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答申第8号

[2010年3月4日]

ID:17121

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岡情審査第10号
平成11年5月26日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例第25条の規定に基づく諮問について(答申)

平成10年7月16日付け岡福総第301号による下記の諮問について次のとおり答申いたします。


北ふれあいセンターにおけるヘルストロンの購入に関する契約書一式の開示請求に対して,一部非開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1 審査会の結論
北ふれあいセンターにおけるヘルストロンの購入契約締結に係る文書のうち非開示とした予定価格調書記載の予定価格は,開示すべきである。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は,異議申立人が平成10年6月15日付けで行った岡山市情報公開及び個人情報保護に関する条例(昭和62年市条例第43号。以下「本件条例」という。)第6条に基づく北ふれあいセンターにおけるヘルストロン購入に関する契約書一式(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し,岡山市長(以下「実施機関」という。)の予定価格調書記載の予定価格(消費税込みの額をいう。以下「本件予定価格」という。)が本件条例第7条第4号に定める非開示情報に該当するとして,平成10年6月25日付けでなした一部開示決定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものである。
第3 争点並びに争点に対する実施機関及び異議申立人の主張
争点並びに争点に対する実施機関及び異議申立人の主張は次のとおりである。
1 本件異議申立てにおける争点
本件異議申立てにおける争点は,本件予定価格が本件条例第7条第4号に定める非開示情報に該当するか否かである。
2 実施機関の主張
本件予定価格は,次のとおり本件条例第7条第4号に定める非開示情報に該当する。
(1)予定価格については,これが契約金額を決定する際の指標となるものである以上,たとえ事後であっても,これを公開すると,業者が次回以降において同種の業務を落札しようとする時に,過去の予定価格を参考にして将来の予定価格を容易に推測するため,将来において同種の契約を締結する場合に予定価格に近接した金額(高止まりの金額)で契約を締結せざるを得なくなる。
(2)国や他の地方公共団体においても,繰り返し行われる物品購入契約における予定価格を一旦公表することになると以後の入札において予定価格の類推が容易に可能となることから,ほとんど公表されていない。
3 異議申立人の主張
本件予定価格は,本件条例第7条第4号に定める非開示情報に該当しない。
(1)ヘルストロンの製造について,技術革新等によるモデルチェンジにおける取引価格の変動等を考慮すれば,本件予定価格を入札後において開示したからといって,以後の入札における予定価格の類推が容易であるとは言えない。
(2)国も公共工事の入札においては,不正な入札の抑止及び積算の妥当性の向上の観点から予定価格の事後公表を行うこととしている。
第4 審査会の認定した事実
当審査会において認定した事実は次のとおりである。
(1)実施機関は,本件公文書を作成し,及び管理していること。
(2)本件公文書の具体的標目は次のとおりであること。
ア 契約書(契約書本体及びその内訳書)
イ 予定価格調書
ウ 見積書
エ 仕様書
オ ヘルストロンのパンフレット
カ 物品購入見積について(通知)
キ 物品購入に係る機種の指定について
ク 物品購入伺書
ケ 納品書
コ 納入検査報告書
(3)異議申立人は,平成10年6月15日付け公文書開示請求書により,実施機関に対し,本件条例第6条に基づき,本件公文書の開示を請求したこと。
(4)実施機関は,平成10年6月25日付け一部開示決定書で,前記開示請求に対して,本件予定価格が本件条例7条第4号に定める非開示情報に該当するとして,本件処分を行ったこと。
第5 審査会の判断
本件予定価格が,本件条例第7条第4号の非開示情報に該当するかどうか次のとおり,審査し,及び判断する。
1 本件条例第7条第4号は,開示しないことができる文書として「市又は国等が行う行政上の取締まり,犯罪の予防及び捜査,検査等の計画及び実施要領,争訟及び交渉の方針,契約の予定価格,用地買収計画その他の事務事業に関する情報であって,開示することにより,当該事務事業の目的を損なわせるおそれのあるもの,当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障を生ずるおそれのあるもの」に該当する情報(以下「事務事業執行情報」という。)が記載されている公文書を掲げている。
