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答申第38号

[2010年3月8日]

ID:17153

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岡情審査第164号
平成17年12月22日

岡山市長 髙谷 茂男 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成17年4月18日付け岡環規第16号による下記の諮問について次のとおり答申します。

公害苦情調査に関係する文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定において、非開示とされた項目のうち、次に掲げる部分については開示すべきである。
1 公害苦情調査票について
「町内会長の苗字」
2 市民総務課から環境規制課へ送付した電子メール文について
「町内会長の苗字」、「町内会長の氏名」
3 環境規制課から町内会長へ送付した文書について
「町内会長の苗字」

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年3月29日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年3月31日付けで、下記に掲げる文書について、それぞれに掲げる部分が、条例第5条第1号に規定する個人情報(以下「個人情報」という。)に該当することを理由に一部開示決定処分を行った。
(1)公害苦情調査票
「町内会長の苗字」、「町内会長の住所」、「町内会長の電話番号」、「関係者の苗字及び肩書」
(2)市民総務課から環境規制課へ送付した電子メール文
(当該電子メール文中に、町内会長が市民総務課に対して送付した電子メール文も含まれている。)
「町内会長の苗字」、「町内会長の電子メールアドレス」、「町内会長の氏名」、「町内会長の電話番号」
(3)環境規制課から町内会長へ送付した文書
「町内会長の苗字」
3 上記決定を受けた申立人から、実施機関に対し、同年4月2日付けで、町内会長は公的な扱いなので個人情報に該当しないとして、一部開示決定処分の取消しを求めることを内容とする、本件異議申立てが行われた。
4 それに対して、実施機関は、同年4月18日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.実施機関及び申立人の主張の要旨
実施機関及び申立人の主張の要旨は、次のとおりである。
1 実施機関の主張要旨
(1)町内会長の氏名について
ア 町内会という団体は、組織としての制度及び規律が明確でなく、一定地域に居住している者が、親睦や生活向上を目的として活動を行うものであり、条例第5条第2号に規定する、「法人」ではない「その他の団体」であると考える。
イ 町内会の代表である町内会長については、持回りで選出されることも多く、代表としての責任の有無については検討の必要があり、企業等の代表の個人情報のように地域を越えて広くさらされたのでは、場合によっては、個人にとって負担が大きいと考える。
ウ 本件公文書における町内会長の情報は、周辺住民から相談を受けた町内会長が、世話役として実施機関へ連絡をとった経過に係るものであり、町内会長名で実施機関へ提出された町内会所有施設等への補助金申請書中の情報とは異なると考える。つまり、町内会長という役職に就いている者が、その地域の紛争事の解決のため、町内会の会員の一人として、単に連絡役として行動したことに係る情報であるため、個人情報に該当すると判断した。
(2)町内会長の住所、電話番号及び電子メールアドレスについて
町内会長の自宅については、町内会の連絡先として使われているが、町内会長の家族を含めた個人の生活の場であるため、町内会長の住所、電話番号及び電子メールアドレスは、個人情報に該当すると判断した。
2 申立人の主張要旨
(1)町内会長の氏名、住所、電話番号及び電子メールアドレスについて
町内会は、法人格を持たない任意加入団体であり、町内会長は、公的な扱いであるため、氏名、住所、電話番号及び電子メールアドレスは個人情報には該当しないと考える。
(2)実施機関の主張の根拠について
ア 本件公文書中の町内会長の選出の方法については、実施機関が主張するような方法では選出されていないため、事実確認の要があると考える。
イ 実施機関が主張する、個人にかかる大きな負担とは何であるのか。
ウ 実施機関は、町内会長の行動は、単に町内会の会員の一人としてとった行動であると主張しているが、その根拠は何であるのか。
エ 町内会長が市民総務課に対して送付した電子メール文は、町内会長名で送付されているにもかかわらず、実施機関は、一個人の行動と容認するのか。
(3)その他
ア 町内会長は、申立人に対して、町内会長の役職及び氏名を記載し、町内会及び町内会長の印を押印した文書を提出したので、個人情報は存在しなくなった。
