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答申第41号

[2010年3月8日]

ID:17156

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岡情審査第220号
平成18年2月24日

岡山市長 髙谷 茂男 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市情報公開条例第16条の規定に基づく諮問について(答申)

平成17年3月7日付け岡福第3151号による下記の諮問について次のとおり答申します。

委託契約履行確認検査報告書に係る関連文書(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対して一部開示とした決定に対する異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)についての諮問

第1.審査会の結論
本件公文書に関して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定において、非開示とされた項目のうち、法人の代表者の印影については開示すべきである。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年1月31日、実施機関に対し、岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号。以下「条例」という。)第3条第1項の規定に基づいて、本件公文書の開示請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、同年2月8日付けで、本件公文書記載事項のうち、法人の代表者の印影(以下「本件印影」という。)については、それらが、条例第5条第2号に規定する非開示情報である法人に関する情報(以下「法人情報」という。)に該当することを理由に非開示とする、一部開示決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 上記決定を受けた申立人は、実施機関に対し、同年2月18日付けで、本件処分は理由付記の要件を欠き違法であるとして、また、本件印影を開示すべきであるとして、本件処分の取消しを求めることを内容とする本件異議申立てを行った。
4 それに対して、実施機関は、同年3月7日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第16条の規定に基づき、当審査会に本件諮問を行った。

第3.実施機関及び申立人の主張の要旨
実施機関及び申立人の主張の要旨は、次のとおりである。
1 実施機関の主張要旨
(1)一部開示決定処分の理由付記について
申立人は、公文書一部開示決定通知書における、本件印影の非開示の理由付記が、条例第10条第1項に規定する要件を欠き、違法であると主張している。しかし、当該通知書には、非開示理由として該当する条項を示しており、開示の際に必要な補足説明をすることも可能であり、決定通知書に記載すべき理由としては、一定の要件を満たしているものと考える。
(2)法人の印影の非開示について
本件印影は、財団法人岡山市ふれあい公社(以下「公社」という。)の代表者の印影である。公社の代表者印は、公社が岡山市と締結した業務委託契約書及び岡山市へ提出した報告書等に押印され、また、銀行印としても使用されるなど、主に金銭に関する業務に使用されているものである。
法人の印影は、社会通念上、事業活動を行う上での法人の内部管理に属する情報であり、偽造等の危険性を考慮すると、印影を公開することにより、当該法人の正常な事業活動を阻害し、その正当な利益を害するおそれがあるものと考える。
なお、公社には、事業活動を行う上で代表者印を押印している文書が多数あるとしても、その事業目的によって特定の者に交付するものであり、申立人が主張するように、不特定多数の者に交付しているわけではなく、かつ、代表者の印影が不特定多数の者に知れ渡ることを容認したり、広く知られ得る状態に置いているわけでもない。
したがって、本件印影は、法人情報に該当し、開示することにより、公社の正当な利益を害するおそれがあると考え、非開示としたものである。
(3)収入印紙上の印影の扱いについて
本件印影のうち、業務委託契約書に貼付している収入印紙上の印影を非開示とした場合、収入印紙の一部をも非開示とすることになる。収入印紙を非開示とする理由はなく、収入印紙を開示するためにやむを得ず、収入印紙と重なる部分を開示したものである。
本件印影を非開示とする趣旨が、偽造等により法人の正当な利益が害されることを防止することにあることを考慮すれば、印影の全部ではなく一部分が非開示となっていることにより、その効果はあるものと考える。
2 申立人の主張要旨
(1)一部開示決定処分の理由付記について
実施機関は、本件印影の非開示について、法人情報を非開示理由とするのみで、具体的該当理由の記載がなく、条例第10条第1項に規定する理由付記としては十分ではないため、本件処分は理由付記の要件を欠き違法である。
(2)法人の印影の非開示について
公社には、事業活動を行う上で代表者印を押印している文書が多数あるはずであり、かかる実態を勘案すれば、公社は不特定多数の者に代表者の印影が広く知れ渡ることを容認し、代表者の印影はそうした文書を介して広く知られ得る状態に置かれているということができる。したがって、本件印影を開示しても、公社の正当な利益等が損なわれるとは認められない。
(3)収入印紙上の印影の扱いについて
本件印影のうち、業務委託契約書に貼付している収入印紙上の印影では、収入印紙と重なる部分を開示しており、印影全てを非開示とした他の部分の印影とは矛盾した扱いをしている。

