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答申第7号

[2010年3月4日]

ID:17120

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岡情審査第17号
平成10年9月16日

岡山市長 安宅 敬祐 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例第25条の規定に基づく諮問について(答申)

平成9年11月10日付け岡環施第169号による下記の諮問について次のとおり答申いたします。


「平成5年11月29日,平成6年9月5日,平成8年3月18日及び平成9年3月31日開催の岡山市の一般廃棄物処理施設建設委員会会議結果報告書」の開示請求に対して,全部非開示とした決定に対する異議申立てについての諮問

答申
第1 審査会の結論
平成5年11月29日,平成6年9月5日,平成8年3月18日及び平成9年3月31日開催の岡山市の一般廃棄物処理施設建設委員会会議結果報告書は,すべて開示すべきである。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は,異議申立人が平成9年5月21日付けで行った岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例(昭和62年市条例第43号。以下「本件条例」という。)第6条に基づく平成5年11月29日,平成6年9月5日,平成8年3月18日及び平成9年3月31日開催の岡山市の一般廃棄物処理施設建設委員会会議結果報告書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し,岡山市長(以下「実施機関」という。)が,本件条例第7条第3号に該当するとし,平成9年7月16日付けでなした非開示決定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものである。
第3 争点並びに争点に対する実施機関及び異議申立人の主張
争点並びに各争点に対し,実施機関及び異議申立人が,異議申立書,異議申立補充書,弁明書及び反論書並びに口頭意見陳述で主張している点は次のとおりである。
1 実施機関の主張
本件公文書に記載されている情報は,次のとおり,本件条例第7条第3号に該当する。
(1)本件公文書が公開されると,自由な意見交換が阻害され,将来における同種の事務事業の執行に支障がある。
(2)会議自体が非公開となっている。
(3)各委員の私的発言が混じっている。
2 異議申立人の主張
本件公文書に記載されている情報は,次のとおり,本件条例第7条第3号に該当しない。
(1)自由な意見交換が阻害される具体的理由の主張立証がなされていない。
(2)会議自体が非公開であっても,会議録も当然に非開示ということにはならない。
(3)一般廃棄物処理施設建設委員会は,実施機関内部の委員会であり,当該委員の発言は,すべて公的発言である。
第4 審査会の認定した事実
実施機関及び異議申立人の間において争いのない事実,当審査会において顕著な事実及び当審査会の調査結果を総合すると,次の事実が認められる。
(1)岡山市長は,一般廃棄物処理施設建設委員会に対し,東部クリーンセンターに設置するごみ焼却施設の建設に対し,諮問を行ったこと。
(2)岡山市の一般廃棄物処理施設建設委員会は,岡山市長の諮問に応じ,完全かつ効率的な一般廃棄物処理施設の建設に関する具体的な対策を審議して,これを答申するため,助役以下幹部職員をもって組織される実施機関内部の機関であること。
(3)本件公文書の具体的標目とその記載されている主な内容は次のとおりであること。
ア 第1回会議結果報告書(平成5年11月29日開催)
東部クリーンセンターに導入するごみ焼却施設処理方式の選定についての質疑及び応答ほか
イ 第2回会議結果報告書(平成6年9月5日開催)
東部クリーンセンターに導入するごみ焼却施設処理方式の選定についての質疑及び応答ほか
ウ 第3回会議結果報告書(平成8年3月18日開催)
東部クリーンセンターに導入するごみ焼却施設処理方式の選定についての質疑及び応答ほか
エ 第4回会議結果報告書(平成9年3月31日開催)
東部クリーンセンターに導入するごみ焼却施設処理方式の選定についての質疑及び応答ほか
(4)岡山市の一般廃棄物処理施設建設委員会は,四回にわたる会議の結果を踏まえて,平成9年3月31日,岡山市長に対して,答申を行ったこと。
(5)異議申立人は,平成9年5月21日付け公文書開示請求書で,実施機関に対し,本件条例第6条の規定に基づき,本件公文書の開示を請求したこと。
(6)この開示請求に対して実施機関は,本件条例第7条第3号に該当するとして平成9年7月16日付で本件処分を行ったこと。
第5 審査会の判断
審査会の認定した事実に基づき,本件公文書に記載されている情報が,本件条例第7条第3号に該当するかどうか審査し,判断する。
(1)本件条例第7条第3号は,開示しないことができる文書として「市の事務事業等に関し,市内部又は市と国若しくは他の地方公共団体との間における審議,検討,調査研究等の意思形成過程において,実施機関が作成し,又は取得した情報であって,開示することによって,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正かつ適切な意思形成に支障を生ずると認められるもの」に該当する情報(以下「意思形成過程情報」という。)が記載されている公文書を掲げている。
(2)意思形成過程情報を本件条例の適用除外事由にした趣旨は,当該情報を開示すると行政決定途上の未成熟な情報の公開によって市民に混乱を招く場合や,行政内部の自由な意見交換を困難にする場合,一部の者に利益を与える場合があり,そのような場合には,当該情報を公開する利益より,当該情報を非公開することで守る利益のはうが優先するとして非開示事由とされたものである。
