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答申第35号

[2010年3月5日]

ID:17150

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岡情審査第103号
平成17年7月15日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成17年1月25日付け岡財特第1092号による下記の諮問について次のとおり答申します。

債権調査ほか8件の文書の開示請求に対して一部開示決定した8件の文書(以下「本件公文書」という。)に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定において、非開示とされた項目のうち、次に掲げる部分については開示すべきである。
(1)第一文書「『債権調査』生命保険契約について(照会)」について
「照会先」
(2)第二文書「戸籍謄本・住民票等の交付について(依頼)」について
「依頼先」、「備考欄中の依頼に係る調査対象者に関する記載事項のうち、岡山市の行っている調査内容の部分」(以下「備考欄中の調査内容」という。)
(3)第三文書「『預金調査』預貯金の調査について(照会)」について
「照会先」
(4)第四文書「『預金照会』預貯金の調査について(照会)」について
「照会先」
(5)第五文書「『預金照会』預貯金の調査について(照会)」について
「照会先」
(6)第六文書「保険加入状況について(照会)」について
「照会先」
(7)第七文書「保険加入状況について(照会)」について
「照会先」
(8)第八文書「生命保険契約について(照会)」について
「照会先」

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年12月11日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書を含む9件の文書についての開示請求を、条例第4条第2項の規定に基づく電子情報処理組織を使用して行った。
2 それに対して、実施機関は、同年12月27日付けで、異議申立ての対象となった下記に掲げる8件の本件公文書については、それぞれに掲げる部分が、それぞれに掲げる非開示事由に該当することを理由として、また、異議申立ての対象とならなかった1件の文書については、条例第5条第1号に規定する個人情報に該当することを理由として一部開示の決定を行った。
(1)第一文書「『債権調査』生命保険契約について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」-条例第5条第2号に規定する法人情報
(2)第二文書「戸籍謄本・住民票等の交付について(依頼)」
「依頼先」、「依頼に係る調査対象者の氏名」、「依頼に係る調査対象者の生年月日」、「依頼に係る調査対象者の住所」、「世帯主」、「依頼に係る調査対象者の本籍」、「筆頭者」、「備考欄中の依頼に係る調査対象者に関する記載事項」-条例第5条第1号に規定する個人情報
(3)第三文書「『預金調査』預貯金の調査について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」、「照会に係る調査対象者の生年月日」-条例第5条第1号に規定する個人情報
(4)第四文書「『預金照会』預貯金の調査について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」-条例第5条第2号に規定する法人情報
(5)第五文書「『預金照会』預貯金の調査について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」、「照会に係る調査対象者の生年月日」-条例第5条第1号に規定する個人情報
(6)第六文書「保険加入状況について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」、「照会に係る調査対象者の生年月日」-条例第5条第1号に規定する個人情報
(7)第七文書「保険加入状況について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」、「照会に係る調査対象者の生年月日」-条例第5条第1号に規定する個人情報
(8)第八文書「生命保険契約について(照会)」
「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」、「照会に係る調査対象者の生年月日」-条例第5条第1号に規定する個人情報
3 上記決定を受けた申立人から、実施機関に対し、同年12月28日付けで、一部開示決定処分の取消しを求めることを内容とする、本件異議申立てが行われた。
4 それに対して、実施機関は、平成17年1月25日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.申立人及び実施機関の主張の要旨
申立人及び実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)「照会先を公開すると開示データをもとに問い合わせが可能となり、個人情報の保護に支障が生じるおそれがある。」との実施機関の非開示理由は、以下の諸点で疑問がある。
(1)照会先を開示すれば、開示データの悪用により照会先への問い合わせは可能となるにしても、照会先がその問い合わせに対して個人情報を外部に漏えい・提供しない限り、個人情報の保護に支障が生じるわけではない。
