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答申第9号

[2010年3月4日]

ID:17124

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岡情審査第11号
平成11年5月26日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例第25条の規定に基づく諮問について(答申)

平成10年8月26日付け岡福総第377号による下記の諮問について次のとおり答申いたします。


平成10年度のふれあいセンター管理運営委託契約(以下「本件委託契約」という。)関係書類一式の開示請求に対して,一部非開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1 審査会の結論
平成10年度のふれあいセンター管理運営委託契約締結に係る文書のうち非開示とした予定価格調書記載の予定価格並びに委託設計書記載の委託単価及び金額は,すべて開示すべきである。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は,平成10年6月25日付けで行った岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例(昭和62年市条例第43号。以下「本件条例」という。)第6条に基づく平成10年度のふれあいセンター管理運営委託契約締結に係る文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し,岡山市長(以下「実施機関」という。)が,予定価格調書記載の予定価格並びに委託設計書記載の委託単価及び金額は本件条例第7条第2号及び第4号に定める非開示情報に該当するとして,平成10年7月1日付けでなした一部開示決定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものである。
第3 争点並びに争点に対する実施機関及び異議申立人の主張
争点並びに各争点に対する実施機関及び異議申立人の主張は次のとおりである。
1 本件設計金額の本件条例第7条第2号該当性について(争点1)
(1)実施機関の主張
本件公文書のうち委託設計書に記載されている単価及び金額(以下「本件設計金額」という。)は,次のとおり,本件条例第7条第2号に定める非開示情報としての法人情報に該当する。
ア 本件委託契約の相手方は財団法人岡山市ふれあい公社(以下「公社」という。)であるが,公社は岡山市からの委託料を財源として物品購入並びに業務の委託契約の締結を行っている。
イ 本件委託契約の金額の積算根拠は,本件設計金額であるが,本件設計金額は,また,公社が物品購入並びに業務の委託契約の締結に当たって,設定する予定価格そのものであり,これが明らかになれば,落札価格の「高止まり」等が生じ,公社における契約事務執行全体にも多大な支障が生じることになる。
(2)異議申立人の主張
本件設計金額は,次のとおり,本件条例第7条第2号に定める非開示情報としての法人情報に該当しない。
ア 公社の設立目的及び事業は岡山市保健福祉局の所掌事務の一部そのものであり,法人格そのものは形式的には岡山市とは異なるが,目的,事業内容から見て,公共的性格が強く,岡山市と一心同体であり,本件条例第7条第2号にいう「法人」には該当しない。
2 本件設計金額及び本件予定価格の本件条例第7条第4号該当性について(争点2)
(1)実施機関の主張
本件設計金額及び本件公文書のうち予定価格調書に記載されている予定価格(消費税込みの価格を含む。以下「本件予定価格」という。)は,次のとおり,本件条例第7条第4号に定める非開示情報としての事務事業執行情報に該当する。
ア 岡山市が本件設計金額を開示すれば,公社の行う契約締結に関し,業者の「高止まり」状態が生じる結果,岡山市への不用残額としての精算戻入金額が少なくなり,岡山市が財政上の不利益を被ることとなる。
イ 本件設計金額及び本件予定価格を開示すれば,他の市有施設の委託設計金額及び予定価格を容易に類推することが可能となり,予定価格そのものあるいはそれに近接した形で相手方と業務委託契約を締結しなければならなくなり,岡山市が契約事務を執行するうえで支障がある。
(2)異議申立人の主張
本件設計金額は,次のとおり本件条例第7条第4号に定める非開示情報としての事務事業執行情報に該当しない。
ア 実施機関は本件設計金額及び本件予定価格を開示すれば,ふれあいセンターと類似した市有施設の委託設計金額や予定価格が容易に推測され,将来の契約締結事務に支障が生ずる旨主張する。
イ しかしながら,各市有施設の規模や各委託業務遂行上の難易度等が個々に異なることを勘案すると,本件設計金額や本件予定価格によってふれあいセンター以外の市有施設の管理運営委託契約を将来締結する上で設定される予定価格を類推することは,実施機関が主張するほど容易ではない。
第4 審査会の認定した事実
当審査会において認定した事実は,次のとおりである。
(1)実施機関は,本件公文書を作成し,及び管理していること。
(2)本件公文書の具体的標目は次のとおりであること。
ア 業務委託契約書
イ 岡山ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書
ウ 西大寺ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書
エ 北ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書
オ 西ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書
カ 南ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書
キ 予定価格調書
ク 岡山ふれあいセンター委託設計書
ケ 西大寺ふれあいセンター委託設計書
コ 北ふれあいセンター委託設計書
サ 西ふれあいセンター委託設計書
シ 南ふれあいセンター委託設計書
(3)異議申立人は,平成10年6月25日付け公文書開示請求書で,実施機関に対し,本件条例第6条に基づき,本件公文書の開示を請求したこと。
(4)実施機関は,平成10年7月1日付け公文書一部開示決定書で前記開示請求に対し,本件設計金額及び本件予定価格について,本件条例第7条第2号及び第4号に該当するとして,本件処分を行ったこと。
第5 審査会の判断
本件設計金額及び本件予定価格が本件条例第7条第2号及び第4号に定める非開示事由に該当するかどうか次のとおり,審査し,及び判断する。
l 本件設計金額の本件条例第7第2号該当性について(争点1)
