2019年8月21日(水曜日)・22日(木曜日)、子どもたちが職業体験や市民体験を通して社会のしくみを学べる「キッズタウンSHUJITSU」が就実大学で開催されました。今回参加したのは5歳から小学6年生までの約700名。イベントには約30種類の体験が用意され、働くことの意義や、消費者としてお金を使うときに大切なこと、市民の役割について学びました。
「キッズタウン」とは、子どもたちがつくる「仮想のまち」です。このまちで子どもたちは、興味のある仕事を選んで働き、給料を受け取ります。そして税金を納めたら、残ったお金で自由に飲食や買い物をして、社会のしくみを体験します。
このプログラムの特徴は、事前に2回の「子ども会議」を開催すること。子どもたち自身が「どんなまちを作りたいか」を考えることで、主体性や社会性が育まれます。開会式で熱心に話を聞く子どもたち
まちの仮想のお金「ピーチ」
子ども会議で決まったしくみに基づいてつくられたまちは、「公共」「お店」「遊び」「食物」「学び」の5エリアに分けられます。子どもたちはすべてのエリアで労働者と消費者の両方の体験ができます。
作る側、売る側、買う側の体験を通して、自分で働いてお金を得る喜びを感じたり、そのお金で何を買うのかを考えたりする「お店」エリア。お店の商品を作る仕事では、空気砲などのおもちゃや花の苗セット、キッズタウンの様子を紹介する新聞を作り、決められた時間を働くと給料がもらえます。また、作った商品はお店で売られ、給料を使って買うことができます。
廃材を使って空気砲を作成
完成品は値段をつけて販売
廃材や新聞紙など環境にやさしい素材で作ったゲームコーナーや迷路がある「遊び」エリア。ここではお客さんに喜んでもらうために、遊び場を準備する仕事が体験できます。また、お客さんとして遊ぶことで、稼いだ給料をどう使うのかを考えるきっかけにもなります。
新聞紙をちぎって遊び場づくり
大教室をめいっぱい使って迷路を制作
「食物」エリアでは、調理場で作ったり接客を行ったりする職業体験と、レストランで飲食をする消費者体験ができます。カレーライスや焼きそばなどのランチメニュー以外に、かき氷やフルーツポンチ、ドリンクなどカフェメニューも充実。レストランは一日中賑わっていました。
スタッフに見守られながら焼きそばづくり
ドキドキしながらお客さんに提供
「学び」エリアには、「プログラミング」「うらじゃ」「歯医者」「防災」「銀行」など7分野の専門家から講義を受けられる「子ども大学」があります。「プログラミング」では、一人一台のパソコンを使ってゲームを作る手順を習いました。
真剣にプログラミング
音楽にあわせて「うらじゃ」ダンス
「公共」エリアには、市役所や警察、放送局、ハローワーク、税務署、消費生活センターなどの職業がそろい、市民が安心して暮らすために必要な基盤となる仕事を知ることができます。その一方で、税務署で税金を納めたり、市民の声を議会に届けるために市役所で投票を行ったりするなど、自分たちのお金や意見がより良いまちを作っていくという、一市民としての義務を果たすことも体験します。
ハローワークで興味のある仕事を探す
来年のキッズタウンに欲しいお店を投票
参加した子どもたちからは、
「作ることが好きなので、お花屋さんやレストランで働きました。お客さんから『ありがとう』と言ってもらえてうれしかった」社会では、働くことはもちろん、一消費者として良い商品やサービスを選択し、経済を回すことも大切です。参加した子どもたちは、お金を稼いで貯めることに夢中になりがちですが、誰の商品を買うのか、どんな商品を選ぶのか、といった「良い消費行動」についても考えてほしいと思っています。
また、日頃の生活の中で、子どもたちが生産者や販売者と触れる機会は少ないため、ここでは作る人・売る人・買う人のそれぞれを体験できるようにしています。「キッズタウン」で働くことと消費することをバランスよく学んでほしいです。
仮想のお金をやりとりする経験を通して、社会に参画する意識が高まっているんだね!