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答申第21号

[2010年3月5日]

ID:17136

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岡情審査第20号
平成15年6月4日

岡山市長 萩原 誠司 様

岡山市情報公開及び個人情報保護審査会
会長 山口 和秀

岡山市個人情報保護条例第17条の規定に基づく諮問について(答申)

平成14年11月13日付け岡市民第214号による下記の諮問について次のとおり答申します。

住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)第7条第13号に基づき自己に付された住民票コードについての自己に係る個人情報の記録の削除請求及び第30条の5第1項に定める本人確認情報(氏名、生年月日、性別、住所及び住民票コードをいう。以下同じ。)の知事への通知(いわゆる住民基本台帳ネットワークシステムへの接続行為をいう。以下「住基ネット接続」という。)についての自己に係る個人情報の外部提供中止請求に対する拒否決定に係る異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)に関する諮問
第1.審査会の結論
本件異議申立てにおける自己に係る個人情報の記録の削除請求及び自己に係る個人情報の外部提供中止請求に対して、岡山市長(以下「実施機関」という。)が行った拒否決定は妥当であるから、本件異議申立ては棄却されるべきである。

第2.異議申立て及び諮問の経緯
1 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年8月19日、実施機関に対し、自己に付された住民票コードについて、それが岡山市個人情報保護条例(平成12年市条例第34号。以下「条例」という。)第6条の規定による保管等の制限を超えるものであるとして、条例第12条第2項に基づく自己に係る個人情報の記録の削除請求を、住基ネット接続について、それが条例第9条により禁止される個人情報の外部提供に該当するとして、条例第13条に基づく自己に係る個人情報の外部提供の中止請求を行った。
2 それに対して、実施機関は、平成14年9月2日付けで、住基ネット接続は、住基法第30条の5第1項の規定に基づき行っているものであり、条例第9条第1項第1号にいう個人情報の目的外利用禁止の除外事由である「法令若しくは他の条例に定めがあるとき」に該当するとして、上記請求に対して拒否決定を行った。
3 上記拒否決定を不服として、申立人から実施機関に対して、平成14年11月1日付けで、自己に係る個人情報の記録の削除及び自己に係る個人情報の外部提供の中止を求めることを内容とする本件異議申立てが行われたため、実施機関は、同年11月13日、本件異議申立ての取扱いについて、条例第17条第1項に基づき、当審査会に本件諮問を行った。
4 なお、本件において、異議申立人は、条例第13条に基づき個人情報の「外部提供」の中止を請求しているのに対し、実施機関は上記拒否決定通知において、拒否決定の理由として条例第9条第1項第1号が規定する個人情報の「目的外利用」の禁止の除外事由のみを挙げるなど、当初、実施機関の側に住基ネット接続の性格をめぐって、あるいは、条例第9条が定める「目的外利用」と「外部提供」の意味をめぐって、不正確な理解に基づく対応が見られたが、後の段階では、実施機関及び異議申立人のいずれの側も、住基ネットへの接続が、条例第9条第1項の「目的外利用」(実施機関内部における本来の収集目的を超えての個人情報の利用)とは区別される条例第9条第2項の「外部提供」(本来の収集目的を超えてなされる実施機関以外のものへの個人情報の提供)に該当するとの理解の下で、意見書の提出及び意見陳述がなされた。こうした経緯に鑑み、当審査会としては、上記拒否決定通知における拒否理由では、条例第9条第1項のみが根拠規定として挙げられているが、住基ネットへの接続(すなわち、個人情報の「外部提供」)が、条例第9条第1項第1号ではなく、同条第2項第1号に定める除外事由(「法令若しくは他の条例に定めがあるとき」)に該当することを理由とする拒否決定があったものとして審査を行うこととした。
5 また、本件においては、異議申立人が条例第12条第2項に基づき自己に係る個人情報の記録の削除請求も併せて行っているにもかかわらず、実施機関は、この削除請求に対する拒否決定の理由について全く述べていない。本来であれば、理由附記が要求されるところ、削除請求に対する拒否決定が違法性を帯びる可能性は否定できないが、当審査会としては、これを理由として手続のやり直しを求めても、少なくとも、この点に限っていえば、結果に違いが生ずるとは考えにくく、手続が遅延する原因になると考えられるため、職権で判断を行うこととした。なお、今後の個人情報の開示・訂正等の請求に対する拒否決定通知書の作成に当たっては、条例に即したより慎重かつ適正な対応を行うよう、実施機関に対し特に注意を促しておきたい。

