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答申第34号

[2010年3月5日]

ID:17149

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岡情審査第75号
平成17年6月17日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成16年9月24日付け岡行執第93号による下記の諮問について次のとおり答申します。

行政執行適正化推進課所掌に係る文書(平成16年4月以降の期間分)(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して非開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った非開示決定は妥当である。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年6月28日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年7月6日付けで、公文書不存在を理由に非開示の決定を行った。
3 上記決定を受けた申立人から、実施機関に対し、同年9月6日付けで異議申立てが行われた。
4 それに対して、実施機関は、同年9月24日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.申立人及び実施機関の主張の要旨
申立人及び実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)文書作成義務について
実施機関は、条例第35条(公文書の作成及び保存)及び第36条(開示請求しようとするものに対する情報の提供等)並びに岡山市文書取扱規程第3条(文書作成義務)、第6条(課長の責務)及び第8条(文書取扱主任等の職務)等において公文書の作成及び保存義務が規定され、また、積極的な情報公開、情報提供等を義務付けられているが、実施機関が新設課として発足後、65日が経過したにもかかわらず、この間、担当業務の取扱いにおいて、文書の取得及び作成が一件もないということは、市民の立場からみて理解困難である。
(2)文書不存在の不合理性について
実施機関は、執務室の物理的環境整備及び事務執行体制整備のほか、参考情報の収集、他の自治体の事例研究及び相談業務における処理方針の協議・検討等に繁忙を極めていたため、対象文書は存在していないと主張する。しかし、参考情報の収集及び他の自治体の事例研究を行うに当たって、他の自治体へ情報提供を依頼するのであれば、原則として、依頼文書及び依頼先自治体からの提供情報文書が存在するはずである。また、処理方針の協議・検討の事務においても、当該協議・検討に係るたたき台となる処理方針の素案あるいはレジュメ等の文書を作成して協議・検討を行うという方策が一般的に用いられる手順であり、協議・検討の経過及び結果を文書化するのが通例であると考えられるため、文書不存在というのは不自然であり、合理的理由とは認められない。
(3)庶務事務関係文書について
実施機関は、開示請求時において存在した庶務事務関係文書を所掌業務に該当しないとして開示を行わなかったが、実施機関の所掌業務の補完的位置付けの庶務事務関係文書であっても、実施機関により、作成又は取得した文書は開示すべきものである。
(4)録音テープの開示について
実施機関には、電話による会話を録音したテープが存在すると思われるので、当該録音テープを合わせて開示すべきである。
2 実施機関の主張要旨
(1)文書不存在の理由について
実施機関である行政執行適正化推進課は、平成16年4月1日付けで新規に設置された課であり、同年4月から6月までの期間は、執務室の物理的環境整備、事務執行体制整備、自治体におけるコンプライアンス確立のための参考情報の収集、他の自治体の事例研究及び相談業務における処理方針の協議・検討等に繁忙を極め、申立人から開示請求があった同年6月28日の時点では、本件公文書は存在していなかった。
(2)庶務事務関係文書について
開示請求時において、庶務事務関係文書は存在したが、請求内容の文書には該当していないと判断したものである。
(3)録音テープについて
申立人が録音テープについての発言を行ったのは、実施機関が非開示の決定を行った後であるため、本件公文書の対象外であり、また、録音テープそのものは存在していない。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書について
本件公文書は、実施機関(平成16年4月1日付けで新規に設置された行政執行適正化推進課)所掌の以下の各号に掲げる事務分掌に係る文書である。
(1)公正な行政執行の推進並びに法令遵守体制の確立に係る企画及び総合調整に関すること。
(2)不当要求行為等に対する対策に係る総合調整及び対応支援に関すること。
(3)適正な行政執行についての職員からの相談に関すること。
(4)行政執行適正化に係る職員研修に関すること。
