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答申第3号

[2010年3月3日]

ID:17116

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岡情審査第14号
平成6年2月12日

岡山市長 安宅 敬祐 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長職務代理者 達野 克己

異議申立てに係る諮問について(答申)

平成5年8月25日付け岡総第93号で諮問のあった下記事案について,別紙のとおり答申します。


「平成3年11月22日付け懲戒処分にかかわる調査内容の文書と処分審査会の会議記録等一切のもの」の開示請求に対して,一部開示とした決定に対する異議申立てについての諮問

1 審査会の結論
異議申立てにおいて開示請求のあった公文書のうち,「5 当事者の事情聴取録,6 被害者からの要望書」はすべて「7 その他懲戒委員会審議資料」のうちに含まれているため,「7 その他懲戒委員会審議資料」について判断する。
同公文書のうち,次の(1)に掲げる部分及び文書は非開示とし,(2)に掲げるものは当該内容に従い開示するものとし,その他の部分は開示すべきである。
(1)特定の個人が識別され,又は識別され得るもの
ア 市が「7 その他懲戒委員会審議資料」として職務上作成した文書(以下「市作成文書」という。)のうち,職員の所属課所名,職名,氏名,生年月日,年齢,住所,略歴及び休暇日数並びに事件の概要に関する部分
イ 当事者本人が作成した文書
(2)前号に掲げるもののうち,次のア及びイに該当するもの
ア 請求の趣旨を損なわない程度に開示し得るもの
市作成文書のうち事件の概要に関する部分
イ 移記することにより開示し得るもの
当事者本人が作成した文書のうち,所属課所名,職名,氏名,印影,事件のあった場所,勤務先及び事件の内容のうちプライバシー保護の立場から一般に他人に知られたくないと認められる部分を除いた部分
2 異議申立ての経過
(1)平成5年4月20日,異議申立人は,岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例(以下「条例」という。)第6条の規定により,岡山市長(以下「実施機関」という。)に対し,「平成3年11月22日付け懲戒処分にかかわる調査内容の文書と処分審査会の会議記録等一切のもの」の開示を請求した。
(2)平成5年4月30日,実施機関は,条例第10条第3項の規定により開示決定期間延長を異議申立人に通知した。
(3)平成5年6月17日,実施機関は,本件請求に対応する公文書として次のとおり特定した。
1 懲戒処分の決裁伺(起案書)
2 市当局からの発表文(事件発生及び懲戒処分)
3 事件の経過表
4 所属長の事情聴取録
5 当事者の事情聴取録
6 被害者からの要望書
7 その他懲戒委員会審議資料
そして,「1 懲戒処分の決裁伺(起案書)」及び「3 事件の経過表」は一部開示,「2 市当局からの発表文(事件発生及び懲戒処分)」は開示,「4 所属長の事情聴取録,5 当事者の事情聴取録,6 被害者からの要望書,7 その他懲戒委員会審議資料」はいずれも個人情報を理由に非開示決定を行い,異議申立人に通知した。
(4)平成5年7月26日,異議申立人は,条例第25条第1項の規定により異議申立てを行った。
3 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
平成3年11月22日付け懲戒処分関係文書のうち,「5 当事者の事情聴取録,6 被害者からの要望書,7 その他懲戒委員会審議資料」の開示を請求する。
(2)異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書,反論書及び口頭による意見の陳述で主張している異議申立ての主たる理由は,概ね次のとおりである。
ア 懲戒処分は公正でなければならないことについて
懲戒処分の根拠法令となる地方公務員法によれば,第1条(目的)で…行政の民主的且つ能率的な運営を保障し,地方自治の本旨の実現に資する…。第27条(処分の基準)で…公正でなければならない,と定められている。
しかし,本件懲戒処分については,事件発生後相当の日時を経て,しかも市当局の事態認識の甘さ,厳しさの無さと対応の遅れが大きくマスコミ報道され,また,市民や市議会総務委員会,建設委員会などから批判もあったように,今日なお当局の対応及び処分の処理と量定などの問題点も指摘されており,不明朗さが残っている。
また,職員間でも処分のあり方についての不公平感があり,すっきりしていない。
公務員の懲戒処分は,市長や任命権者の恣意的な判断でなされてはならない。本人も含めて主権者である市民の理解と納得のいくものでなければならない。
本件については,市民や議会,新聞報道等で大きな問題になりながら,懲戒処分の内容など今一つ真実が明確にされていない。
そのためにも,本事件にかかる懲戒委員会での審義の過程,資料等について被害者の住所,氏名以外は開示すべきである。
イ 同種の事件に対する処分との公平が保たれていないと考えられることについて
岡山市職員による他の不祥事件に対する懲戒処分と,本件請求にかかる懲戒処分との公平が保たれていないと考えられるので,当事者の事情聴取録,被害者からの要望書,懲戒委員会審議状況について検討したい。
