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答申第24号

[2010年3月5日]

ID:17139

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岡情審査第55号
平成15年10月28日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成15年2月7日付け岡協第1052号による下記の諮問について次のとおり答申します。

平成13年度市民の声受付処理票のうち、市民個人から岡山市長に対して提出された意見・要望書及び当該意見・要望の処理の経過を記録した文書(以下「市民の声受付処理票特定文書」という。)の開示請求に対して一部開示決定した中の5件の文書(以下「本件公文書」という。)に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った(「変更決定」における)一部開示決定は妥当である。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年9月10日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、市民の声受付処理票特定文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年11月8日付けで、市民の声受付処理票特定文書について、それらが条例第5条第1号に定める非開示情報である個人情報、条例第5条第2号に定める非開示情報である法人情報及び条例第5条第4号に定める非開示情報である事務事業執行情報に該当することを理由に非開示とする一部開示決定(以下「当初決定」という。)を行った。
3 上記一部開示決定を受けた申立人から、条例第5条に規定する非開示情報については、「必要かつ十分な範囲内において、最小限の範囲に留められるべきもの」であり、本件公文書の全面非開示に近い一部開示の決定については不当であるとして、実施機関に対し、同年12月10日付けで、開示部分を拡大して開示することを求める異議申立てが行われたため、実施機関は、平成15年2月7日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条に基づき、当審査会に本件諮問を行った。
4 諮問後、実施機関は、意見陳述を経た後、当初決定の内容を再検討して、平成15年6月27日付けで、職権で当初決定を変更し、条例第5条第1号に定める、特定の個人を識別することができる個人情報、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある個人情報及び条例第5条第2号に定める、開示することにより当該法人等の正当な利益を害するおそれがある法人情報を除いて、開示部分を拡大する一部開示決定(以下「変更決定」という。)を行ったが、申立人が本件異議申立てを取り下げなかったため、当審査会では、その後も本件諮問について審議を継続することとした。

