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答申第32号

[2010年3月5日]

ID:17147

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岡情審査第17号
平成17年4月28日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成16年9月6日付け岡文第444号による下記の諮問について次のとおり答申します。

岡山市情報公開条例に基づく市長意見書、異議申立人の反論意見書及び伺書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して、一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問
第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定は妥当である。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年7月23日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年8月6日付けで、本件公文書のうち、(1)及び(2)に掲げる部分について、それぞれに掲げる非開示事由に該当することを理由に、一部開示決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
(1)本件異議申立事件と異なる異議申立事件(以下「別件異議申立事件」という。)において、平成16年4月8日付けで、岡山市長に対して提出された異議申立書に対する市長意見書(以下「別件市長意見書」という。)及び別件市長意見書に対する異議申立人の反論意見書(以下「別件反論意見書」という。)の全部-条例第5条第3号に規定する審議・検討・協議に関する情報
(2)本件異議申立事件及び別件異議申立事件と異なる異議申立事件において、平成16年7月16日付けで提出された異議申立人の反論意見書(以下「別件第2反論意見書」という。)を担当部局に送付する意思決定を行った伺書のうち、次に掲げる部分
ア 異議申立人の「氏名」-条例第5条第1号に規定する個人情報
イ 別件第2反論意見書の全部-条例第5条第3号に規定する審議・検討・協議に関する情報
3 上記決定を受けた申立人から、同年8月24日付けで、実施機関に対し、別件市長意見書及び別件反論意見書(以下「本件意見書等」という。)については、開示すべきであるとして、異議申立てが行われた。
4 それに対して、実施機関は、同年9月6日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.申立人及び実施機関の主張の要旨
申立人及び実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
1 申立人の主張要旨
(1)非開示理由付記の不備について
実施機関は、本件意見書等について、条例第5条第3号該当を理由として非開示としているが、当該規定は、「外部からの干渉、圧力等により率直な意見の交換、意思決定の中立性が損なわれるおそれ」等の3例の非開示理由を示しており、このうちどのカテゴリーを非開示理由としているのか不明であるため、処分権の濫用による違法な処分である。
そもそも、公文書非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者が、条例第5条各号所定の非開示理由のいずれに該当するのかを、その根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、条例第10条第1項の要求する理由付記としては十分ではないため、本件処分は、理由付記の要件を欠き、違法なものである。
(2)本件意見書等の審議・検討・協議に関する情報非該当性について
本件意見書等は、当該一方の意見あるいは反論に係る意思表示を記載した静的文書であり、審査会の調査審議の手続そのものが、非公開により行われることを勘案すれば、具体的発言等動的な審議内容そのものとは全く異質なもので、審査会の審議情報には当たらず、したがってまた、条例第5条第3号の審議・検討・協議に関する情報にも該当しない。
条例第5条第3号の趣旨は、「外部からの干渉、圧力等により率直な意見の交換、意思決定の中立性が損なわれるおそれ」、「未成熟な情報が確定的情報と誤解され、住民の間に混乱を生じさせるおそれ」又は、「特定の者に利益を与えたり、不利益を及ぼすおそれ」がある情報については開示しないこととしたのであるが、本件処分において非開示とされた文書の全部については、その蓋然性は全く認められず、かつ、審査会の審議手続は、非公開で行われることを考慮すれば、本件処分は、合理性が認められないものであるので違法である。
2 実施機関の主張要旨
(1)非開示理由付記の不備の主張について
条例第27条は、審査会の行う調査審議の手続は、公開しないと規定している。また、条例第26条の規定では、意見書等については、不服申立人等の関係者の閲覧を認めているが、関係者以外の者による閲覧は認められていない。このことは、意見書等が審査会の行う調査審議の手続の途上にある情報として、答申が行われるまでの間は、関係者以外の者には公開を想定していないと考えられる。
