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答申第30号

[2010年3月5日]

ID:17145

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岡情審査第125号
平成17年3月25日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成16年6月14日付け岡福第701号による下記の諮問について次のとおり答申します。

平成14年11月21日付け岡福第927号「平成14年7月24日付けご質問に対する回答について」に係る利用転換について検討以降547日間(平成16年5月12日まで)の長期にわたり検討した事績を記録した一切の文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して、一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定において、非開示とされた項目のうち、次に掲げる部分については開示すべきである。
1 「北ふれあいセンター『憩いの間』撤去について(報告)」と題された文書のうち、「2 撤去費用(営繕課見積)」の項に記載されている金額
2 「岡山市北ふれあいセンター・いこいの部屋修繕」と題された文書のうち、次に掲げる部分
(1)「一金」の金額
(2)「建築工事」の金額
(3)「電気設備工事」の金額
(4)「機械設備工事」の金額
(5)上記(2)、(3)及び(4)の「計」の金額
(6)「共通仮設費」の金額
(7)「現場管理費」の金額
(8)「現場管理費の摘要」の内容
(9)「一般管理費」の金額
(10)「一般管理費の摘要」の内容
(11)上記(6)、(7)及び(9)の「計」の金額
(12)上記(5)及び(11)の「合計」の金額
(13)「消費税相当額」の金額
(14)「総合計」の金額