第3.実施機関及び申立人の主張の概要
実施機関及び申立人の主張の概要は、次のとおりである。
1 実施機関の主張要旨
本件公文書の非開示部分は、条例第5条第1号に定める、特定の個人を識別することができる個人情報及び住所・氏名等の個人識別情報を除いて開示したとしても、一定範囲の者にとっては、容易に個人が識別されることが予想されるため、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある個人情報に該当し、また条例第5条第2号に定める、開示することにより、当該法人等の正当な利益を害するおそれがある法人情報に該当する。
2 申立人の主張要旨
条例第5条に規定する非開示情報については、厳正に保護されるべきではあるが、「必要かつ十分な範囲内において、最小限の範囲に留められるべきもの」であり、市民の知る権利を保障し、実施機関の説明責任を担保するためにも、開示情報の範囲を最大限にして開示すべきである。
また、実施機関が異議申立てを受けてから諮問するのに59日を要したこと及び諮問後、異議申立人に対して諮問した旨の通知を怠ったことは、「速やかに」諮問を経て決定を行うものとする条例第16条及び「諮問した旨の通知」を実施機関に対して義務付けている条例第17条に違反する「違法不当」な「怠慢そのもの」である。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件諮問における審査対象について
「第2.異議申立て及び諮問の経緯」において述べたように、本件諮問は、当初決定及びそれに対する異議申立てであり、変更決定後も当初決定に対する異議申立てが取り下げられていないこと、また、変更決定に対する異議申立ての手続も行われていないことから、形式的には当初決定に対する異議申立てについて判断する必要があるように思われる。しかし、当初決定及び変更決定を合わせて、実質的に1件の処分とみなし、異議申立てについても、当初決定及び変更決定の双方を通じて非開示とされた部分についてのみ、その効力を維持し、判断を行うこととしても、申立人の不利益になるとは考えられず、本件諮問及び異議申立てに係る手続きの迅速化にも資するものと思われる。したがって、当審査会は、変更決定後の非開示部分を審査対象として、条例中の非開示情報に該当するか否かを検討・判断することとする。
2 本件公文書について
(1)実施機関は、岡山市事務分掌規則(平成13年市規則第110号)第20条にある、市民局協働のまちづくり課市民の声室の事務分掌「(2)市民の市政に関する要望及び苦情等の受付け及び処理指導に関すること」に基づいて、岡山市に対して、意見・要望を文書で申出る市民(以下「意見提供者」という。)及び団体から出された、市民の意見・要望書及び当該意見・要望の処理の経過を記録して、「市民の声受付処理票」を作成している。
(2)今回、申立人から開示請求の対象となったのは、平成13年度市民の声受付処理票のうち、市民個人から岡山市長に対して提出された意見・要望書及び当該意見・要望の処理の経過を記録した文書で、対象文書は48件であった。その中で、全面非開示に近い一部開示部分については不当であるという理由で、異議申立ての対象となったものが本件公文書であり、対象となった5件の文書の内容は以下のとおりである。
ア 道路の通行妨害により困っているので、適切な解決をしてほしいというもの。
イ 農業用水路改修後、拡幅された農道の一部を特定の住民が使用しているので、適切な指導をしてほしいというもの。
ウ 駅前開発の協力に対する措置をしてほしいというもの。
エ 計画道路が原因で事業に支障が出ているので、解決してほしいというもの。
オ 住民間の土地の境界について同意のない分筆登記がなされ、工作物の侵入が起きているので、解決してほしいというもの。
3 本件公文書の非開示部分について
本件公文書における非開示部分を内容別に整理する。
(1)意見提供者の情報について
「氏名」、「住所」、「年齢」、「職業」、「所在地の郵便番号」、「連絡先の電話番号及びファクス番号」、「所有する土地の所在及び地番」、「印影」、「所属する団体名」、「本人及び家族の生活状況」、「家族の健康状況」、「経営する事業の状況」
(2)意見提供者によって記述された関係者(以下「関係者」という。)の情報について
「氏名」、「住所」、「職業」、「所有する土地の所在及び地番」、「印影」、「所属する団体名」、「経営する事業の状況」、「言動に対する評価」
(3)意見提供者によって記述された関係団体(以下「関係団体」という。)の情報について
「団体名及び代表者名」、「経営する事業の状況」、「所有する土地の所在及び地番」
(4)その他の情報について
「関係する土地の所在及び地番」、「関係する土地の特徴を表した名称及び状況」、「関係する土地上の工作物の名称」
(5)裁判所の仮処分決定書の中の情報について
「事件番号」、「日付」、「決定内容の一部」、「物件目録に記載された所在、地番及び地目」、「当事者目録に記載された氏名、会社名及び所在地」
4 本件公文書における非開示の条例上の根拠について
条例第5条は、実施機関に対して、開示請求があったときは、同条第1号から第5号までに規定する非開示情報のいずれかに該当する場合を除いて開示を義務づけている。実施機関は、変更決定において、非開示理由を条例第5条第1号及び第2号に該当すると判断した。そこで、本件公文書において非開示とされた情報が条例中の非開示情報に該当するか否かの具体的検討に入る前に、非開示理由とされた、条例第5条第1号及び第2号の内容について検討する。
(1)条例第5条第1号について
条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(一般人が通常入手し得る関連情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」(以下「個人情報」という。)を非開示情報としている。これは、非開示とされるべき個人情報を「関連情報と照合することにより」個人が識別される情報も含めて、特定の個人を識別することができる情報とし、さらにカルテ、反省文など個人の人格と密接にかかわる情報や未発表の著作物等で、個人識別性のある部分を除いたとしても、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがある情報としている。
(2)条例第5条第2号について
条例第5条第2号本文は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(以下「法人情報」という。)を非開示情報としている。
5 本件公文書の非開示情報該当性について
以上の点をふまえて、本件公文書における非開示部分が条例中の非開示情報に該当するか否かについて具体的に検討する。
(1)意見提供者の情報について
ア 「氏名」、「住所」、「年齢」、「職業」、「所在地の郵便番号」、「連絡先の電話番号及びファクス番号」、「所有する土地の所在及び地番」、「印影」、「所属する団体名」については、特定の個人を識別できる一連の情報となるため、個人情報に該当すると判断する。
イ 「本人及び家族の生活状況」、「家族の健康状況」については、当該情報だけでは特定の個人を識別することはできないが、これらの情報が個人の人格と密接にかかわる情報であるため、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある個人情報に該当すると判断する。
ウ 「経営する事業の状況」については、意見提供者による経営状況を述べた部分であり、これらの情報を公にすれば、法人の社会的評価の低下をもたらし、正当な利益を害するおそれがあるので、法人情報に該当すると判断する。
(2)関係者の情報について
ア 「氏名」、「職業」、「所有する土地の所在及び地番」、「印影」、「所属する団体名」については、(1)アと同様に、個人情報に該当すると判断する。
イ 「言動に対する評価」については、(1)イと同様に、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある個人情報に該当すると判断する。
ウ 「経営する事業の状況」については、意見提供者からの一方的な批判等であるので、これらの情報を公にすれば、法人の社会的評価の低下をもたらし、正当な利益を害するおそれがあるため、法人情報に該当すると判断する。
(3)関係団体の情報について
ア 「団体名及び代表者名」、「経営する事業の状況」については、(2)ウと同様に、法人情報に該当すると判断する。
イ 「所有する土地の所在及び地番」については、当該情報から、当該法人の特定につながるため、法人情報に該当すると判断する。
(4)その他の情報について
「関係する場所の地名及び地番」、「関係する場所の特徴を表した名称及び状況」、「関係する場所に作られた工作物の名称」については、個々の情報では特定の個人を識別することはできないものの、これら複数の情報を総合することにより、一定範囲の者にとっては、意見提供者及び関係者が容易に特定される可能性が高く、特定された場合には、意見提供者及び関係者の権利利益の侵害が大きいため、個人情報に該当すると判断する。
(5)裁判所の仮処分決定書の中の情報について
ア 「当事者目録に記載された氏名、会社名及び所在地」については、特定の個人を識別できる一連の情報となるため、個人情報に該当すると判断する。
イ 「事件番号」、「日付」、「決定内容の一部」、「物件目録に記載された所在、地番及び地目」については、(4)と同様に、個人情報に該当すると判断する。
6 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。