イ 町内会長が市民総務課に対して送付した電子メール文の内容が不適切であるため、個人情報の保護は必要ない。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書について
本件公文書は、電子メールを用いて町内会長が市民総務課に対して行った依頼を受けて、環境規制課が行った公害苦情調査に係る、次に掲げる文書である。
(1)公害苦情調査票
(2)市民総務課から環境規制課へ送付した電子メール文
(3)環境規制課から町内会長へ送付した文書
2 町内会及び町内会長の性格について
実施機関は、町内会は条例第5条第2号に規定する「その他の団体」であるが、町内会長の個人情報を広く知らしめることは、選出方法から考えて、町内会長個人にとって負担が大きいと主張している。それに対して、申立人は、町内会は法人格を持たない団体であり、町内会長は公的な扱いであるため、個人情報に該当しないと主張している。
実施機関及び申立人双方の認識において、町内会が条例第5条第2号に規定する「その他の団体」であるということは共通しているが、町内会長の情報については、個人情報に該当するという実施機関の主張と、個人情報に該当しないという申立人の主張とが対立している。
確かに、町内会の情報については、条例第5条第2号に規定する法人等に関する情報の性格を持つと考えられるが、町内会長の情報は、法人等に関する情報の一部であるという側面と、個人に関する情報であるという側面の両方を持つと考えられる。
町内会長の情報が、法人等に関する情報の一部であると考えるとしても、条例第5条第2号に規定する非開示情報である、「開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」に該当するとは言えない。そこで、町内会長の情報の個人情報該当性について、以下に検討を行うこととする。
3 町内会長の情報の個人情報該当性について
(1)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(一般人が通常入手し得る関連情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」を非開示情報としているが、「ただし、次に掲げる情報を除く。」として、次のア、イ及びウの情報については、開示することと規定している。
ア 法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ウ 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分
(2)町内会長の情報は、条例第5条第1号本文の規定する個人情報であることは認められるが、同号ただし書アからウまでの規定に該当するか否かが本件の争点であると判断する。
ただし、同号ただし書イの規定についてであるが、本件において、町内会長の情報が、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であるとまでは認められず、同号ただし書イの規定に該当するとは認められない。
また、同号ただし書ウの規定についてであるが、町内会長は公務員ではないので、同号ただし書ウの規定にも該当するとは認められない。
そこで、町内会長の情報が、条例第5条第1号ただし書アの規定に該当するか否かについて検討を行う。
(3)条例第5条第1号ただし書アに規定する、「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」(以下「公知の個人情報」という。)とは、『岡山市情報公開及び個人情報保護制度運用の手引(平成13年3月改訂 岡山市総務局)』(以下『手引』という。)によれば、「法令等の規定や慣行により、現に何人も容易に入手することができる状態におかれている情報をいう。また、開示請求時点においては公にされていないが、将来、公にすることが予定されている情報をいう。」(『手引』15頁)とされている。また、例示として、法令等に定めがある情報のほか、「公表することを前提として本人から提供された情報」、「公表することに本人が同意している情報」、「個人が自主的に公表した資料から何人も知り得る情報」及び「従来から公開されており今後とも公開しない理由がないことが明らかな情報」(『手引』17頁及び18頁)等が具体例とともに列挙されている。
4 非開示部分の条例第5条第1号ただし書ア該当性について
前項を踏まえて、本件公文書における非開示部分が、条例第5条第1号ただし書アに該当するか否かについて具体的に検討する。
(1)公害苦情調査票
ア 「町内会長の苗字」
申立人は、町内会長は公的な扱いであるため、氏名、住所、電話番号及び電子メールアドレスは個人情報に該当しないと主張する。それに対して、実施機関は、町内会は条例第5条第2号に規定する「その他の団体」であるが、町内会長の選出方法は持回りであることも多く、町内会長が単に会員の一人である地域の世話役として行動する場合には、町内会長の氏名は、個人情報に該当すると主張する。