2 事務事業執行情報を本件条例の非開示事由にした趣旨は,市,国等の行う事務事業に関する情報であっても,情報を開示すると事務事業を実施しても予想どおりの成果が得られなくなり,実施目的を失う場合や,不公平が生じることにより関係者の理解が得にくくなったりする等行政の円滑な執行を妨げるおそれがある場合や,開示することで身体や財産の保護に支障を来す場合があり,そのような場合には,当該情報を公開する利益より当該情報を非公開とすることで守る利益のはうが優先するとして,非開示事由とされたものである。
3 そして本件条例第7条第4号にいう「おそれ」の解釈については,公文書の公開によって市民の市政への参加を推進し,開かれた市政の実現に寄与するという本件条例の趣旨が没却されることのないように単なる抽象的,観念的な可能性では足らず,事務事業の公正又は円滑な執行に支障を生ずる具体的かつ客観的な蓋然性が要求されると解され,そうした非開示事由(「おそれ」)の存在は,実施機関において個別具体的に主張立証しなければならない。
4 以上の観点から本件予定価格が,本件条例第7条第4号にいう非開示情報としての事務事業執行情報に該当するか否かを検討する。
(1)岡山市が,各種の契約を締結する場合には,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第234条第1項に定められた方法によることとなるが,その1つとして随意契約がある。随意契約とは,競争の方法によることなく,任意に特定の者を選んで契約を締結する方法である。この随意契約の方法による場合は,地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の2第1項各号に定められた事由に該当する場合に限られる。本件におけるヘルストロンの購入に係る売買契約は,この随意契約のうち,特定の者から見積書を徴して行う単独随意契約によるものである。
(2)単独随意契約においては,特別の知識や技術を有する者などを契約の一方の当事者とすることから,相手方は特定されているものの,契約金額まで決定されているものではない。
(3)岡山市においては,「最も有利な条件で契約を締結する」との観点から,岡山市契約規則(平成元年市規則第63号。以下「規則」という。)第23条により,随意契約(本件のような単独随意契約も含む。)といえども,契約の締結に当たっては,規則第11条の規定に準じて契約金額の指標となる予定価格を定め,当該予定価格以下の金額で契約を締結することとされている。
(4)このような,岡山市の契約締結事務の仕組みからすれば,競争入札によらない本件のような単独随意契約においても,予定価格について,これを契約締結前に開示すれば,岡山市が予定価格そのもの,あるいはこれに非常に近接した金額で契約せざるを得ないという不利益を被ることは実施機関の主張のとおりである。
(5)しかしながら,契約締結後に本件予定価格を開示する場合については,将来岡山市がヘルストロンと同種の健康器具購入の契約締結に際して,契約の相手方に予定価格を容易に推測され,契約締結前に開示するのと同様な不利益を明らかに被るとは言えない。
(6)けだし,前記物品は,異議申立人の主張するように,技術革新や,需要と供給の関係その他市場経済における諸般の事情により,その実勢価格が変動するから,近接した日時で契約を締結する場合は格別,そうでない場合には,本件予定価格と将来において設定される予定価格が実施機関が危惧するほどに近接するとは考えられないからである。
さらに言えば,実施機関の主張するいわゆる高止まりの問題も,異議申立人の主張するように実施機関の予定価格の適正な設定への努力により回避され得るものである。
(7)したがって,本件契約締結後の開示においても,契約締結前において予定価格を開示した場合と同様の支障があるとする実施機関の主張は妥当とは言い難く,本件予定価格を事後に開示したからといって,将来の同種の事務事業の執行に支障を及ぼす「おそれ」が具体的かつ客観的に存在するとは考えられず,また,その点について実施機関の具体的主張もなされていない。
第6 結論
以上により,「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成10年7月16日 諮問書の収受
平成10年11月4日 弁明書の収受
平成10年11月25日 反論書の収受
平成10年11月27日 第1回審査会(審議)
平成11年1月22日 第2回審査会(実施機関の口頭意見陳述及び審議)
平成11年2月15日 弁明補充書の収受
平成11年2月16日 第3回審査会(異議申立人の口頭意見陳述及び審議)
平成11年3月10日 反論補充書の収受
平成11年3月17日 第4回審査会(審議)
平成11年4月9日 第5回審査会(審議)
平成11年5月14日 第6回審査会(審議)
平成11年5月26日 答申

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