実施機関は、このような調査審議過程における意見書等の取扱規定を前提にして、本件意見書等が条例第5条第3号に該当すると判断して非開示としたものである。すなわち、意見書等が、「本市の機関…内部…における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」に該当すると判断し、一部開示決定通知書において、「条例第5条第3号の審議・検討・協議情報に該当するため」との非開示理由を付記するとともに、口頭説明でも、異議申立人が了知し得るよう上記趣旨を説明した。したがって、理由付記の要件を欠き違法なものとはいえない。
(2)本件意見書等の審議・検討・協議に関する情報非該当性の主張について
(ア)申立人が本件公文書の開示請求を行った時点では、別件異議申立事件について、現に審査会における調査審議が進行中であり、調査審議の一環として、本件意見書等の内容の検討が行われている以上、本件意見書等は調査審議内容の一部を形成するものと考えられるのであり、申立人が主張するように、「審議内容そのものとは全く異質なもの」とか、「審議情報には当たらない」ということはできない。
(イ)もともと審査会は、調査審議の過程を第三者に公開して審議を進めることを前提としておらず、また、意見書は、「開示決定等に係る公文書」(条例第23条第1項)とともに、審査会の調査審議の中核となる文書であると考えられる。
これらの意見書が一般的に開示されるようなことがあれば、条例第27条が規定する非公開の手続の下で行われるべき審査会の調査審議が妨げられたり、第三者の権利利益を害するおそれも生ずると考えられるのである。したがって、本件意見書等は、条例第5条第3号が非開示情報として規定する「率直な意見交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」、「不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ」及び「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」のある「審議、検討又は協議に関する情報」に該当し、意見書等を非開示とした本件一部開示の処分は妥当である。
第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件処分に係る理由付記不備の主張について
(1)申立人は、実施機関が、本件意見書等を非開示とする一部開示決定通知書において、「岡山市情報公開条例第5条第3号の審議・検討・協議に関する情報に該当するため」とのみ理由を付記して、同号後段の三つのカテゴリーの「おそれ」については明示することなく非開示としたことに対して、条例第10条第1項に規定する理由の付記が十分ではなく、違法な処分であると主張している。
これに対して、実施機関は、一部開示決定通知書の理由欄には、上述の如き理由を付記しながらも、本件意見書等が条例第5条第3号後段部分に規定されている、それぞれの「おそれ」のある審議・検討・協議に関する情報であることを、審査会の調査審議の非公開を定めた条例第27条や不服申立人等に意見書等の閲覧請求権を付与する条例第26条の趣旨等を前提にして、口頭で、あるいは事後の意見書において説明してきたのであるから、本件処分は理由付記の不備を理由とする違法な処分とはいえないと反論している。
(2)条例第10条第1項は、「実施機関は、…開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、書面により、その理由を示さなければならない。この場合において、当該理由は、当該書面の記載自体から一般人が容易に理解し得るものでなければならない。」と規定し、全部及び一部非開示の場合には、理由の提示が必要であること、理由の提示に際しては、開示しない根拠規定及びこれを適用する理由を客観的に理解できる程度に記載しなければならない旨を規定している。
この決定通知書における理由付記のあり方については、「非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える」という理由付記制度の趣旨に鑑み、「開示請求者において、〔非開示情報について規定した条文の〕各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、…理由付記としては十分でない」との、東京都公文書の開示等に関する条例(旧条例)の運用に係る最高裁判所の判断(最一小判1992・12・10)が示されている。申立人は、この判決の趣旨に依拠する形で、本件における、非開示理由に条例第5条第3号の前段部分のみが記され、後段部分の三つのカテゴリーの「おそれ」が明記されていない一部開示決定通知書の理由付記は、「理由付記の要件を欠き違法なものである」と主張しているのである。
(3)確かに、非開示理由の付記のあり方については、条例第10条第1項が規定し、上記最高裁判決が判示しているように、「一般人が容易に理解し得るよう」に、また、「単に非開示の根拠規定を示すだけ」ではなく、条例所定の「非開示理由のどれに該当するかをその根拠とともに了知」し得るように記載すべきであること、そしてまた、本件においても、条例第5条第3号後段の「おそれ」の3カテゴリーを援用した理由を記載した方が条例第10条第1項及び上記最高裁判決の趣旨によりかなった理由付記であることは、申立人の主張するとおりである。この点で、実施機関の今後の理由付記のあり方の改善が望まれる。
しかしながら、本件において、実施機関は、単に根拠規定のみを付記した東京都の場合とは異なって、「審議・検討・協議情報」に該当する旨記載しており、また、条例第5条第3号後段の3カテゴリーの「おそれ」については理由欄に記載していないものの、口頭の説明等で上記「おそれ」等について、申立人が理解し、了知し得るよう努めてもいるのである。
