2022年3月20日(日曜日)、シティライトスタジアムで開催されたファジアーノ岡山のホームゲーム(横浜FC戦)にあわせて、ファジアーノ岡山と岡山市・京山公民館のコラボレーションにより、SDGsを身近に感じ、楽しく学べるイベントを開催しました。
会場の岡山県総合グラウンド内では、クイズ企画「学ぼう!SDGs」と「見つけよう!SDGs探検ツアー」が試合前に行われ、子どもから大人まで多くの人が参加しました。今回は、その2つのイベントの様子をご紹介します。
スタジアム前広場では、SDGsに関するクイズが出題されました。配られた問題用紙を見てクイズに答え、全問正解すればオリジナルタンブラー(先着1000名)が、惜しくも不正解だった場合でもオリジナルメモ帳がもらえるというものです。
クイズは、SDGsの日本語名や、岡山市やファジアーノ岡山で取り組んでいるSDGs活動についてなど全3問。子どもから大人まで幅広い世代の参加者は真剣に問題を解き、ほとんどの人が全問正解でタンブラーを手にしていました。
参加者からは、「タンブラーが欲しくて参加したのですが、SDGsに関心を持つきっかけにもなりました」や、「SDGsが楽しく学べていいですね」といった声が聞かれました。
開始前から長蛇の列
SDGsクイズに取り組む家族
正解者にはオリジナルタンブラーをプレゼント
このツアーでは、シティライトスタジアムがある岡山県総合グラウンド内の関連スポット7ヵ所をボランティアガイドと歩いて巡りました。
各ツアーポイントではクイズが出題され、SDGsとの関わりを学べます。また、遺跡や建築物、植物などについて、京山地区ESD・SDGs推進協議会会長の池田満之さんがSDGsの視点でわかりやすく解説してくれました。
SDGsについて説明してくれた内藤元久京山公民館館長
各スポットで興味深い話を聞かせてくれた池田満之京山地区ESD・SDGs推進協議会会長
出発前にSDGsの概要を学ぶ参加者
まずは旧偕行社へ。ここは1910年に旧陸軍の社交の場などのために建てられたもので、岡山県でも数少ない、明治時代を代表する近代洋風建築の建物です。最初に建てられた場所から2度も移築されながら、現在も喫茶店や研修室として利用されていて、国の登録有形文化財に指定されています。
また、NHKの朝の連続ドラマのロケ地にもなりました。参加者からは「あー、知ってる!」「ここだったんだ!」といった声が上がっていました。
(SDGsゴール11・16)
旧偕行社
スポットごとにクイズを出題
続いて観音寺用水で地域のSDGs活動を学びました。ここでは、「約何種類の動植物が発見されているでしょう?」というクイズが出題されました。
観音寺用水は岡山市の「身近な生き物の里」指定地域で、約60種類の動植物が確認されている場所です。多くの動植物が生息していることに驚き、用水路をのぞき込む参加者も。
また、この地域はESD活動の一環として「緑と水の道」が整備されていて、整備の趣旨や生息生物について紹介された案内板も立てられていました。
(SDGsゴール4・15・17)
観音寺用水を見学
生息する生き物について説明
総合グラウンド内には「生きた化石」といわれるメタセコイヤの木をはじめ、珍しい植物も多く植えられています。
その中で今回出題されたのは、ラクウショウという植物についてでした。地面から角のようにはえたこの植物が、なぜこのような姿をしているのかを、みんなで考えました。答えは3択です。結果、地面から出ている角のような部分は呼吸根と呼ばれるもので、ラクウショウは地上の呼吸根を使って呼吸していることがわかりました。
(SDGsゴール11・15)
珍しい植物を観察
グーチョキパーでクイズに答える参加者
次は、このグラウンド内に多く植えられているドングリの木を見に行きました。
日本固有のドングリの種類は22種類といわれていて、ここにはそのうち8種類が植えられているのだそう。中には、スダジイやマテバシイといった、アク抜きせずにそのまま煎って食べられるものもあるそうです。ドングリが食べられると知って、「どんな味なんだろう?食べてみたい」という子どもも。
また、周辺には太陽光と風力発電設備が併設された照明や省エネ型の自動販売機などがあり、グラウンド内の環境配慮活動を見ることもできました。
(SDGsゴール7・13・15)
ドングリの木々が植えられているスポット
ドングリの説明に聞き入る子ども
津島遺跡は全国で初めて、弥生時代前期の集落と水田跡が一緒に見つかった貴重な遺跡で、国指定史跡になっています。「津島やよい広場」には、当時の住居など集落が復元されていて、まるでタイムスリップしたかのような不思議な感覚を体験しました。またスタジアム内には、出土品を展示したミュージアムもあることを教えてもらいました。
(SDGsゴール4・11)
津島遺跡
熱心にメモを取る参加者
シティライトスタジアム前に設置されているのは、岡山市出身の人見絹枝の像です。日本人女性初の五輪メダリスト(1928年・陸上800m)で、女性がスポーツをすることへの理解がなかった時代に、女性スポーツの振興に尽力した人です。
その64年後、次の女子陸上メダリストが同じく岡山市出身の有森裕子さんだと聞いて、参加者たちは、「そうだったんだー」と感慨深げに銅像を見ていました。
(SDGsゴール3・5)
シティライトスタジアム前に建つ人見絹枝像
ファジアーノ岡山は、スタジアム内にエコステーションを設置してごみの分別や資源化物の回収を行ったり、地球環境に悪影響を与えるプラスチック削減のため、飲食ブースでは紙製の器や袋を使用したりしていることを知りました。
また、ファジアーノ岡山はほかのJリーグクラブに先駆けて、すべての小学生を対象にホームゲーム全試合の無料化を実施しているそうです。
(SDGsゴール4・12)
ファジアーノ岡山のSDGsの取組について説明
探検ツアーの最後はスタート地点に戻って、今回のツアーで学んだことをみんなで振り返りました。
「ドングリが食べられるなんて知らなかった。秋に拾いに来たいね」と話す家族連れや、「今日聞いた話を友だちにも教えてあげたいです」と話す小学生の姿も見られました。また、地域のことが知りたくて今回のSDGsツアーに参加したという大学生からは、「身近にもこんなにたくさんの取組があることに驚きました。これからは、普段の生活でもSDGsを意識したいと思います」という声も聞かれました。参加者にとって、このツアーは楽しい学びのひと時になったようです。
最後にみんなで記念写真を撮り、参加者はファジアーノ岡山公式タオルマフラーとオリジナルタンブラーをもらって解散しました。
みんなで記念撮影
記念品をもらう参加者