(2)個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)等により、個人情報の外部提供等の行為は禁止されているのであるから、前記問い合わせに対し照会先が不用意に個人情報を漏らすとは考えがたい。
(3)万一、照会先が問い合わせに対して個人情報を漏えい・提供して個人情報保護に支障が生じる事態が発生した場合も、照会先の責任において対処すべきものである。
したがって、開示データの悪用及び照会先の不用意な個人情報の漏えい行為を前提にして、「個人情報の保護に支障が生じるおそれがある。」とする実施機関の非開示理由の主張は妥当ではなく、「照会先」は、条例第5条第1号に規定する個人情報には該当せず、開示すべきである。
(2)また、第二文書の「備考欄中の調査内容」については、個人情報には該当しないので、開示すべきである。
2 実施機関の主張要旨
(1)申立人は、本件公文書において非開示とした部分のうち、「照会先」は、条例第5条第1号に規定する個人情報には該当しないと主張しているが、実施機関は、第一文書及び第四文書においては、条例第5条第2号に規定する法人情報を非開示理由としている。
(2)申立人の過誤は明らかであるものの、実施機関は、意見書においては、それぞれの公文書一部開示決定通知書の理由付記において記載した非開示理由に対応して、第二文書、第三文書及び第五文書から第八文書までの6文書の非開示部分については、条例第5条第1号に規定する個人情報に該当すること、また、第一文書及び第四文書の2文書の非開示部分については、条例第5条第2号に規定する法人情報に該当することを非開示理由として主張するものである。
(3)まず、第三文書及び第五文書から第八文書までの5文書については、照会先を開示した場合、文書番号や担当者名等の開示されたデータをもとに、照会先及び実施機関に問い合わせが可能となり、個人情報の漏えい等個人情報の保護に支障が生じるおそれがあるため、条例第5条第1号に規定する個人情報を理由として非開示とした。
さらに、第二文書については、依頼先は地方公共団体であるため、開示した場合、依頼に係る調査対象者の住所・本籍等が推測可能となり、個人が特定されるおそれがあるので、条例第5条第1号に規定する個人情報を理由として非開示とした。
また、同文書の「備考欄中の調査内容」については、これを開示した場合、依頼に係る調査対象者の身分に関する個人情報が明らかになるため、条例第5条第1号に規定する個人情報を理由として非開示とした。
(4)次に、第一文書及び第四文書の2文書の調査対象者の住所及び氏名(法人名)については、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、また、照会先については、前号同様、開示データに基づく問い合わせが可能となり、結果的に、調査対象者の情報が漏えいされ、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益の保護に支障が生じるおそれがあるため、いずれも条例第5条第2号に規定する法人情報を理由として非開示とした。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書の性格について
実施機関は、法定納付期限内に市税の納付がない納付義務者(以下「滞納者」という。)に対して、その実態等に応じて納付指導を行い、それでも納付のない者については、滞納処分を執行している。
当該滞納処分による強制徴収を行うに当たっては、事前に滞納者及び滞納者の財産に関する調査を行っている。
本件公文書のうち、第一文書及び第三文書から第八文書までの7文書については、滞納者が債権を有している可能性が高い金融機関に対して、生命保険契約、預貯金及び保険加入状況の調査について照会を行った文書であり、また、第二文書については、他の地方公共団体に対して、滞納者について調査を行うため、戸籍謄本・住民票等の交付について依頼を行った文書である。
2 条例第5条第1号に規定する個人情報該当性について
ここでは、本件公文書のうち、(1)第三文書及び第五文書から第八文書までの5文書について、照会先が条例第5条第1号に規定する個人情報に該当するか否かの検討を行い、次に、(2)第二文書について、依頼先及び「備考欄中の調査内容」が条例第5条第1号に規定する個人情報に該当するか否かの検討を行う。
(1)照会先について
ア 条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(一般人が通常入手し得る関連情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」(以下「個人情報」という。)を非開示情報としている。
イ 実施機関は、本件公文書のうち、第三文書及び第五文書から第八文書までの5文書について、照会先を開示した場合、文書番号や担当者名等の開示されたデータをもとに、照会先及び実施機関等に問い合わせが可能となり、個人情報の漏えい等個人情報の保護に支障が生じるおそれがあり、したがって、照会先を非開示とする処分は妥当であると主張する。一方、申立人は、個人情報の問い合わせをされた照会先等が、個人情報を外部に漏えい・提供しない限り、個人情報の保護に支障があるとは考えられず、したがって、そうした理由に基づく非開示処分は妥当ではなく、取り消さるべきであると主張している。
