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答申第2号

[2010年3月3日]

ID:17115

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岡情審査第14号
平成2年8月31日

岡山市長 松本 一 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

異議申立てに係る諮問について(答申)

平成2年4月20日付け岡総第32号で諮問のあった下記事案について,次のとおり答申します。


「岡山市予防接種事故医療対策委員会調査結果関係書」の一部開示決定に対する異議申立てについての諮問

平成2年諮問第1号
答申
第1 審査会の結論
「岡山市予防接種事故医療対策委員会調査報告書」(表記の便宜上当審査会において整理した別添文書表の番号により表示する。以下「本件公文書」という)のうち,別添文書表「実施機関が請求を認めなかった部分」中No.14の「(3)岡山市予防接種事故医療対策委員会委員名簿」,No.17及びNo.18の「(1)対策委員会進行順序」中「1開会」,「2挨拶」,「4閉会」に係る個人名及びNo.19「岡山市予防接種事故医療対策委員会の調査結果」1枚目に記載の「委員名」については開示すべきであるが,その他の部分は非開示が妥当である。
第2 異議申立人の主張要旨
1 異議申立ての趣旨
本件公文書を一部開示と決定した処分を取り消し,本件公文書の全部開示を求める。
2 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書,反論書及び口頭による意見の陳述で主張している異議申立ての主たる理由は,概ね次のとおりである。
異議申立人の長女が,市が実施したインフルエンザ予防接種により言語,歩行障害等を発症したことに関し,予防接種事故としての認定及び救済を求めたところ,市は昭和63年に調査連絡会,平成元年にウイルス専門家の意見を聞く会,さらに岡山市予防接種事故医療対策委員会(以下「対策委員会」という。)を設置し調査をしたが,その結果は「予防接種を受けた可能性は皆無とまでは言えないまでも,非常に低い。」とする一方的で形式的なものである。
調査の内容は,対策委員会の市長に対する報告書を見ただけでは判断できず,さらに関係者が自分達に都合のよいことばかり述べている疑いもあることから,対策委員会がどのような調査を行ったのかについて,その会議録をも含めて親権者として知る権利がある。
従って,本件公文書の全部開示を求めるものである。
第3 実施機関の主張要旨
実施機関の弁明書及びロ頭による意見の陳述を総合すると,概ね次のとおりである。
1 本件公文書は,異議申立人(親権者)の長女に関する個人情報をも含むものであるため,単に自己情報の開示請求のみならず,公文書開示請求も併せてなされたものと判断し,それぞれ岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例(以下「条例」という。)の該当条項を適用し,開示決定をしたものである。
2 条例第7条第1号に該当する。
No.9〇〇〇病院に対する照会文,No.14中(3)対策委員会委員名簿,No.17及びNo.18中(1)対策委員会進行順序並びにNo.19調査結果の各文書中に異議申立人以外の職・氏名等が記載されており,特定の個人が識別される個人情報に該当する。
3 条例第19条第2項第2号に該当する。
No.10〇〇〇病院からの回答書は,No.9〇〇〇病院への照会文に対する回答であり,本件事実に関し,医師としての医学的な見解を述べたものであり,異議申立人の長女の健康被害についての一定の評価,診断に該当するものである。
なお,厚生大臣宛報告書中5の経過表及びNo.14会議提出資料としての経過表中,〇〇〇病院からの回答書の要約についても同趣旨である。
4 条例第19条第2項第2号及び第3号に該当する。
No.14,No.17,No.18中の会議録については次の理由により,条例第19条第2項第2号及び同条同項第3号により適用される条例第7条第4号に該当する。
ア 対策委員会は,医学的な専門知識を有する医師を中心に構成されており,予防接種事故という人の健康被害に係る事件について,医学的見地から自由で率直な見解,判断,評価等を通じて健康被害についての適正な処理を図るものであることから,会議は他者からの言動による影響をできる限り排除する中で公平かつ厳正に運用することが重要である。そこでの調査内容自体はカルテに類したものである。
イ また,本委員会設置要綱に「委員及び委員会に出席した者は,その出席により知り得た事項を他へ漏らしてはならない。」と規定しているところであり,さらに,本件の場合は,接種したか否かを含めた異例の調査であったため,審議の過程で公開しないことを再三にわたり約束した上での会議である。
当時の関係者には,「内容は絶対に他に漏れることはない。」ということを大前提に出席を依頼し,率直な意見を聞いた経過もある。
ウ この会議録が開示となると,これら関係者に多大な迷惑をかけるばかりでなく,予防接種事業に対する関係者(医師会,学校関係者等)の不信を招き,今後,市としては,円滑な予防接種業務ができなくなるという重大な窮地に立たされる。ひいては,予防接種事業に限らず,保健衛生行政に対する医師会の協力が得られなくなり,保健衛生行政自体が混乱することが予想される。
5 条例第19条第2項第3号に該当する。
厚生大臣宛報告書中5の経過表中,8月25日及び9月13日付部分の記載は市と国との間において,取得した情報であり,これを開示すると国との協力,信頼関係が損なわれることになるものであることから,条例第19条第2項第3号により適用される条例第7条第5号に該当する。
第4 審査会の判断及びその理由
実施機関は,本件公文書の非開示部分に記載されている情報は,条例第7条第1号及び第19条第2項第2号,第3号に該当すると主張するので,その点について以下検討する。
1 第7条第1号該当性について