確かに、町内会長の情報は、町内会長自身にとっては自己の社会的活動の一環として、個人に関する情報としての側面を持つことは否定できず、会長自身が、単に地域の世話役として活動する際にも、町内会長の肩書を冠して行動することは予想される。
しかし、町内会長自らが、敢えて町内会長という肩書を冠して行動するのであれば、その行動は、町内会長本人の意識は別にして、外形的には町内会の代表として活動しているとみなされるのである。したがって、この場合、町内会長の氏名は、法人等の職務として行う行為に関する情報として、公にすることが予定されたものと自ら容認していると理解されてもやむを得ず、公知の個人情報に該当すると考えることが妥当である。
同様に、自治体の担当職員が町内会長と連絡を取る際に、町内会長の肩書を冠した表記を用いる以上は、単に世話役の一人としてではなく、外形的には町内会の代表としてみなしているわけであり、公知の個人情報に該当すると考えることが妥当である。
公害苦情調査票は、町内会長からの苦情の申立てに対応して、実施機関が作成した文書であり、「町内会長の苗字」は、外形から判断して、町内会の代表としての活動に係る情報として記載されたものと考えられる。
したがって、「町内会長の苗字」は、条例第5条第1号ただし書アに該当し、公知の個人情報であるため、開示することが妥当であると判断する。
イ 「町内会長の住所」及び「町内会長の電話番号」
「町内会長の住所」及び「町内会長の電話番号」については、町内会長の自宅の住所及び電話番号であると認められるが、町内会長の自宅は単なる連絡先にすぎず、町内会という「その他の団体」の事務所であるとまでは言えない。
また、町内会長の住所及び電話番号の公表の目的は、主として町内会と連絡をとる自治体の担当職員及び町内会に所属する住民からの連絡の範囲内にとどまるものであり、これらが広く一般に公表されている場合、あるいは、公表することに本人が同意している場合は別にして、個人の自宅であるという側面を看過し、町内会活動の連絡先に使われるという側面だけに着目して、一般に公にすることが予定された公知の個人情報であると判断することはできないと考える。
したがって、「町内会長の住所」及び「町内会長の電話番号」は、個人の自宅に関する情報として、非開示情報である個人情報に該当するため、非開示が妥当であると判断する。
なお、公害苦情調査票における「関係者の苗字及び肩書」は、個人情報として非開示とされているが、このことについて、実施機関と申立人との間に争いはなく、非開示が妥当であると判断する。
(2)市民総務課から環境規制課へ送付した電子メール文
ア 「町内会長の苗字」及び「町内会長の氏名」
当該電子メール文の内容は、町内会長が、自身の町内で起きている事案について、町内会の問題として市に相談したものと認められ、「町内会長の苗字」及び「町内会長の氏名」については、外形から判断して、町内会の代表としての活動に係る情報として記載されたものと考えられる。したがって、「町内会長の苗字」及び「町内会長の氏名」については、条例第5条第1号ただし書アに該当し、公知の個人情報であると認められるため、開示することが妥当であると判断する。
イ 「町内会長の電話番号」及び「町内会長の電子メールアドレス」
「町内会長の電話番号」及び「町内会長の電子メールアドレス」は、町内会長の自宅の電話番号及び電子メールアドレスを町内会長の連絡先として記載したものであると認められ、公知の個人情報に該当するとまでは言えない。したがって、「町内会長の電話番号」及び「町内会長の電子メールアドレス」は、個人情報に該当するため、非開示が妥当であると判断する。
(3) 環境規制課から町内会長へ送付した文書
ア 「町内会長の苗字」
環境規制課から町内会長へ送付した文書は、環境規制課が、町内会の事案について町内会の代表へ送付したものと認められ、「町内会長の苗字」は、外形から判断して、町内会の代表としての活動に係る情報として記載されたものと考えられる。したがって、条例第5条第1号ただし書アに該当し、公知の個人情報であると認められるため、開示することが妥当であると判断する。
5 申立人のその他の主張について
「第3.実施機関及び申立人の主張の要旨 2 申立人の主張要旨」中、「(2)実施機関の主張の根拠について」については、公文書の開示・非開示の当否とは別の問題であり、当審査会の審査の対象ではないと考える。また、「(3)その他」については、条例上の開示・非開示の根拠とは言えないと判断した。
6 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は、次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成17年4月18日 諮問書の収受
平成17年5月13日 実施機関側意見書の収受
平成17年5月23日 申立人側意見書の収受
平成17年6月20日 審議
平成17年7月25日 審議
平成17年8月22日 審議
平成17年10月24日 審議
平成17年11月28日 審議
平成17年12月22日 答申

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