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答申第17号

[2010年3月4日]

ID:17132

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岡情審査第15号
平成14年7月17日

岡山市教育委員会
委員長 平田 嬉世子 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成14年1月23日付け岡市教委施第245号による下記の諮問について次のとおり答申します。

道路改良事業に伴う移転補償に関する文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して一部開示とした決定に対する異議申立てについての諮問

第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定は、妥当である。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成13年9月4日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行ったが、実施機関は、同年10月24日付けで、本件公文書の記載事項のうち、「所有者名」、「補償額」、「補償額算定内訳」、「動産の種類」及び「調査年月日」の部分について、それらが条例第5条第1号に定める非開示情報である個人に関する情報(以下「個人情報」という。)に該当することを理由に非開示とする一部開示決定(以下「当初決定」という。)を行った。
2 それに対して、申立人は、平成13年11月20日、実施機関に対し、非開示部分についての開示を求める異議申立て(以下「一回目申立て」という。)を行った。実施機関は、一回目申立てを受けて再検討した結果、上記非開示部分のうち、「動産の種類」及び「調査年月日」については、個人情報に該当しないと判断し、平成13年12月18日、職権で当初決定を変更し、開示部分を拡大する一部開示決定(以下「変更決定」という。)を行った。
3 変更決定を受け、申立人が残る非開示部分についての全部開示を求めて、実施機関に対し、平成13年12月20日、再度の異議申立て(以下「二回目申立て」という。)を行ったため、実施機関は、平成14年2月8日、一回目申立て及び二回目申立ての二件の異議申立ての取扱いについて、条例第16条に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.申立人及び実施機関の主張の概要
申立人及び実施機関の主張の概要は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)本件公文書に記載されている物件は、自分の所有物であるから、全てを開示すべきである。
(2)実施機関が個人情報に該当するとして非開示とした情報は、条例第5条第1号ただし書イの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するので、開示すべきである。
2 実施機関の主張要旨
(1)「所有者名」、「補償額」及び「補償額算定内訳」は、個人の身分及び財産に関する情報として個人情報に該当する。
(2)申立人は、本件公文書に記載されている物件は、自分の所有物である旨主張するが、土地の所有者は、登記簿によると被補償人であり、建物は未登記であるが被補償人が固定資産税の納税義務者となっている。また、動産一式については、市と被補償人との間で、それが被補償人の所有物であると確認をし、調書を作成している。以上のことから、それらが異議申立人の所有物とは認められない。したがって、一部開示決定は妥当である。
(3)申立人は、一部開示決定において非開示とされた個人情報は、条例第5条第1号ただし書イ「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると主張する。しかし、公にすることが必要であると認められる情報かどうかの判断は、非開示とすることにより保護される個人のプライバシー等の利益と、開示することにより得られる公益とを比較衡量して行うものである。今回の場合、開示により得られる利益は、申立人が被補償人の財産状況を知り得ることのみであり、公益上の理由があるとは言えない。

第4.審査会の判断
申立人と実施機関との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件諮問における二件の異議申立ての取扱いについて
「第2 異議申立て及び諮問の経緯」において述べたように、本件諮問は、形式の上では、当初決定に対する一回目申立て及び変更決定に対する二回目申立てという二件の異議申立てからなっている。しかし、実施機関が職権で当初決定よりも開示部分を拡大する内容の変更決定を行い、残された非開示部分の開示を求めて異議申立てがなされた経緯と本件での実質的争点に照らして、当審査会は、これらを一件の処分とみなし、異議申立てについても一件のものとして一括して取り扱い、審査対象を変更決定後の非開示部分についての開示・非開示をめぐる実施機関と申立人の主張における実質的争点に絞って検討・判断することとする。
2 本件異議申立てにおける争点について
次に、本件異議申立てにおける争点について、以下で具体的に検討する。
(1)個人情報該当性について
まず、本件公文書における非開示情報(当初決定に引き続いて、変更決定においても非開示とされている情報をいう。)が個人情報に該当するか否かについて考える。
ア 本件公文書は、市が行う道路改良事業に伴う用地買収により建物・動産の移転明渡しを行うこととなった者に対する当該移転明渡しに係る補償金の算定に関する文書である。具体的な記載事項は、「所在地」、「所有者名」、「補償額」、「補償額算定内訳」、「動産の種類」及び「調査年月日」からなっているが、それらのうち非開示とされている情報は、「所有者名」、「補償額」及び「補償額算定内訳」である。
イ 「所有者名」が個人情報に該当するのは明らかであるが、「補償額」及び「補償額算定内訳」についても、それらが個人の所得等の財産状況に関する事項であるため、実施機関が主張するとおり、やはり個人情報に該当するものと考える。
ウ それに対して、申立人は、「本件公文書における非開示情報は、条例第5条第1号ただし書イの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するので、開示すべきである。」として、いわゆる「個人情報の公益上の理由による義務的開示」を主張する。しかし、これは、非開示により保護される利益と開示により保護される利益とを比較衡量した結果、後者が前者に優越すると認められるときに、本来は非開示とされるべき個人情報を例外的に開示するものである。したがって、この比較衡量に際しては、非開示により保護される利益と開示により保護される利益の双方について、個別具体的に検討することが必要となるが、本件については、開示により保護される利益が明らかではない。仮に申立人個人にとって何らかの利益があるとしても、それは申立人にとっての個人的利益であって、非開示により保護される利益を犠牲にしてまでも開示すべきような公益上の理由が存在するとは考えにくい。そうである以上、本件公文書の非開示情報については、「個人情報の公益上の理由による義務的開示」をすべきものと判断することはできない。
(2)本人情報としての開示可能性について
次に、申立人の「本件公文書に記載されている物件は、自分の所有物であるから、全てを開示すべきである。」という主張について検討する。これは、岡山市個人情報保護条例(平成12年市条例第34号)第11条に定める自己に係る個人情報(以下「本人情報」という。)としての開示を求めているものと思われるが、これに対して、実施機関は、「申立人は、本件公文書に記載されている物件は、自分の所有物である旨主張するが、土地の所有者は、登記簿によると被補償人であり、建物は未登記であるが被補償人が固定資産税の納税義務者となっている。また、動産一式については、市と被補償人との間で、それが被補償人の所有物であると確認をし、調書を作成している。以上のことから、それらが異議申立人の所有物とは認められない。」と主張している。登記簿上の所有者が必ずしも真実の所有者とは限らないこと、また、固定資産税を納税している事実が直ちに所有権を証明するものではないことからも、実施機関の所有者に関する調査及び認定が実際の所有関係と一致しているかどうかは不明である。しかし、当審査会は、実施機関が調査・認定した所有者が真実の所有者であるかどうかについてではなく、その調査・認定に基づいて作成した公文書の開示非開示の当否について判断することを役割とするものである。したがって、申立人による明白な立証があれば別としても、それがなされていない以上、本件公文書における非開示情報を申立人の本人情報として開示すべき情報と判断することはできない。
3 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成14年1月23日 諮問書の収受
平成14年2月8日 実施機関の意見書の収受
平成14年2月15日 申立人の意見書の収受
平成14年3月5日 審議
平成14年4月30日 実施機関口頭意見陳述及び審議
平成14年5月13日 審議
平成14年6月17日 審議
平成14年7月8日 審議
平成14年7月17日 答申

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