(1)No.14中(3)対策委員会委員名簿を非開示とした理由として,これが個人情報に該当すること及び対策委員会の影響内容が個人の評価,診断等に係わるものであることから,外部からの影響を排除することを配慮したというものである。
しかし,岡山市における附属機関の現状をみると,原則として委員名は公表されていること及び委員名を公表したことにより本件事案における審議に著しい影響を及ぼす特段の事由も認められないことから,対策委員会の委員名簿については開示すべきであると判断する。
従って,No.19対策委員会の調査結果についての文書中,問診票の点検者名を除く委員名についても同様とする。
(2)No.9〇〇〇病院への照会文,No.17及びNo.18中(1)対策委員会進行順序の各文書中の異議申立人以外の職・氏名等並びにNo.19対策委員会の調査結果について中,問診票の点検者名については,個人情報に該当するとして非開示としているが,No.17及びNo.18中「1開会」「2挨拶」「4閉会」に係る発言者は,いずれも市の管理職員であり,その職位,発言内容等を勘案した場合,あえてこれを非開示として保護の対象とする必要はなく,その他の部分については非開示が妥当であると判断する。
2 第19条第2項第2号該当性について
No.10〇〇〇病院からの回答書は,実施機関がなした異議申立人の長女に関する医学的見解についての照会に対する回答であるが,その内容は本件事案について医師としての医学的な見解を述べたものであり,個人情報に該当し,さらに異議申立人の長女の健康被害に関して一定の評価,診断をしたものであるため,当該自己情報の開示請求がなされた場合においても開示しないことができるものであると実施機関は主張する。
そこで,審査会としては,本件回答書が自己情報の開示請求ができる場合における非開示事由としての当該請求人の評価,診断等に該当するものであるか否かを検討した。
その結果,本件回答書で述べられている内容は,異議申立人の長女の病状,検査結果,類似症例等を総合的に判断した評価というべきものであること,さらに,回答書の中には,医学的見解以外の記述も含まれており,回答者としては,これが公表されることを予測していないことは容易に推測しうるところであり,将来の同種の事務における行政の円滑な執行に支障を生じさせないためにも本件回答書を開示しないことが妥当と認められることから,本件回答書は条例第19条第2項第2号及び同条同項第3号により適用される条例第7条第4号に該当するものとして非開示が妥当であると判断する。
従って,厚生大臣宛報告書中5の経過表及びNo.14会議提出資料としての経過表中に記載の回答書の要約部分の取扱いについても同様である。
3 第19条第2項第2号及び第3号該当性について
(1)No.14,No.17及びNo.18の対策委員会の会議録を非開示とした理由として,
実施機関は,
(1)医学的な専門知識を有する医師を中心として構成された対策委員会は,予防接種事故に関して医学的見地から判定,評価を下すものであること。
(2)自由で率直な意見を担保するために,会議は非公開とし,審議内容が他に漏れることのないことを再三保証した経緯があること。
(3)会議録が公開されることとなると,対策委員会の審議に係わった関係者の不信を招き,今後実施機関としては円滑な予防接種業務の執行に著しい支障をきたすのみならず,保健衛生行政に対する医師会の協力が得られなくなり,保健衛生行政自体が混乱することが予想されると主張する。
(2)市に設置される第三者を主たる構成員とする審議会等の合議制機関は,一般の行政機関とは異なり,特に行政の専門性,中立性等を確保するために設けられたものであり,これら合議制機関の審議,検討においては,その意思形成に関して,参考人等関係者の発言をも含め,微妙な討議の過程を必要とするものである。
従って,こうした状況を勘案して合議制機関の運営の円滑を図るためにも,会議の運営に際しての当事者間の一定の申し合せ等を尊重することもまた必要であるといえる。
ただし,行政情報の原則公開の立場に立って可能な限りこれを公開すべきこと,また,一部開示とする場合にあっても原則公開の趣旨を十分配慮すべきことは,これまた当然のことである。
(3)これらの前提の下に,対策委員会の会議録について検討したところ,まずその審議内容としては,対策委員会が医学的な専門知識を有する医師を中心として構成され,本件予防接種事故に関して,参考人等関係者の出席を求め,事実関係等を調査するとともに,異議申立人の長女に関するものをも含め,当該事案について一定の評価,診断等を下したものとみることができること。また,対策委員会の運営に当っては,事案が個人情報に触れることが多いため,特に発言の自由を担保し,率直な意見の確保を図るため,会議を非公開とし,加えて審議状況,発言内容が外部に漏れることのないことを再三相互に確認している経韓があり,このことは審議内容の特異性からみて止むを得ないものと思料されること,したがって,以上のような理由から本件会議録が開示されることとなると,対策委員会の審議に係わった関係者の市行政に対する不信感を招来し,今後の対策委員会の公正かつ円滑な運営に著しい支障をきたす恐れがあるであろうこと,といった事由を認めることができ,よって本件会議録は,条例第19条第2項第2号及び同条同項第3号により適用される条例第7条第4号の規定に該当するものとして非開示が妥当であると判断する。
(4)なお,対策委員会の調査結果が,開示されていることからしても,結論に至る審議の経過を非開示とした点については,前記理由に照らして妥当であると判断するものである。
4 第19条第2項第3号該当性について
厚生大臣宛報告書中5の経過表中,8月25日及び9月13日付部分の記載を非開示とした点については,当該記載事項が本件事案に関し国と実施機関との間における連絡事項に係るものであり,実施機関の主張するようにこれを開示すると国と実施機関との相互の協力,信頼関係が損なわれる恐れが認められることから,同条同項第3号により適用される条例第7条第5号に該当するものとして非開示が妥当であると判断する。
5 以上のとおりであるから,当審査会としては本件公文書の開示については,「第1審査会の結論」のとおり判断するものである。