実施機関の口頭説明等が、申立人にとって納得できる内容のものであったかどうかは別にして、本件において、条例第5条第3号後段の「おそれ」が記載されていないことのみを理由に、「理由付記の要件を欠き違法なもの」とは断定し得ないし、また、同じ理由でもって、本件処分を「処分権の濫用による違法処分」とまで断定することもできない。
2 条例第5条第3号該当性について
(1)条例第5条第3号本文は、「本市の機関並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」(以下「審議・検討・協議情報」という。)を非開示情報としている。
申立人は、条例第5条第3号に例示として示された3例の非開示理由の「おそれ」については、実施機関が、具体的かつ客観的な蓋然性を個別具体的に立証しなければならず、また、審査会の審議手続が非公開で行われることを考慮すれば、本件意見書等は、同条同号の規定する審議・検討・協議情報には該当しないと主張する。
これに対して、実施機関は、本件意見書等は調査審議過程にある情報であり、その内容は審議内容の一部を形成しており、条例第27条及び第26条の規定の趣旨からも、条例第5条第3号が規定する審議・検討・協議情報に該当するものであると主張している。
(2)以上の如き条例第5条第3号(「審議・検討・協議情報」)該当性をめぐる申立人と実施機関との対立の根底には、当審査会の行う調査審議の手続ないし過程において本件意見書等が有する性格についての理解の対立、より具体的には、調査審議の手続の非公開を定める条例第27条と本件意見書等の開示との関係についての理解の対立がある。
実施機関が-調査審議の進行中はという限定を付してではあるが-、本件意見書等の内容が「審議内容の一部を形成するもの」と理解し、その開示が非公開の調査審議の手続(条例第27条)にも反し、かつ、条例第5条第3号後段に規定する各種の「おそれ」のある審議・検討・協議情報に該当すると判断しているのに対し、申立人は、本件意見書等は「審議、検討の前提となるもの」であり、「調査審議の客体として、機能する」が、非公開で行われる審査会での「審議内容そのものとは、全く異質なもの」、「審議情報には寸毫も入り込んでいない」ものと理解し、その開示は条例第27条にも反せず、また、条例第5条第3号後段に「グルーピングされたそれぞれの『おそれ』の具体的かつ客観的蓋然性」が個別具体的に立証されない限り、審議・検討・協議情報にも該当しないと主張しているのである。
(3)申立人の、「審議過程の公開こそ重要である」との観点からの一貫した主張は、十分傾聴に値するものであるが、本件意見書等を-調査審議の「前提」ないしは「客体」として性格付けることによって-非公開で行われる当審査会の「審議内容そのもの」から区別・切断して、その公開を要求する論理の展開は、やや機械的かつ形式的でありすぎるとともに、条例が定める当審査会の調査審議の特質理解にも欠けるところがあるように思われる。
すなわち、条例第27条が「審査会の行う調査審議の手続は、公開しない」と規定しているのは、一般的に、「行政における内部的な審議、検討又は協議が円滑に行われ、適正な意思決定が損なわれないようにする観点」(岡山市総務局『岡山市情報公開及び個人情報保護制度運用の手引』22頁)から、調査・検討・協議情報(いわゆる「意思形成過程情報」とも呼ばれる。)を適用除外事項として定めた条例第5条第3号の趣旨・目的によるだけではなく、なによりも、「公文書の開示決定等の当否を審査するという審査会の性格」、より具体的には、開示請求に係る公文書につき、その内容が条例第5条各号に定められている非開示情報に該当するか否かを、インカメラ・システムの下で調査審議し、開示決定等の当否を審査するという当審査会の審査=調査審議の特質に由来するものである。こうした調査審議の特質ゆえに、その調査審議の手続が非公開とされるのであって、その非公開性は、調査審議の手続下(過程)にある意見書等にも及ぶものと解される。したがって、インカメラ審理の直接的対象である公文書そのものはもとより、調査審議の手続下(過程)にある意見書等もまた-実施機関が主張するように-、その「審議内容の一部を形成するもの」として、一般的な公開の対象とさるべきものではないのである。条例第26条が、「審査会に提出された意見書又は資料」につき、審議の公平性を確保し、他の関係者の主張を理解できるようにするために、不服申立人等に限ってその閲覧を認めることにしながらも、一般的な開示請求の対象とはしていないのも、こうした考えに基づくものであると考えられる。
(4)以上の如き調査審議の特質の考慮に基づき、当審査会は、本件において、実施機関が、調査審議の手続下にあった本件意見書等を、条例第27条及び第26条の趣旨を踏まえつつ、条例第5条第3号の審議・検討・協議情報に該当するとして非開示としたことは、妥当であると判断する。
3 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成16年9月6日 諮問書の収受
平成16年9月21日 実施機関側意見書の収受
平成16年10月18日 申立人側意見書の収受
平成16年10月25日 審議
平成16年11月22日 審議
平成16年12月13日 実施機関側及び申立人側口頭意見陳述並びに審議
平成17年1月24日 審議
平成17年2月14日 審議
平成17年3月14日 審議
平成17年4月18日 審議
平成17年4月28日 答申

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