第3.申立人及び実施機関の主張要旨
1 申立人側の主張の要旨は、以下のとおりである。
(1)住民票コードは、市の事務に必要な範囲を超えた個人情報の収集・保有であり、条例第6条の規定による保管等の制限を超えている。
(2)住基ネット接続を内容に含む住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号。以下「改正住基法」という。)附則第1条第2項において、改正住基法の施行に当たっては、「政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」と義務づけられているにもかかわらず、個人情報保護法の未成立をはじめ、いかなる意味でも「所要の措置」が講じられておらず、住基ネットは施行のための条件を欠いている。
(3)実施機関は、住基法第3条第1項の「住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」とする規定及び同法第36条の2第1項の「住民基本台帳(略)に関する事務の処理に当たっては、(略)住民票(略)に記載されている事項の漏えい(略)の防止その他の住民票(略)に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」とする規定により、本人確認情報を含む住民基本台帳上の個人情報についての適正管理・漏えい防止義務を負っている。
(4)改正住基法附則第1条第2項の規定による義務があるにもかかわらず、個人情報保護法の制定その他のセキュリティ対策を意味する「所要の措置」が講じられていない状況で改正住基法を施行することは違法であり、住民基本台帳上の個人情報の適正管理・漏えい防止の点からは危機的事態であるから、実施機関は、前号で述べた住基法第3条第1項及び第36条の2第1項の義務の履行として、住基ネットに接続すべきではない。
2 実施機関側の主張の要旨は、以下のとおりである。
(1)改正住基法は、同法附則第1条第1項により、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(平成14年8月5日)から施行することとされている。
(2)改正住基法附則第1条第2項における「所要の措置」とは、立法機関でない政府としては、法律案の検討、作成、提出を意味しているものであり、政府においては、平成13年3月に個人情報保護法案を国会に提出しており、現在も修正案を国会に提出していることにより、「所要の措置」は講じられている。
(3)住基法第42条により、住基ネットに係る事務に従事する市町村、都道府県、指定情報処理機関及び本人確認情報の提供を受けた国の機関、地方公共団体の機関等の職員の本人確認情報に関する守秘義務違反については、通常の公務員の守秘義務違反より重い罰則が定められている。
(4)本市においても、緊急時の住基ネットからの通信回線切断を内容に含む岡山市住民基本台帳ネットワークシステムセキュリティ管理規程を定め、本人確認情報処理を適正かつ確実に実施している。