岡山市予防接種事故医療対策委員会調査報告書一覧表
1 岡山県西大寺地域保健所長宛の報告書
2 厚生大臣宛の報告書
報告書に添付した提出書類
No.1 問診票
No.2 ワクチン文献
No.3 申立書
No.4 インフルエンザ予防接種に関する調査連絡会調査報告書
No.5 回答書
No.6 再調査依頼書
No.7 回答
No.8 新聞報道の写
No.9 〇〇〇病院あて紹介文
No.10 〇〇〇病院からの回答書
No.11 ウイルス専門家の意見を聞く会設置要綱
No.12 ウイルス専門家の意見を聞く会からの報告書
No.13 手続
No.14 会議録等
会議録
会議提出資料中
(1)予防接種にかかる健康被害の救済について
(2)岡山市予防接種事故医療対策委員会設置要綱
(3)岡山市予防接種事故医療対策委員会委員名簿
No.15 出席依頼書
No.16 手紙
No.17 会議録等
会議録
会議提出資料中
(1)対策委員会進行順序
(2)手紙 資料No.1
(3)出席依頼書 資料No.2
(4)手紙 資料No.3
(5)インフルエンザ予防接種について,各小,中,高校宛依頼文
No.18 会議録等
会議録
会議提出資料中
(1)対策委員会進行順序
No.19 岡山市予防接種事故医療対策委員会の調査結果
No.20 岡山市予防接種事故医療対策委員会の調査結果報告

実施機関が請求を認めなかった部分
2 厚生大臣宛の報告書中,5経過表
報告書に添付した提出書類のうち
No.9 〇〇〇病院あて紹介文中,宛先の個人名
No.10 〇〇〇病院からの回答書
No.14 会議録のうち
会議録
会議提出資料中
(1)予防接種にかかる健康被害の救済について中,経過表
(3)岡山市予防接種事故医療対策委員会委員名簿
No.17 会議録等のうち
会議録
会議提出資料中
(1)対策委員会進行順序中,個人名
No.18 会議録等のうち
会議録
会議提出資料中
(1)対策委員会進行順序中,個人名
No.19 岡山市予防接種事故医療対策委員会の調査結果中,委員名
※上記以外のものは全て開示している。

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