また,他の不祥事件に対する懲戒処分と具体的な処分内容で差があり,裁判での市当局の主張は懲戒処分は公平にされているとのことだが,それを検討すべき情報の開示が必要である。
ウ 組織内部の規律保持とプライバシーの尊重について
市当局は弁明のなかで非開示の理由としては,(1)あくまでも組織内部の規律保持のために行うものであり,職員個人の規律違反を問うものである,(2)密室状態の中で職員2名と被害者の女性の間で生じた事件であるだけに女性のプライバシー尊重という観点からも非開示とすべきであるとしている。
しかし,組織内部の規律保持のためであれば,むしろ非違行為の事実と懲戒委員会の審議は,今後の他の職員のためにも明らかにすべきものと考える,なお,勤務時間中の事件でありながら,密室状態であり,プライバシーの尊重が必要ということも納得できない。もともとこのような事件は,被害者が泣き寝入りすることで,内密に事が済まされることこそ問題であり,それが再発の原因ともなるものである。
本件は懲戒処分事件として処理されたものであり,被害者の人権とプライバシーが尊重されることは当然ではあるが,加害者に対する加害者責任を明確にするために,また他の職員にも今後の公務員倫理と意識の高揚及び職場規律の保持のためにも,明確にすべきと考えるので,当事者の事情聴取録,懲戒委員会審議資料などについては,公開すべきである。
エ 実施機関によって開示内容に差があることについて
本件公文書開示請求と同じ頃,岡山市教育委員会に対して,岡山市教育委員会所属職員の不祥事件に関しての調査内容の文書と処分審査会の会議記録等を開示請求したが,岡山市教育委員会は本人の氏名,状況等について開示した。
実施機関によって開示内容に差があるのは納得できない。
4 実施機関の主張要旨
実施機関の弁明書及び口頭による意見の陳述を総合すると概ね次のとおりである。
(1)本件公文書は,条例第7条第1号に規定する個人情報に該当する。
ア 本件公文書の性格について
本件開示請求のあった事案にかかる職員の懲戒処分については,あくまでも市役所における組織内部の規律保持のために行うものであり,職員個人の規律違反を問うものであることから,対外的な影響を与えるものではないと考えられる。
刑事事件等によりすでに事件そのものが公表されているものについては,処分そのものも公表せざるを得ないが,基本的には個人情報として公表すべきものではない。
イ 「懲戒処分は公正でなければならない。」ことについて
異議申立人は,「懲戒処分は公正でなければならない。」ことからその内容は公表されるべきであると主張するが,本事件については,停職6か月の処分,訴訟中の他の事件は懲戒免職処分と,それぞれ処分内容も違っているように,個々のケースについて,それぞれ具体的に懲戒委員会で審議し,そうした判断をしたもので,あくまでも組織内部の規律保持のためのものであり,本人が処分内容に不服があればそれなりの法的手続は保障されていることから,これをもって開示の理由には当たらない。
ウ 本事件は特にプライバシーが尊重されるべきと考えることについて
特に本事件については,密室状態の中で,当事者の職員2名と被害者の女性の3名の間に生じた事件であるだけに,女性のプライバシー尊重という観点は特に重要である。
エ 本人が作成した文書について
本件公文書のうち,当事者本人が作成した文書については,その筆跡をもって特定の個人が推測され,また,本人もこの文書が公開されるということは想定されていないと思われる。
(2)本件公文書は,条例第7条第4号に該当する。
本件公文書は,岡山市職員による不祥事件に対して,任命権者として懲戒処分を審議,検討するに当たり関係者から事情聴取に基づいて作成され,又は関係者から任意に提供された情報であり,開示することにより,今後同種の事件に係る十分な情報収集ができなくなるおそれがあり,また,事実関係について市民に誤解や不正確な理解を与えるおそれがある。
5 審査会の判断及びその理由
(1)本件公文書の内容と文書の特定について
異議申立人から本件公文書開示請求のあった公文書は,「平成3年11月22日付け懲戒処分にかかわる調査内容の文書と処分審査会の会議記録等一切のもの」であり,これはすでに異議申立人に開示ずみの公文書及び当審査会の調査によると,平成3年9月25日(水曜日)午後5時前,岡山市職員2名が女性に対して著しく粗野かつ乱暴な行為に及んだことから,地方公務員法第29条の規定により,平成3年11月22日付けで懲戒処分が行われたことに係る関係文書である。
このうち異議申立人から異議申立てのあった公文書のうち,「5 当事者の事情聴取録」は,関係職員からの岡山市長に対する報告書及び「6 被害者からの要望書」は,被害者からの岡山市長に対する要望書である。
また,「7 その他懲戒委員会審議資料」は,任命権者が前記事件に対して地方公務員法第29条の規定により懲成処分を行うに当たり,市内部に任意に設置された懲戒委員会の審議に付するため作成された事件関係資料であり,このうちには「5 当事者の事情聴取録,6 被害者からの要望書」も含まれている。
従って,当審査会は異議申立人から異議申立てにおいて開示請求のあった文書を「7 その他懲戒委員会審議資料」として特定して判断する。
(2)判断に当たっての基本的な考え方について
異議申立人は,懲戒処分は公正でなければならないこと,また同種の事件に対する処分との公平が保たれていないと考えられることから,本事件の懲戒処分の適否を明らかにするため,懲成委員会での審議の過程,資料等について,被害者の住所,氏名以外は開示すべきであると主張する。