もっとも,「意思形成過程」にある情報のすべてが非開示となるものではなく,これらのうち「当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正かつ適切な意思形成に支障を生ずる」おそれのあるものに限定されるものであるから,いたずらに,非開示の範囲を広げることのないように留意しなければならない。
(3)ところで,本件で争われている審議会に関わる情報(会議及び会議録等)の公開は,一方において行政の監視や行政への参加の充実という情報公開の目的に照らして,極めて重要な意味を持つことはいうまでもないが,他方で,審議事項の性格によっては,(2)で述べたような「支障」を生ずるおそれがあることも否定できず,したがって,審議事項の内容や性格を問題にすることなく,一律に会議や会議録を公開すべきとする主張や,逆に一律に非公開にすべきとする主張が妥当でないことはいうまでもない。
また,会議を非公開とすることに正当な理由が存在する場合であっても,そのことが,直ちにその会議録の非公開の根拠となるわけではなく,両者は,区別して論ぜられるべきものであるから,会議録をも含む委員会に関する情報の開示・非開示の判断は,当該委員会の性質や審議事項,会議録の記載事項の内容・性質に照らして個別具体的にされなければならないものである。
(4)かくして,岡山市情報公開及び個人情報保護制度のもとでは,審議会に関わる情報につき,実施機関は,当該審議事項の内容や性格を個別具体的に問題とすることなく,一律に非開示とすることは認められないのであり,本件条例第7条第3号にいう「支障を生ずる」おそれについても,審議事項の内容や性質に照らして,個別具体的に主張立証することが,実施機関に要求されているものと解されるのである。
(5)以上の観点から,実施機関が意思形成過程情報として非開示とした本件公文書中の情報が,本件条例第7条第3号に該当するか否かを具体的に判断する。
ア 実施機関の主張は,第3の1で三点に整理したが,会議自体が非公開になっているとの(2)の主張については,本件委員会について定める岡山市一般廃棄物処理施設建設委員会要綱(昭和47年市訓令甲第9号)には,当委員会を審議事項の如何を問わず非公開とする規定は存在せず,したがって,会議自体が非公開になっているわけではない。また,本件公文書において「業者(メーカー)の比較につながる」ことを理由に非開示とする旨の発言が見受けられるが,それは,その部分についての非開示の理由とはなりえても,それだけでは,会議又は会議録の全体を非開示とする正当な理由にはなりえないものであり,仮にそれが会議全体を非公開とする理由になりうるとしても,そのことから直ちに会議録の非開示が帰結されるわけではないことは上記(3)で述べたとおりである。
イ 各委員の私的発言が混じっているとの(3)の主張については,会議録とは,本来,委員会での委員としての発言が記載されているべきものであって,私的な発言とか不規則発言は記載されるべき性格のものではないのであり,実際にも委員会の委員の立場を離れた私的な発言が記載されてはいないのである。
ウ 要するに,実施機関の主張は,本件公文書が開示されれば,自由な意見交換が阻害され,将来における同種の事務事業に係る公正かつ適切な意思形成に支障が生ずるおそれがあるという主張に尽きているように思われるが,実施機関の弁明書及び口頭意見陳述で示されたその具体的内容は,もっぱら,本件公文書を開示すると,自由な意見交換が阻害されるおそれがあると,一般的かつ抽象的な主張の繰り返しに止まるものであって,開示,非開示の判断を本件公文書に記載された審議事項の内容や性格等に照らして,個別的具体的に行おうとするものではなく,したがって,また,本件条例第7条第3号の「支障の生ずる」おそれが個別具体的に主張立証されているわけでもないと判断せざるを得ないものである。
エ よって,実施機関が主張するような一般的かつ抽象的な主張をもって本件公文書記載の情報が本件条例第7条第3号にいう意思形成過程情報に該当するとは言えないものである。
(5)結論
以上のとおり,本件公文書記載の情報は,本条例第7条第3号にいう意思形成過程情報には該当しないと解するのが相当であるから,「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
第6 総括
本件諮問案件は,意思形成過程の情報を争点とするものであるが,この種の情報が,一般的情報提供施策の中で必ずしも有効に提供されていない現状を考えるとき,住民の行政過程への参加という現代民主主議の要請の観点から意思形成過程情報における情報を開示する手段として,情報公開制度の持つ役割に対する住民の期待は大きいものである。
実施機関は,情報公開制度の運用に当たっては,こうした住民の期待の存在と実施機関の有する「情報のいっそうの公開を図り,・・・・その諸活動を国民に説明する責務」(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(案)」)を強く認識し,自覚と責任をもって本制度の運用に当たることを切望するものである。
<審査会の処理経過>
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成9年11月10日 諮問の収受
平成10年6月4日 実施機関の弁明書の収受
平成10年7月6日 異議申立人からの反論書の収受
平成10年7月10日 第1回審査会(審議)
平成10年8月6日 第2回審査会(異議申立人及び実施機関の口頭意見陳述並びに審議)
平成10年9月11日 第3回審査会(審議)
平成10年9月16日 答申

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