえで、「公文書として残す必要はないと判断し、協議会終了後、回収し廃棄した(平成13年6月14日実施機関補充意見書)」と主張していたため、申立人及び当審査会もその存在を知り得ず、本件異議申立てにおいてもこれまで全く問題とされていなかった。それが、上述したように、平成13年5月1日に行なわれた口頭意見陳述の際に、実施機関から、メモの写しとともに当審査会に対して提出され、初めてその存在が明らかになったのである。
そうした経緯は別として、当該文書について検討したところ、それはメモの所在等をまとめ、教育委員会協議会において組織としての判断を求めるために作成・提出された文書であって、メモ及びその写しとは異なり、本来は協議会の会議録と一体のものとして、適正に管理されるべきものである。しかも、フロッピー等の電磁的記録の形態での管理・保有が可能であり、通常は、そうした形態で実施機関が保有していることが期待・推測されうるものであることからも、当該文書は公文書として取り扱われるべきものと考えられる。
しかし、実際には、実施機関は、会議録作成を怠り、また、当該文書をメモの写しとともに回収・廃棄したと主張し、結果的に、当該文書は、公文書としても、あるいは、開示請求の対象文書としても、取り扱われず、したがってまた、開示されてこなかった。
今回、当審査会の調査過程において、たまたま回収廃棄されないままに職員が保有していたという当該文書のコピーが発見・提出され、その存在が明らかになったが、当該文書については、特に実施機関の側からその公文書該当性を否定する主張がなされているわけでもないことから、あらためて本件での請求対象公文書(「その他会議の内容を記録した文書」)として特定し直し、個人情報に該当する部分を除いて、開示すべきである。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第4.答申に当たっての補足意見
1 本件異議申立てにおける調査審議の中で明らかになったことであるが、当審査会としては、教育委員会における文書管理、特に学校現場における会議記録のあり方には問題があったと考えざるを得ない。
実施機関は、「これまで生徒指導に関わる会議については、情報交換や伝達の会が多く、また個人情報に関わるものがほとんどのため、記録を残さないのが慣例となっていた。(平成13年6月14日実施機関補充意見書)」とする。
確かに、岡山市教育委員会文書取扱規程(平成8年市教育委員会訓令甲第4号)第16条は、「事案の処理は原則として文書による」ものとしており、必ずしも全ての会議について会議録の作成を義務付けてはおらず、実施機関が主張するように、情報交換・伝達のみの会にまで、会議録の作成を義務付け、事務を煩瑣にする趣旨とは解されない。しかし、本件異議申立てにおいて対象とされた会議は、必ずしもそうした性格のものとは言い切れず、その中には、明らかに会議録若しくは何らかの記録を作成すべきであったと思われる会議も含まれていた。
また、実施機関は、「個人情報に関わるものがほとんどのため、記録を残さない(平成13年6月14日実施機関補充意見書)」としているが、個人情報該当性は、開示非開示の段階に至って初めて問題とされるべきものであって、会議録不作成の理由にはならない。
2 それらの点については、実施機関もその文書管理が適切さを欠いていたことを認め、「今後は、会議録の作成について見直しを図り、会の性格をよく吟味した上で、必要な場合は、会議録をきちんと取るよう学校に指導していきたい。また教育委員会内でも会議録の作成について整理していく予定である。(平成13年6月14日実施機関補充意見書)」としているが、当審査会としても条例第35条の趣旨を踏まえた適正な文書管理がなされることを強く要望するものである。
3 また、本件異議申立てにおける争点となったメモについては、条例第2条第2号の公文書には該当しないため、非開示決定が間違っていたとはいえないが、第3の3(4)に述べた少数意見の指摘する本件での「特殊な状況」に鑑みれば、メモを作成した職員の同意を前提にして、条例に基づく開示ではなく、任意の情報提供という方法を採用すべきものとも考えられる。この点につき、実施機関の再考を促したい。
第5.審査会の処理経過
当審査会の処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成12年11月2日 諮問書の収受
平成13年1月29日 実施機関の意見書の収受
平成13年2月16日 申立人の意見書の収受
平成13年2月27日 審議
平成13年3月27日 審議
平成13年5月1日 実施機関口頭意見陳述及び審議
平成13年5月21日 申立人の補充意見書の収受
平成13年5月22日 申立人口頭意見陳述及び審議
平成13年6月14日 実施機関の補充意見書の収受
平成13年6月19日 審議
平成13年6月29日 申立人の補充意見書の収受
平成13年7月24日 審議
平成13年8月24日 答申

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