ウ ところで、これらの文書における照会先とは滞納者が債権を有している可能性の高い金融機関であるが、それぞれの照会先金融機関は多くの顧客を有しているのであるから、照会先の名称だけで、ただちに特定の個人を識別することはできず、したがって、照会先それ自体が個人情報に該当するわけではない。実施機関も、照会先そのものが一般的に個人情報に該当すると主張しているのではなく、照会先を開示すれば「開示データをもとに問い合わせが可能となり、個人情報の保護に支障が生じるおそれがある。」ことを非開示の理由としているのであるから、そうした問い合わせに基づく個人情報漏えいのおそれないしは危惧を理由とする非開示処分が妥当かどうかが検討されなければならない。
エ 照会先を開示すれば、公文書の文書番号や担当者名等の開示データを悪用した問い合わせが可能となり、その結果として、滞納者の情報が漏えいされ、個人情報保護に支障が生じるおそれがあるとの実施機関の危惧するところは、昨今の社会状況のもとでは決して杞憂とはいえず、照会先を非開示にすることによって滞納者の個人情報をその侵害の危険性から守ろうとする実施機関の主張ないし立場は、当審査会にも十分に理解できるものではある。しかしながら、実施機関の危惧する事態は、開示データを悪用した問い合わせがなされ、それに対して照会先の金融機関等が確認を怠って不用意に個人情報を漏えい・提供するという―起こり得ないわけではないが、特殊な―事態を想定したものである。
そうした事態への対処は、基本的には、照会先の金融機関等による個人情報保護のための、自覚的な取り組みと改善のための努力に待つべきものであることはいうまでもなく、実施機関としても、情報の非開示によって―つまり、情報公開を犠牲にして―ではなく、むしろ、他の可能な方策、例えば、電話での問い合わせ等に対しては、即答を避ける等のより慎重な対応でもって個人情報の不用意な漏えいを防ぐよう、関係機関に周知徹底する等の方策により対処すべきものと考えられる。
したがって、個人情報の保護に支障が生じるおそれを理由にして照会先を非開示とした実施機関の処分は妥当ではなく、開示することが妥当である。
(2)依頼先及び「備考欄中の調査内容」について
ア 次に、第二文書における依頼先(地方公共団体)については、実施機関は―(1)の照会先(金融機関)の場合とは異なって―、依頼に係る調査対象者の住所・本籍等が推測可能となり、個人が特定されるおそれがあるという理由で、また、「備考欄中の調査内容」については、依頼に係る調査対象者の身分に関する個人情報が明らかになるとの理由で、それぞれ非開示としている。
イ 滞納者の個人情報が漏えいすることを何よりも危惧する実施機関の立場とその主張は理解できるものではあるが、(1)の場合と同じく、情報の非開示に過度に依存し、情報公開を犠牲にした結果となっている点で妥当とは考えられない。前者の依頼先については、依頼先である地方公共団体の名称が明らかになったとしても、それが特定の個人の識別になるとまで断定することはできない。また、後者の「備考欄中の調査内容」についても、その内容は、依頼に係る調査対象者の身分関係を記載したものではあるが、身分関係の一般的な事項が記載されているにすぎず、特定の個人を識別する情報であるとまで認めることはできない。
したがって、第二文書の依頼先及び「備考欄中の調査内容」も、個人情報には該当せず、開示することが妥当である。
(3)なお、申立人は、特に意見を述べていないが、第三文書及び第五文書から第八文書までの5文書の「照会に係る調査対象者の住所」、「照会に係る調査対象者の氏名」及び「照会に係る調査対象者の生年月日」並びに第二文書の「依頼に係る調査対象者の氏名」、「依頼に係る調査対象者の生年月日」、「依頼に係る調査対象者の住所」、「世帯主」、「依頼に係る調査対象者の本籍」、「筆頭者」及び「備考欄中の依頼に係る調査対象者に関する記載事項(「備考欄中の調査内容」の部分を除く。)」については、いずれも特定の個人を識別できる一連の情報であるため、個人情報に該当する。したがって、当該部分を非開示とした実施機関の処分は妥当である。
3 条例第5条第2号に規定する法人情報該当性について
ここでは、本件公文書のうち、第一文書及び第四文書について、「照会先」、「照会に係る調査対象者の住所」及び「照会に係る調査対象者の氏名」が、条例第5条第2号に規定する法人情報に該当するか否かの検討を行う。
(1)条例第5条第2号本文は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(以下「法人情報」という。)を非開示情報としている。
(2)申立人は、特に意見を述べてはいないが、第一文書及び第四文書の「照会に係る調査対象者の住所」及び「照会に係る調査対象者の氏名」については、それらを開示すると、市税を滞納した法人と見なされ、当該調査対象者である法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、法人情報に該当する。したがって、当該部分を非開示とした実施機関の処分は妥当である。
(3)しかし、「照会先」については、「第4.審査会の判断 2 条例第5条第1号に規定する個人情報該当性について」において述べたように、それ自体では、特定の法人を識別することができる情報とはいえず、また、実施機関が危惧する事態は、基本的に―情報を非開示にすることによってではなく―照会先との間で適切な措置を講ずることによって、回避すべきものであるから、開示することが妥当である。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成17年1月25日 諮問書の収受
平成17年2月14日 実施機関側意見書の収受
平成17年3月14日 審議
平成17年4月18日 実施機関側口頭意見陳述及び審議
平成17年5月23日 審議
平成17年6月20日 審議
平成17年7月15日 答申

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