第4.審査会の判断
実施機関と申立人との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 本件公文書について
本件公文書は、実施機関が公社に業務委託をしている、岡山市ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務の委託契約に係る検査報告書に記載されている、「上記委託業務について検査したところ、関係書類のとおり実施している」の文中における「関係書類」に関する文書(平成13年度から平成15年度まで)であり、内訳は以下のとおりである。
(1)業務委託契約書(岡山市ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務)(平成13年度から平成15年度まで)
(2)岡山、西大寺、北、西及び南ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務委託仕様書(平成13年度から平成15年度まで)
(3)着手届(岡山市ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務)(平成13年度から平成15年度まで)
(4)完了届(岡山市ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務)(平成13年度から平成15年度まで)
(5)ふれあいセンター管理運営経費執行状況等報告書(平成13年度から平成15年度まで)
2 理由付記の妥当性について
(1)申立人は、実施機関が、本件印影を非開示とする公文書一部開示決定通知書において、「法人の印影は、条例第5条第2号の法人に関する情報に該当するため非開示とします。」と記載するのみで、具体的該当理由の記載がなく、条例第10条第1項に規定する理由付記としては十分ではないため、理由付記の要件を欠き違法な処分であると主張している。
これに対して、実施機関は、当該決定通知書には、非開示理由として該当する条項を示しており、開示の際に必要な補足説明をすることも可能であり、決定通知書に記載すべき理由としては、一定の要件を満たしているものと反論している。
2)条例第10条第1項は、「実施機関は、前条第1項又は第2項の規定により、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、当該非開示決定又は一部開示決定の通知において、その理由を示さなければならない。この場合において、当該理由は、当該通知の内容から一般人が容易に理解し得るものでなければならない。」と規定されており、非開示理由の付記のあり方については、「一般人が容易に理解し得る」ように記載すべきであることは、申立人の主張するとおりである。
しかしながら、本件においては、実施機関は、開示の際に、申立人に対して、非開示理由を口頭でも説明していることから、実施機関が、条例第5条第2号の非開示理由のどれに該当するかを開示請求者が知り得ないというほどの不誠実な対応を行い、もって条例の趣旨を損なう結果を招いたと判断し得るほどの瑕疵を認めることはできない。
したがって、理由付記に不備があり、本件処分が違法であるとまでは言えないと判断する。
3 条例第5条第2号に規定する法人情報該当性について
(1)条例第5条第2号本文は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」を非開示情報としている。
(2)申立人は、公社には、事業活動を行う上で代表者印を押印している文書は多数あるはずであり、公社は不特定多数の者に代表者の印影が広く知れ渡ることを容認しているということができ、本件印影を開示しても、公社の正当な利益等が損なわれるとは認められないと主張する。
これに対して、実施機関は、法人の印影は、法人等の内部管理に属する情報であり、偽造等の危険性を考慮すると、印影の公開により、当該法人の正常な事業活動を阻害し、その正当な利益を害するおそれがあると主張する。また、代表者印を押印している文書は多数あるとしても、その事業目的によって特定の者に交付するものであり、不特定多数の者に交付しているものではないため、公社の代表者の印影が広く知れ渡ることを容認しているものではないとも主張している。
実施機関は、また、当該代表者印の使用実態についての当審査会の照会に対しても、代表者印が、主に金銭にかかわる業務のほか、「印鑑登録印によることとされている手続や印鑑証明の添付が求められる文書等」への押印などに限定された使用実態にあるとの回答を寄せている。
(3)銀行印など金銭的業務にかかわる文書その他の重要書類に使用する印鑑、印影については、いわゆる法人の内部管理情報として、自己の意思によらないでみだりに他に開示、公表されない利益を有し、その開示、公表は法人の正当な利益を害するおそれがあるとする実施機関の主張は、一般論としては是認できるものである。
しかし、本件で争点となっている公社の代表者印の使用ないし管理の実態を厳密に検討すれば、公社が事業活動を行う上で代表者印が使用されている文書は、岡山市ふれあいセンター管理運営及び使用料等徴収事務に係る業務委託契約書とその関連文書を中心に、「不特定多数」ではないにしても、極めて広範囲の業務にわたり、かつ極めて多数にのぼっている。その上、過去における申立人の公文書開示請求に際して、公社の代表者印が押印されている各種の文書が開示されてきた事実も認められるのである。
「内部管理情報」とされる情報(代表者印及びその印影)のこうした使用ないし管理の実態を前提にすれば、実施機関の前記主張の妥当性を肯定することはできない。
(4)また、実施機関は、本件印影を公開した場合、本件印影から偽造された印鑑の悪用等によって、公社の正常な事業活動を阻害され、正当な利益を害されるおそれがあるとも主張している。
実施機関が危惧する印鑑の偽造及び偽造印鑑の悪用等のおそれがないとは断言できないが(口頭意見陳述で聴取したところでは、印鑑の偽造等印影の悪用の事実は、現在までつかんではいないとのことである。)、本件印影を開示することと印鑑偽造及び偽造印鑑の悪用等の犯罪行為との関連性は直接的なものではなく、犯罪者が不法な意図をもって、開示された印影を用いて印鑑偽造を行い悪用するのは、あくまで異例の事態と考えられる。したがって、印鑑偽造及び偽造印鑑の悪用のおそれを理由として代表者の印影を非開示とする実施機関の主張についても、その妥当性を認めることはできない。
(5)以上のとおりであるから、条例第5条第2号の法人情報該当性を理由にして、本件印影を非開示とした実施機関の処分は妥当とは言えず、本件印影については、その全てを開示することが妥当であると判断する。
4 収入印紙上の印影の扱いについて
申立人は、本件印影のうち、業務委託契約書に貼付している収入印紙と重なる部分を開示しており、印影全てを非開示とした他の部分の印影とは矛盾した扱いをしていると主張している。
これに対して、実施機関は、本件公文書のうち、業務委託契約書に貼付している収入印紙上の印影について、収入印紙を非開示とする理由はなく、収入印紙を開示するために、やむを得ず当該印影の一部を開示したものであると反論している。
しかし、本件印影については、開示部分と重なった非開示部分の処理方法についての検討に立ち入るまでもなく、収入印紙上であるか否かに係わらず、その全てを開示することが妥当であると判断するものである。
5 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は、次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成17年3月7日 諮問書の収受
平成17年3月28日 実施機関側意見書の収受
平成17年4月20日 申立人側意見書の収受
平成17年5月23日 審議
平成17年6月20日 審議
平成17年7月25日 実施機関側及び申立人側口頭意見陳述並びに審議
平成17年8月22日 審議
平成17年10月24日 審議
平成17年11月28日 審議
平成17年12月19日 審議
平成18年1月23日 審議
平成18年2月20日 審議
平成18年2月24日 答申

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