一方,実施機関は,懲戒処分はあくまでも組織内郎の規律保持のためのものであり,対外的に影響を与えるものではなく,本件公文書は条例第7条第1号に規定する個人情報に該当し,かつ,同条第4号に規定する事務事業執行情報に該当する開示しないことができる公文書であると主張する。
条例の基本的理念は,実施機関の保有する公文書(実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書等で,当該実施機関が管理しているものをいい,異議申立人から開示請求のあった文書は,条例に規定する公文書と考える。)を公開することによって,市政への市民参加のより一層の推進,公正な行政運営の確保,市と市民との信頼関係の確立を図ろうとするものである。
一方,条例第7条は公文書の原則公開に対し,プライバシーの保護その他の理由から情報公開制度の下においても非開示とせざるを得ないものがあり,原則公開の例外として開示しないことができる情報について規定したものである。
このことから本件公文書についても個人のプライバシーの保護を図りつつ原則公開の立場からできるだけ開示に努めるべきであり,一部開示等とする場合においても,任命権者による懲戒処分(本事件の場合すでに懲戒処分の内容は開示されている。)が職員のどのような行為又は事実に基づくものか請求者に理解できる程度には公文書の開示に努めるべきである。
また,異議申立人は実施機関によって開示内容に差があるのは納得できないと主張するが,実施機関が開示するか否かは開示請求のあった対象公文書ごとに個々具体的に判断されるべきものであると考える。
(3)条例第7条第1号該当性について
ア 実施機関は,本件公文書については,刑事事件等によりすでに事件内容等について公表されているもののほかは,条例第7条第1号に規定する個人情報に該当し,特に本事件は,女性のプライバシー尊重という観点が重要であると主張する。
しかし,開示請求に係る公文書に条例第7条に規定する適用除外事項に該当する情報が記録されている場合であっても,原則公開の立場から,適用除外事項に該当する部分を除き可能な限り当該公文書の開示に努めるべきであると解されるので,その観点に立って本件公文書について検討する。
イ 本件公文書のうち,次に掲げる部分又は文書は,特定の個人が識別され,又は識別され得るものであることから条例第7条第1号に該当し,非開示とすべきである。
(ア)市作成文書のうち,職員の所属課所名,職名,氏名,生年月日,年齢,住所,略歴及び休暇日数並びに事件の概要に関する部分
(イ)当事者本人が作成した文書
ウ 前記(ア)及び(イ)はいずれも個人情報であるが,条例第8条の規定するところによれば,適用除外事項に該当する情報が記載されている場合であっても,公文書の開示の請求の趣旨を損なわない範囲内で可能な限り開示に努めるべきことが求められることから,次のような配慮がなされて然るべきであると考える。
(ア)市作成文書のうち事件の概要については,当事者のプライバシー尊重に配慮したうえで,当該公文書の開示の請求の趣旨を損なわない範囲で開示すること。
(イ)当事者本人が作成した文書については,本人が自書した文書であるため,所属課所名,職名,氏名,印影,事件のあった場所,勤務先及び事件の内容のうちプライバシー保護の立場から一般に他人に知られたくないと認められる部分を除いてワードプロセッサー等により移記して開示すること。
エ 市作成文書には,上記イの(ア)に掲げる個人情報に該当しない部分も相当程度存在していることから個人情報該当部分を除いて開示すべきである。
オ 異議申立人は,本件公文書については,たとえ個人情報に該当するとしても被害者の氏名,住所を除いて条例第7条第1号ただし書ウに該当し,開示することが公益上必要であると認められるものと主張しようとしているとも思われるが,被害者の氏名,住所を除いた他の個人情報に該当する部分を開示することにつき特に公益上必要であるとは認められない。
(4)条例第7条第4号該当性について
実施機関は,本件公文書を開示することにより今後同種の事件に係る十分な情報収集ができなくなるおそれがあり,また,事実関係について市民に誤解や不正確な理解を与えるおそれがあるため,条例第7条第4号に規定する事務事業執行情報に該当すると主張する。
しかし,本件公文書を開示することにより,将来の懲戒処分をする場合において公正又は円滑な執行に支障を生ずるおそれがあるとは必ずしも認められず,また本市の公正又は円滑な運営に支障を及ぼすおそれがあるという点についても同様であると解されるので,条例第7条第4号を理由とする非開示の主張は妥当でないと考える。
(5)以上のとおりであるから,当審査会としては,本件公文書の開示については,「1 審査会の結論」のとおり判断するものとする。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成5年8月25日 諮問
平成5年9月14日 実施機関の弁明書の受理
平成5年9月30日 異議申立人の反論書の受理
平成5年10月18日 第1回審査会(実施機関から意見聴取,審議)
平成5年11月4日 第2回審査会(異議申立人から意見聴取,審議)
平成5年11月8日 第3回審査会(審議)
平成5年11月18日 実施機関の追加弁明書の受理
第4回審査会(審議)
平成5年12月21日 第5回審査会(審議)
平成6年2月12日 第6回審査会(答申案の協議)
平成6年2月12日 答申

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