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答申第19号

[2010年3月4日]

ID:17134

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岡情審査第24号
平成14年11月29日

岡山市教育委員会
委員長 森 靖喜 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市個人情報保護条例第17条の規定に基づく諮問について(答申)

平成14年4月8日付け岡市教委指第1231号による下記の諮問について次のとおり答申します。

市立小学校の小学校児童指導要録(以下「本件文書」)に記載された個人情報の訂正請求(以下「本件請求」という。)に対して訂正拒否とした決定(以下「本件決定」という。)に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件請求に対して岡山市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った訂正拒否の決定は妥当である。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 法定代理人に代理された異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件文書における第4学年時の「行動の記録」中の「(2)所見」欄に「学校から働きかけをするが登校はできない。」と記述されている点につき、「学校から働きかけをするが」という記述は適切ではなく、「保護者が学校へ再三働きかけをするが」と訂正するよう、平成14年2月7日、実施機関に対して、岡山市個人情報保護条例(以下「条例」という。)第12条に基づいて本件請求を行った。
2 それに対して実施機関は、平成14年2月22日付けで本件決定を行った。
3 この決定に対して、平成14年3月11日付けで申立人から実施機関に対して本件異議申立てがなされたため、同年4月8日、実施機関は条例第17条に基づいて当審査会に対して諮問を行った。

第3.実施機関及び申立人の主張の概要
実施機関及び申立人の主張の概要は、次のとおりである。
1 実施機関の主張要旨
「学校から働きかけをするが」の記述の根拠は、申立人の第4学年時における学校長と担任教諭によるそれぞれの具体的な働きかけの事実を客観的に判断して行った。「学校長の具体的な働きかけ」の記述の根拠は、母親からの文書・手紙・口頭等による質問や要望等に対し、20通以上の手紙やファクスを返して理解を求めたり、登校を促している事実に基づいている。また、「担任教諭の具体的な働きかけ」の根拠は、始業式以後、平均して月3回程度の家庭訪問を継続して1年間行ったこと、週1回は電話連絡し生活の様子を尋ねたり登校を促したりしたこと、学級内のことを知らせ、学級との絆づくりを行ったこと、運動会等の行事の情報や案内を送り参加を促したこと、学級の友人に誕生日カードを届けさせ登校を促したという事実に基づいている。
したがって、条例第12条が規定する「事実の記載の誤りがある」場合には該当せず、「学校から働きかけをするが」という記述を訂正する必要は認められない。
2 申立人の主張要旨
「学校長の具体的な働きかけ」については、平成14年4月には電話等何の連絡が無かったにもかかわらず、あったかのごとく主張するなど、時期及び回数が主張されている事実とかけ離れている。さらに、「担任教諭の具体的な働きかけ」についても、5月の訪問以降一ヶ月以上も音信不通であったにもかかわらず6月に週一回程度の連絡をしたと主張したり、行事開催の連絡はあっても主張している時期とは異なり行事終了後であるなど、事実と異なる主張である。また、不在であることを予告した日時に家庭を訪問されたり、さらに、9月終わりになって学校長からファクスが舞い込み始めたものの、慇懃無礼に書かれた文面に何の愛情も本心も見えないものであった。特に、クラスメイトから送られてきた誕生会カードにいたっては、心を傷つけるような内容で、余りにひどいものであった。
したがって、「学校から働きかけをするが」という記述は適切ではない。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件異議申立てに関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 自己に係る個人情報の訂正請求権について
条例第12条は、「何人も、実施機関に対し、自己に係る個人情報の記録について事実の記載の誤りがあると認めるときは、当該個人情報の記録の訂正を請求することができる。」と規定し、「事実の記載の誤りがある」場合には、自己情報の記録の訂正請求権を認めている。本条にいう「事実の記載の誤りがある」場合かどうかの判断に際しては、「事実の記載」と「評価の記述」とをはっきり区別することが困難な場合がある。したがって、単純な二分論で処理することには慎重でなければならないとしても、自己情報の記録の訂正請求権が認められるのは、基本的に「事実の記載」の誤りについてであることはいうまでもない。
2 本件文書について
本件文書は、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第12条の3により、学校長に作成が義務付けられているものであり、具体的な記載事項は、「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」とに分かれている。「指導に関する記録」の記載事項は、各学年の各教科についての学習の記録、各学年における行動の記録・指導上参考となる諸事項、各学年の出欠の記録とその備考となっている。
なお、「行動の記録」には、「(1)行動の状況」欄と「(2)所見」欄との項目があり、「(2)所見」欄は、行動の状況について総合的に見た場合の児童の特徴及び指導上留意すべき事項を記入するものである。
3 調査及び審議の経緯と訂正の要否についての判断
(1)当審査会は、本件文書における申立人の第4学年時の「行動の記録」中の「(2)所見」欄に記入された内容の訂正の要否、すなわち、「学校から働きかけをするが」との記述が「事実の記載の誤り」に該当するかどうかを判断するために、「学校から(の)働きかけ」の事実の存否を調査すべく、実施機関と申立人との双方から意見書を求めた。更に、実施機関に対し、平成10年度の学校長及び担任教諭からの「働きかけ」の具体的内容を列挙した表(「まとめ」)の提供を求め、その「まとめ」を申立人に送付するとともに、それについての申立人の意見書の提出を求めた。双方の意見書及び提出された表(「まとめ」)に基づき、訂正の要否について審議・検討した結果、以下の判断に達した。
(2)まず、実施機関と申立人の主張が対立している「学校からの働きかけ」という事実の存否について見ると、学校長の具体的な働きかけについては、申立人も意見書で述べているように、6月に電話(留守録)、9月にファクスによる連絡があったという事実が確認されている。また、担任教諭の具体的な働きかけについても、4月の電話連絡、5月の訪問、6月のプリント送付、9月からは定期的に連絡物が送付されているという事実は、申立人も一部認めているところである。
しかしながら、申立人が、その連絡の時期・方法・内容が適切ではなかった旨の主張をしていることから考えれば、学校長及び担任教諭にとっては、「働きかけ」のつもりでなされた行為であっても、申立人にとっては、学校側の誠意が感じられなかったり、心のこもった行為と受けとめられず、「学校からの働きかけ」と認識できなかったものと考えられる。
(3)実施機関が列挙した「学校からの働きかけ」の行為がすべて実際に存在したのかどうかについては、時期・回数をめぐって双方の意見が対立しており、また、申立人の主張するところでは、「学校からの働きかけ」の具体的内容や形態が教育的観点から見て極めて不十分であり、申立人の思いに沿わなかったものであったことが推察されるが、これらの点について審査会としては、確定的な認定・評価を下すために必要かつ十分な判断材料を持つものではない。
しかしながら、仮にその「働きかけ」が申立人が主張するように、極めて不十分なものと評価されるものであったとしても、そしてまた、その時期・回数をめぐる対立が残っているにしても、申立人が第4学年時(平成10年度)において、学校長及び担任教諭による「働きかけ」(すなわち、「学校からの働きかけ」)がなされた事実が存在すること自体は(申立人も認めているように)否定することができない。したがって、その事実を記載した本件文書における個人情報の記録について、「事実の記載の誤り」があるとは認められず、訂正請求権の主張もまた認めることが出来ない。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成14年4月8日 諮問書の収受
平成14年4月22日 実施機関意見書の収受
平成14年4月30日 審議
平成14年5月13日 審議
平成14年6月17日 審議
平成14年6月25日 申立人意見書の収受
平成14年7月8日 審議
平成14年7月31日 申立人意見書の収受
平成14年9月5日 審議
平成14年10月22日 審議
平成14年11月29日 答申

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