第5.答申の補足
1 情報公開制度の基本原則の再確認について
異議申立人が繰りかえし指摘しているように、情報公開制度の下では、実施機関は、必要最小限度の例外を除き原則として公開しなければならないものとされている。しかし、本件の当初決定において、実施機関は、意見提供者に対する配慮からとはいえ、非開示情報の範囲を過度に拡大して、全面非開示に近い一部開示決定を行った。この点については、諮問後の変更決定により是正されたものの、申立人の言を待つまでもなく、情報公開制度の基本理念についての理解を欠いたものと指摘をせざるを得ない。今後、実施機関においては、情報公開制度の理念及び目的、そして説明責任等をあらためて確認し、条例の適切な運用にあたるよう努めることを強く期待するものである。
2  手続きの遵守について
(1)条例第16条では、開示決定等について行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する決定をすべき実施機関は、不服申立てが明らかに不適法であり、却下するとき、又は、決定で、不服申立てに係る開示決定等を取り消し、若しくは変更し、当該不服申立てに係る公文書の全部を開示する場合を除き、速やかに、岡山市情報公開及び個人情報保護審査会への諮問を経て当該不服申立てについての決定を行うものとされている。また、条例第17条では、条例第16条の規定により諮問した実施機関は、申立人に対し、諮問した旨の通知をしなければならないものとされている。
(2)しかし、本件において、実施機関は、申立人から異議申立てがなされたあと審査会に対する諮問までに59日間もの長時間を要しただけではなく、諮問後も申立人に対して、諮問した旨の通知を送付することを怠っていた。
(3)かかる手続き上の過誤は、極めて遺憾であり、申立人の批判を待つまでもなく、厳しく反省すべきものである。審査会としても実施機関に対し強く反省を求めるとともに、今後、二度とこのような事態を起こすことのないように、手続の遵守にも十分留意するよう警告しておきたい。

第6.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成15年2月7日 諮問書の収受
平成15年2月21日 実施機関の意見書の収受
平成15年3月13日 申立人の意見書の収受
平成15年3月17日 審議
平成15年4月23日 審議
平成15年5月19日 実施機関及び異議申立人口頭意見陳述並びに審議
平成15年6月16日 審議
平成15年7月7日 審議
平成15年8月18日 審議
平成15年10月20日 審議
平成15年10月28日 答申

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