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答申第28号

[2010年3月5日]

ID:17143

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岡情審査第95号
平成16年12月17日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成16年7月30日付け岡南福第782号による下記の諮問について次のとおり答申します。

住民票の交付依頼に関する文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件公文書の開示請求に対して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定は妥当である。ただし、開示方法については、窓口開示に拠るのではなく、電子情報処理組織を使用して開示するべきである。なお、本件異議申立人は、本件異議申立書の中で、実施機関の個人情報に係る対応のあり方について意見を述べているが、それは開示請求に係る本件異議申立ての争点とは区別して論じられるべき問題である。したがって、その点に関する異議申立人の意見の当否は別にして、上記の通り結論する。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年6月17日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を、条例第4条第2項の規定に基づく電子情報処理組織を使用して行った。
2 それに対して、実施機関は、同年7月1日付けで、開示決定期間延長を行い、同年7月9日付けで、住所及び氏名等を記載する部分が条例第5条第1号に定める非開示事由である個人情報(以下「非開示事由の個人情報」という。)に該当することを理由に一部開示決定を行い、開示方法を窓口開示とした。
3 上記決定を受けた申立人から、実施機関に対し、同年7月10日付けで、公文書一部開示決定通知書に記載された文書件名の変更及び開示方法の変更等を求める異議申立てが行われた。
4 それに対して、実施機関は、同年7月30日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.申立人及び実施機関の主張の要旨
申立人及び実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)公文書一部開示決定通知書に記載された文書件名は、申立人の請求文書件名と同一にすること。
請求文書件名には個人の氏名が含まれているが、岡山市の「e-情報公開室」の公文書目録から検索したものであり、すでに岡山市がインターネット上に不特定多数に対し、公開しているものであるから、変更は許されない。
(2)窓口開示を取消し、「e-情報公開室」のホームページ上で公開すること。
岡山市の「e-情報公開室」は、わざわざ窓口に出向かなくても、閉庁時間帯も含め、インターネットを利用して公文書の開示手続が可能である点で、積極的に評価したいと思うが、窓口開示では、そのメリットが半減するので、できる限り使うべきではない。ホームページ上の説明では、「『e-情報公開室』での閲覧を選択されても文書が多量の場合や大きい場合は窓口での開示になることがあります。」との記載があるが、個人情報の保管に瑕疵があることを理由に窓口開示を行うような内容は含まれていない。
2 実施機関の主張要旨
(1)申立人からの開示請求時に、「e-情報公開室」の「公文書目録検索・請求」ページに公開されている公文書目録の文書件名の一部に、非開示とすべき個人情報(個人の氏名)が含まれていることが判明したため、実施機関は、直ちに公文書目録の文書件名の変更(個人の氏名の削除処理)を行ったが、対象文書そのものの変更、訂正はしておらず、開示した公文書は、請求のあった対象文書と全く同一である。
(2)電子情報処理組織を使用して行われた開示請求であっても、条例第13条第3項の規定により、相当の理由があれば、窓口開示とすることも妥当なものであると考える。
窓口開示とした理由は、個人情報の保管に瑕疵があり、「公文書目録検索・請求」ページに公開されている公文書目録により、不特定の者が、対象文書の個人情報が含まれた文書件名を検索、閲覧できる状態にあったことから、「e-情報公開室」で開示すれば、開示文書と突合することによって、個人情報の漏えい拡大のおそれがあり、それを防止するためである。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 公文書一部開示決定通知書に記載された文書件名について
インターネットを利用した公文書の開示請求及び開示対象文書の閲覧が可能な「e-情報公開室」は、平成15年11月から稼動した。「e-情報公開室」を利用すれば、開示請求者は、市役所の窓口に出向くことなく、自宅等から公文書の開示請求及び開示対象文書の閲覧が可能であり、開示請求者にとっての利便性は大きいと考えられる。また、開示文書は、「e-情報公開室」の「開示文書閲覧」ページで公開されるので、開示請求者を含む何人でも閲覧が可能である。
申立人は、公文書一部開示決定通知書における文書件名は、申立人が、「e-情報公開室」の公文書目録を検索して開示請求を行った文書件名と同一にすべきであると主張する。実施機関も認めているように、「e-情報公開室」の公文書目録において、個人の氏名を含む文書件名が掲載され、一時期、不特定のものによる検索、閲覧が可能になっていたが、申立人からの開示請求後に、直ちに実施機関により文書件名の変更(個人の氏名の削除処理)が行われたため、変更以降は、個人の氏名の部分については公になっていない状態である。