(5)関係機関・団体との連絡調整に関すること。
2 本件公文書の存否について
本件公文書が存在しないとする実施機関の主張が妥当であるか否かの検討を行う。
当審査会が行った実施機関担当職員からの口頭での意見聴取等を主とする調査によれば、実施機関の業務は、平成16年4月当初、執務室の備品類等の整備から始まり、他の自治体に類例のない業務内容を確定するための議論に多くの時間を費したとされている。その後、同年8月9日には、不当要求行為等の発生報告書の様式等を定めた「不当要求行為等対策要綱」(平成16年市訓令甲第51号ほか。以下「要綱」という。)が公布及び施行されている。
この間の実施機関の活動を紹介した平成16年12月12日付け新聞において、「市は今年4月、不当要求行為等対策要綱を定め、…対処法を指導する同課を新設。・・・同課への相談は8月までに51件、延べ108回にのぼっている。」との記載があり、申立人は、これを根拠の一つとして、開示請求を行った6月28日の時点においても、相談等についての何らかの記録文書が存在するはずであると主張する。一方、実施機関は、要綱制定までの相談内容は記録せず、要綱において不当要求行為等の発生報告書の様式を定めた後に改めて報告を受けたと主張する。
申立人が主張するように、約3箇月にわたって「(事務分掌に係る)文書の取得及び作成が一件もないということは、市民の立場からみて理解困難」という申立人の疑念については、首肯できなくもないが、前述したように、新設課としての特殊な状況下で業務を行っていた実施機関の対象文書が不存在であったという主張を否定するだけの事実を認めることはできず、本件公文書が存在していたという心証を形成することはできなかった。
また、実施機関が新設課としての特殊な状況下にあったことを考慮すれば、本件公文書が不存在であるとしても、文書作成義務違反であるとまで断言することはできない。
したがって、実施機関が不存在を理由として行った本件公文書非開示決定は妥当であると判断する。
3 庶務事務関係文書等について
実施機関が開示請求を受けた時点において、庶務事務関係文書が存在していたことは実施機関も認めるところである。このことについて、申立人は、実施機関から特に説明を受けておらず、開示請求しようとするものに対する情報の提供を規定する条例第36条に違反するものであると主張する。一方、実施機関は、数度にわたり庶務事務関係文書についても申立人に説明を行ったが、請求内容の特定に申立人の協力を得られなかったと主張する。
この点について、実施機関及び申立人双方の主張の隔たりは大きいが、実施機関は、庶務事務関係文書の表題は岡山市のホームページで公開されていることを申立人に説明し、また、文書については、できるだけ簡易に開示する旨を申立人に伝えたと主張しており、当審査会としては、実施機関が、申立人に対して、庶務事務関係文書を開示請求の対象外にするために、敢えて情報提供を避けたとの判断には至らなかった。
したがって、このような実施機関及び申立人双方による文書特定の経過を考慮すれば、実施機関が、庶務事務関係文書の内容から本件公文書には該当しないと判断したとしても、不当であるとまで断定することはできない。
また、申立人の主張する録音テープについては、当審査会が行った実施機関担当職員からの口頭での意見聴取等を主とする調査によれば、その存在は確認できなかった。
なお、録音テープも含めた庶務事務関係文書等が開示請求の対象であるか否かについて、実施機関及び申立人双方の間に、齟齬が生じたものと思われるが、今後は、かかる齟齬を生じることのないように、開示請求に係る文書の特定を十分行ったうえで開示請求がなされるよう、実施機関及び申立人双方に望むものである。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
なお、条例第17条では、条例第16条の規定により諮問した実施機関は、申立人に対し、諮問した旨の通知をしなければならないものとされているが、本件において、実施機関は、諮問後も申立人に対して、諮問した旨の通知を送付することを怠っていた。かかる手続上の過誤は、極めて遺憾であり、このようなことが繰り返されることのないよう、審査会としても実施機関に対し強く反省を求めるとともに、手続の遵守については、今後、十分留意するよう改めて警告しておきたい。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は、次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成16年9月24日 諮問書の収受
平成16年10月19日 実施機関側意見書の収受
平成16年11月15日 申立人側意見書の収受
平成16年11月22日 審議
平成16年12月13日 実施機関側及び申立人側口頭意見陳述並びに審議
平成17年1月24日 審議
平成17年2月14日 審議
平成17年3月14日 審議
平成17年4月18日 審議
平成17年5月23日 審議
平成17年6月17日 答申

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