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年5月17日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年5月25日付けで、本件公文書のうち、氏名の部分については、条例第5条第1号に規定する非開示事由である個人情報に、また、撤去費用の金額等については、条例第5条第4号に規定する非開示事由である、「当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」に、それぞれ該当することを理由に非開示とする一部開示決定を行った。
3 上記決定を受けた申立人は、実施機関に対し、同年6月1日付けで、撤去費用の金額等が、条例第5条第4号に規定する非開示事由である、「当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」に該当するとした判断には、承服できないとして異議申立てを行った。
4 それに対して、実施機関は、同年6月14日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.実施機関及び申立人の主張の要旨
申立人及び実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)撤去費用の金額の性格について
「岡山市北ふれあいセンター・いこいの部屋」の修繕見積書に記載された撤去費用のうち、「仕様」及び「単価」の欄は空欄で、直接工事費(3工事)及び共通費(3項目)について、すべて一式として包括的に記入されているため、積算の客観的根拠があいまいであり、また、見積書作成日も不明である。
かかる撤去費用の金額は、不透明で信頼性に乏しいと指摘せざるを得ず、その開示が条例第5条第4号に規定する「当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。」とする判断には承服できない。
さらに、この撤去費用の金額は、契約の締結を目的とした許容価格(予定価格)としての性格は認められず、単なる撤去の可否に影響する費用対効果の経済的判断をするためのシンプルな参考資料にとどまる性格のものである。したがって、この撤去費用の金額の開示が、公正・円滑な入札事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは考えられない。
(2)非開示事由としての理由付記のあり方について
条例第10条において、実施機関は、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、一般人が容易に理解し得るよう理由を示すことを義務付けられているが、本件公文書の非開示事由について、実施機関は、条例第5条第4号に該当するためと主張するのみで、当該条項中アからカまでのどの非開示事由に該当するのかを示しておらず、何ら具体的根拠をも示していない。
(3)予定価格をめぐる公表の変遷について
予定価格の秘密の保持について、従前は、厳格になされなければならないとされていたが、その後の時代的背景の変化を経て、契約の透明性の確保などの考え方により、事後公表、事前公表へと格段の変遷を遂げてきている。そうした中で、撤去費用の金額の開示は、公正・円滑な入札事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは考えられない。
2 実施機関の主張要旨
(1)撤去費用の金額の性格について
撤去費用の金額は、本市の担当である都市整備局都市建築部営繕課(以下「営繕課」という。)において、岡山市が使用している設計単価に基づき積算した設計金額であり、申立人が主張しているように、不透明で信頼性に乏しいものではない。
(2)岡山市における許容価格及び設計金額の公表について
現在、岡山市においては、許容価格及び設計金額についてはともに事前の公表を行わないことを原則としており、その中で、工事の請負契約に係る許容価格のみを事前に公表することとしている。本件公文書に係る撤去費用の金額については、契約の締結を目的としているものではなく、参考資料ではあるが、岡山市が使用している設計単価に基づいて積算している設計金額であり、したがって、その事前の公表を行うことはできない。
(3)非開示事由としての理由付記のあり方について
本件公文書の非開示事由について、実施機関は、条例第5条第4号に該当するためと主張するのみで、当該条項中のアからカまでのどの非開示事由に該当するのかを示していないと申立人は主張する。しかしながら、条例第5条第4号のアからカまでは、事務又は事業の内容及び性質に着目した上でのグループ分けを行い、典型的な非開示事由を示したものであり、非開示事由はアからカまでに限定されるものではなく、本件公文書の撤去費用の金額(設計金額)については、公正・円滑な入札事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあると考え、条例第5条第4号の規定に基づき、非開示としたものである。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書について
本件公文書は、北ふれあいセンター内ヘルストロン室の湯沸し室の利用転換に係る、次に掲げる文書である。
(1)「北ふれあいセンター内ヘルストロン室の湯沸し室の利用転換について」と題された起案文及びその添付文書
(2)「北ふれあいセンター『憩いの間』撤去について(報告)」と題された文書
(3)表題部分に、「修繕名 岡山市北ふれあいセンター・いこいの部屋修繕」と記載された、湯沸し室の壁の撤去等の工事(以下「当該撤去工事」という。)に係る、営繕課が見積りを行った撤去費用の積算書(以下「撤去費用積算書」という。)
(4)「北ふれあいセンター憩いの間の『湯沸し室』撤去について(ナンバー2)」と題された文書
2 条例第5条第4号該当性について
(1)条例第5条第4号は、「本市の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」を非開示情報とし、その典型例をアからカまでに例示的に列挙している。
『岡山市情報公開及び個人情報保護制度運用の手引(平成13年3月改訂 岡山市総務局)』(以下『手引』という。)が解説し、かつ、本審査会がいくつかの答申においても指摘してきたように、条例第5条第4号の「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、「事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のもの」を意味し、また、「支障を及ぼすおそれ」も、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障が生じることについて、法的保護に値する程度の―具体的かつ客観的な―蓋然性が認められなければならないのであって(『手引』26頁)、そうした「おそれ」の存在は実施機関において、個別具体的に主張立証しなければならないものと解される。
(2)ところで、本件公文書の非開示事由については、実施機関の理由付記のあり方をめぐっても、申立人との間で意見が対立している。この点についての実施機関の「条例第5条第4号のアからカまでは、…典型的な非開示事由を示したものであり、非開示事由はアからカまでに限定されるものではない」との主張そのものは誤りではないが、本件での「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」についても、「一般人が容易に理解し得る」(条例第10条第1項)理由を、「客観的に理解できる程度に記載」(『手引』39頁)するよう努めることが、条例上、実施機関に期待されているということを、当審査会としても、改めて指摘しておきたい。
(3)さて、本件公文書の撤去費用積算書には、積算費用の総合計とその内訳の金額が記載されており、その金額の条例第5条第4号該当性が争点となっているのであるが、同金額は、実施機関が主張するように、岡山市が使用している設計単価を用いて積算されており、その限りで一定の根拠を持った設計金額としての側面を持っていることは否定しがたい。しかしながら、実施機関が、申立人に対して、当該撤去工事の予定はないことを通知していることから推察され得るように、当該撤去工事が行われる可能性は、極めて低いものであり、当該撤去工事が現時点で、あるいは近い将来において、計画されている事業であるわけではない。
このように、当該撤去工事を行う可能性が極めて低いだけではなく、設計金額の積算には、時間の経過により変動する単価が用いられることをも併せ考慮すれば、撤去費用積算書に記載された設計金額が、将来にわたって固定的に設計金額としての性格を持ち続けるわけではなく、過去における単なる積算例に過ぎないものになると考えられるのである。
しかも、本件撤去費用積算書に記載された金額については、岡山市が使用している設計単価によって積算された設計金額であるとしても、単価及び数量については、いずれも記載されておらず、数量についても、それぞれ「1式」とのみ記載されているに過ぎないのであるから、上記金額を開示したからといって、そこから積算の基礎となる単価を類推することは極めて困難である。
(4)したがって、本件公文書に記載された金額については、これをすべて開示しても、設計金額の事前公表になるわけではなく、当該撤去工事及びその他の工事等に関する事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが、具体的かつ客観的に存在するとも認められないのであるから、条例第5条第4号に規定する非開示事由には該当せず、開示することが妥当であると判断する。
また、撤去費用積算書のうち、「現場管理費」及び「一般管理費」の「摘要」に記載された内容も、設計金額と一体のものであり、特に非開示とする理由も示されていないことから、開示することが妥当であると判断する。
3 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成16年6月14日 諮問書の収受
平成16年6月30日 実施機関側意見書の収受
平成16年7月16日 申立人側意見書の収受
平成16年8月23日 審議
平成16年9月27日 実施機関側及び申立人側口頭意見陳述並びに審議
平成16年10月15日 実施機関側追加意見書の収受
平成16年10月25日 審議
平成16年11月15日 申立人側追加意見書の収受
平成16年11月22日 審議
平成16年12月13日 審議
平成17年1月24日 審議
平成17年2月14日 審議
平成17年3月14日 審議
平成17年3月25日 答申

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