「e-情報公開室」の公文書目録に掲載された文書件名を維持管理する立場にある実施機関が、当該個人の氏名を、非開示事由の個人情報に該当することを理由に、「e-情報公開室」の公文書目録に掲載された文書件名から削除処理したことについては、当然であると考える。また、実施機関は、当該一部開示決定通知書において、開示請求番号を記載して通知し、申立人が請求した文書件名に対応した決定通知であることを明示しており、さらに、開示請求時の文書件名を知る申立人は、文書件名の差異については、個人の氏名の部分であることを認識できる立場にあった。したがって、このような特殊な事情を考慮すれば、非開示事由の個人情報に該当するということを理由として、開示請求時の文書件名から当該個人の氏名を除いた文書件名を決定通知書に記載して、一部開示決定通知を行ったことは妥当であると判断する。
2 本件公文書の開示方法について
本件公文書の開示方法については、当審査会が本来、調査審議の対象とする開示・非開示処分の妥当性を巡る争点ではないが、本件においては、開示方法についても異議申立てがなされ、実施機関からの諮問の対象とされているので、以下に問題点を整理し、検討を行う。
(1)条例第13条第3項は、「電子情報処理組織を使用して行われた開示請求に係る公文書の開示は、規則で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。」と規定し、同規定に基づく岡山市情報公開条例施行規則第6条第6項は、「電子情報処理組織を使用して行う公文書の開示は、開示に係る公文書を閲覧用の電子ファイルに変換し、これを電子情報処理組織で一定期間公開する方法によって行うものとする。」と規定している。そして、これら諸規定に基づき、「公文書の開示請求や公文書目録の検索、常時公開文書や現在開示されている文書の閲覧を行うことができるサイト」として、「e-情報公開室」が、実施機関である岡山市役所のホームページに設けられている。
(2)「e-情報公開室」における「『e-情報公開室』からの請求手続」と題する説明画面には、「e-情報公開室」から開示請求がなされた場合の開示方法について、「開示方法は、『e-情報公開室』もしくは窓口での閲覧を選択してください。(『e-情報公開室』での閲覧を選択されても文書が多量の場合や大きい場合は窓口での開示になることがあります。)」と、開示方法を開示請求者の選択に委ねるとともに、例外的に窓口開示になる場合を括弧内に例示している。
(3)ところで、条例に基づいて公文書の開示を行う場合、窓口で行う場合と「e-情報公開室」で行う場合とでは、非開示部分を含めた開示対象文書の内容について違いが生じることはありえないはずである。したがって、上記括弧内で例示された電子情報処理組織を使用する上での技術的な問題が存在しない場合は、窓口あるいは「e-情報公開室」のいずれの方法で開示するかについては、開示請求者の希望にそうことを原則としているものと考えられる。
本件では、申立人は、「e-情報公開室」での開示を希望しており、また、開示請求対象の公文書は、日本工業規格A列4番の用紙で2ページの文書であるため、電子情報処理組織を使用する上での技術的な問題が存在するとは認められない。
(4)本件において、実施機関は、申立人が選択した「e-情報公開室」での開示ではなく、窓口開示とした理由として、個人の氏名を含む文書件名が、「e-情報公開室」の公文書目録に掲載されていた期間に、申立人以外で、当該文書件名を検索、閲覧した者が、本件公文書を「e-情報公開室」で閲覧することで、個人情報の漏えいが拡大することを防止したいと主張する。しかし、非開示部分を除いた本件公文書を「e-情報公開室」で閲覧した者が、新たに知り得る情報は、起案年月日及び書式の様式等に過ぎず、個人情報の漏えいが拡大するとは認められない。
(5)したがって、実施機関の主張には合理性がなく、本件公文書については、申立人の希望する「e-情報公開室」において開示することが妥当であると判断する。
3 実施機関の個人情報の保管のあり方について
申立人は、実施機関の個人情報とその過誤に係る対応のあり方等についても問題としているが、当審査会の調査審議に直接的な関連性を有しているとは認められないので、その点について判断することはしない。
しかし、「e-情報公開室」の公文書目録に掲載された文書件名については、実施機関も認めるように、個人情報の保管に重大な瑕疵があり、異議申立人からの開示請求があって初めて当該文書件名から非開示とすべき「個人情報」(個人の氏名)を削除したという経緯があることは厳粛に受けとめらるべき事実である。実施機関は、「市民の知る権利を保障する」(条例第1条)とともに、「個人情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない」(岡山市個人情報保護条例第3条)責務を負っていることを今一度思い起こし、今回の個人情報の保管における瑕疵につき深く反省するとともに、今後このような事態を二度と繰り返すことのないように、再発防止に努めるよう、審査会としても、強く注意を促しておきたい。
4 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成16年7月30日 諮問書の収受
平成16年9月8日 実施機関の意見書の収受
平成16年9月17日 申立人の意見書の収受
平成16年9月27日 審議
平成16年10月25日 審議
平成16年11月22日 審議
平成16年12月17日 答申

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