第4.審査会の判断
申立人と実施機関との間における本件の争点に関し、当審査会は、以下のとおり判断する。
1 個人情報の外部提供禁止の請求に対する拒否決定について
(1)個人情報の外部提供の禁止とその除外事由
条例は、第9条第2項において、「実施機関は、(略)実施機関以外のものに個人情報の提供(以下「外部提供」という。)をしてはならない。」として、個人情報の外部提供を原則的に禁止しつつ、同項各号において、禁止の除外事由を列記している。除外事由としては、(1)法令若しくは他の条例の定めがあるとき(第1号)(2)外部提供する個人情報が岡山市情報公開条例(平成12年市条例第33号)第5条第1号ただし書に該当するとき(第2号)(3)あらかじめ本人の同意を得ているとき(第3号)(4)特に必要があるとして実施機関が審査会の意見を聴いて認めたとき(第4号)がある。
(2)住基ネットへの接続行為と個人情報の外部提供
住基ネット接続行為は、実施機関以外のものである県知事に対して、本人確認情報という個人情報を通知するものであるから、前項において述べた、条例第9条第2項が原則的に禁止する個人情報の外部提供に該当する。したがって、本件での争点は、実施機関による住基ネット接続=個人情報の外部提供が、条例第9条第2項各号に定める外部提供禁止の除外事由に該当するかどうかである。
(3)外部提供中止請求に対する拒否決定の妥当性
ア 申立人側の主張は、住基法の改正経緯及びその内容に照らして、住基ネットの個人情報保護における不備ないし問題性(危険性)を指摘し、住基ネットへの接続を取り止めるべき旨の主張を主たる内容とするものであって、条例第9条第2項第1号において、「法令若しくは他の条例の定めがあるとき」が、外部提供禁止の除外事由として定められていること自体を否定するものではない。
イ ところで、改正住基法(住基ネット)の施行については、その改正経緯及び内容に照らして、個人情報保護に関わる多くの問題があり、したがってまた多くの批判や疑問が出されていることは、申立人の主張を待つまでもなく、周知のところである。この点で、実施機関の側が、そうした問題ないし批判について、住民票に記載されている個人情報の安全確保等に責任を負う自治体としての立場から回答し、説明するというよりも、ほぼ政府の説明ないし主張を繰り返すに止まっているのは、拒否決定の妥当性を理由付ける上で十分な説得力を持つものとは思われない。
ウ しかし、住基法に様々な問題があるとしても、実施機関が拒否決定の理由として主張するように、同法第30条の5は、「市町村長は(略)本人確認情報を(略)都道府県知事に通知するものとする。」としており、実施機関に住基ネット接続を義務づけている。すなわち、実施機関による住基ネットへの接続=個人情報の外部提供が住基法の「定め」に基づくものであることは否定しがたい事実である。
エ 「条例第17条の規定による諮問に応じて不服申立てにつき調査審議する等のため」(岡山市情報公開条例第19条第1項)に設置され、条例に照らして、条例に基づく処分(本件における自己に係る個人情報の外部提供中止請求に対する拒否決定を含む。)の当否について判断することを役割とし、住基法及び住基ネットへの接続(義務)そのものの違法性や適切性を判断する権限を有しない当審査会としては、実施機関が行った住基ネット接続が、条例第9条第2項第1号が外部提供禁止の除外事由として定める「法令若しくは他の条例の定めがあるとき」に該当するものであり、したがって、そのことを理由とする実施機関の行った外部提供中止請求に対する拒否決定は、条例の規定に照らして妥当なものであると考える。
2 個人情報(住民票コード)の削除請求に対する拒否決定について
次に、申立人は、自己に付された住民票コードについて、それが「市の事務に必要な範囲を超えた収集・保有」であることを理由として、条例第12条第2項に基づく削除請求を行っている。確かに、同項によれば「条例第6条の規定による保管等の制限を超えたとき」には、個人情報の記録の削除請求が認められており、その「保管等」とは、条例第4条に定めるように、「個人情報の収集、保管及び利用」をいう。すなわち、条例第6条は、その第1項で実施機関が個人情報の収集、保管及び利用をするに当たっては、その所掌する事務の執行に必要な範囲で行うべきことを、そして第2項では保管等をしてはならない個人情報について規定し、こうした保管等に対する制限を超えたときには、条例第12条第2項により、何人に対しても、自己に係る個人情報の記録の削除請求を権利として認めることにより、プライバシー侵害その他の不利益を防止しようとするものである。
ところで、条例第6条第1項は、「実施機関は、個人情報の保管等をしようとするときは、その所掌する事務の目的達成に必要な範囲内で行わなければならない。」と規定しているが、住民票コードは、住基法第7条により定められた住民基本台帳の記載事項であるから、その保管等を行うことは、法によって義務づけられた事務そのものであり、まさに「所掌事務の目的達成に必要な範囲内」であるから、「条例第6条の規定による保管等の制限を超えたとき」に該当するわけではない。したがって、異議申立人の個人情報の記録(住民票コード)の削除請求は条例上の根拠を欠き、実施機関の行った拒否決定は、妥当なものであると考える。
3 結論
以上の理由により、当審査会は、「第1.審査会の結論」のとおり判断するものである。
第5.審査会の処理経過
当審査会における処理経過は、次のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 処理内容
平成14年11月13日 諮問書の収受
平成14年11月29日 実施機関意見書の収受
平成14年12月19日 申立人意見書の収受
平成15年1月20日 実施機関側口頭意見陳述及び審議
平成15年2月10日 実施機関側補充意見書の収受
平成15年2月17日 申立人側口頭意見陳述及び審議
平成15年3月17日 審議
平成15年4月23日 審議
平成15年5月19日 審議
平成15年6月4日 答申

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