(1)本件条例第7条第2号は開示できない文書として「法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,開示することにより,当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益が損なわれると認められるもの」に該当する情報が記載されている公文書を掲げている。
(2)このうち,「競争上の地位が損なわれる」とは,技術上のノウハウ,営業,販売のノウハウ,取引,金融に関する秘密事項のように公開されることにより公正な競争原理が侵害されるような情報をいうものであり,「その他正当な利益が損なわれる」とは,事業を営むものの社会的評価の低下をもたらす情報,社会通念上法人等の内部事項と認められる情報をいうものである。
(3)ところで,本件委託契約の相手方である公社は,本件条例第7条第2号にいう「法人」であり,岡山市からの委託料を財源として,公社独自の裁量及びその判断によって自らが物品購入を行い,各種業務の委託契約を締結している。
また,岡山市と公社との管理委託契約締結をするうえで必要な予定価格の積算根拠は,公社が行う個々の物品購入金額及び業務委託金額の合計積算見積金額によって決定される。
(4)したがって公社が,岡山市との本件委託契約によって得た管理運宮委託費をどのように使うかは,委託契約の範囲内で,公社独自の裁量とその判断によるものであるから,岡山市が本件予定価格を算出する根拠となった本件設計金額そのものが公社自らが行う物品購入や業務委託契約を締結するうえでの予定価格となるものではない。
(5)そうであるとすれば,本件委託契約の積算根拠となった本件設計金額が開示されたからといって,直ちに,公社が業者と契約を締結するうえで不利益を被るとはいえないから,本件設計金額は,「開示することにより,当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益が損なわれると認められる」情報とはいえないものである。
2 本件設計金額及び本件予定価格の本件条例第7第4号該当性について(争点2)
(1)本件条例第7条第4号は,開示しないことができる文書として「市又は国等が行う行政上の取締まり,犯罪の予防及び捜査,検査等の計画及び実施要領,争訟及び交渉の方針,契約の予定価格,用地買収計画その他の事務事業に関する情報であって,開示することにより,当該事務事業の目的を損なわせるおそれのあるもの,当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障を生ずるおそれのあるもの」に該当する情報(以下「事務事業執行情報」という。)が記載されている公文書を掲げている。
(2)事務事業執行情報を本件条例の適用除外事由にした趣旨は,市,国等の行う事務事業に関する情報であっても,情報を開示すると事務事業を実施しても予想どおりの成果が得られなくなり,実施目的を失う場合や,不公平が生じることにより関係者の理解が得にくくなったりする等行政の円滑な執行を妨げるおそれがある場合や,開示することで身体や財産の保護に支障を来す場合があり,そのような場合には,当該情報を公開する利益より当該情報を非公開とすることで守る利益のほうが優先するとして,非開示事由とされたものである。
そして本件条例第7条第4号にいう「おそれ」の解釈については,公文書の公開によって市民の市政への参加を推進し,開かれた市政の実現に寄与するという条例の趣旨が没却されることのないように単なる抽象的,観念的な可能性では足らず,事務事業の公正又は円滑な執行に支障を生ずる具体的かつ客観的な蓋然性が要求されると解され,そうした非開示事由(「おそれ」)の存在は,実施機関において個別具体的に主張立証しなければならない。
(3)以上の観点から,本件予定価格及びその算出の根拠となった本件設計価格が本件条例第7条第4号に定める非開示情報としての事務事業執行情報に該当するか否かを検討する。
ア 実施機関は,本件設計金額が開示されれば,公社の行う契約締結事務に関し,業者のいわゆる高止まり状態が生じる結果,岡山市への不用残額としての精算戻入金額が少なくなり,岡山市が財政的不利益を被る旨主張する。
イ しかし,争点1における「審査会の判断」,すなわち,(1)公社が,岡山市との契約によって得た委託費をどのように使うかは,公社独自の裁量とその判断によるものであること,(2)岡山市が算出した本件設計金額がそのまま公社が業者に発注する際の予定価格となるものではないこと(公社には委託設計金額を予定価格とする契約上の義務はない),(3)公社自身の企業努力で,岡山市の積算根拠とした価格よりも低価格で諸種の契約を締結することができることから,本件設計金額を開示したからといって,直ちに,公社が不利な条件で各種契約を締結しなければならないという結論に容易に達することはできない。
ウ このように考えると,実施機関の主張のごとく,本件設計金額の開示によって,岡山市が明らかに不用残額の精算戻入金の総額において財政上不利益を受けるとは言えず,将来の同種の事務事業に支障を及ぼす「おそれ」が具体的かつ客観的に存在するとは言えないものである。
エ なお,実施機関は,本件予定価格及びその積算根拠となった本件設計金額が開示されると,ふれあいセンター以外の市有施設に係る管理運営委託契約を締結する際に,相手方に将来において設定する予定価格が類推され,当該予定価格そのものあるいはこれに近接した形で契約せざるを得ず,契約事務執行上不利益を生ずる旨主張する。
オ しかしながら,各市有施設の規模,構造等の差異により,本件予定価格及び本件設計金額を開示しても,将来における予定価格の設定において契約の相手方となる者がこれを容易に類推できるとは考えられないから,実施機関の前記主張も抽象的に過ぎず,本件条例第7条第4号該当性を是認することはできない。
第6 結論
以上により,「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成10年8月26日 諮問書の収受
平成10年11月4日 弁明書の収受
平成10年11月25日 反論書の収受
平成10年11月27日 第1回審査会(審議)
平成11年1月22日 第2回審査会(実施機関の口頭意見陳述及び審議)
平成11年2月15日 弁明補充書の収受
平成11年2月16日 第3回審査会(異議申立人の口頭意見陳述及び審議)
平成11年3月10日 反論補充書の収受
平成11年3月17日 第4回審査会(審議)
平成11年4月9日 第5回審査会(審議)
平成11年5月14日 第6回審査会(審議)
平成11年5月26日 答申

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