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平成15年度 第19回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:21256

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第19回坪田譲治文学賞

人形の旅立ち

第19回坪田譲治文学賞受賞作
『人形の旅立ち』(福音館書店刊)
長谷川摂子著

選考経過

 第19回坪田譲治文学賞選考委員会は、平成16年1月9日(金曜日)午後3時から東京都千代田区平河町の「ひさご本店」で開催された。選考委員会には、五木寛之、砂田弘、高井有一、竹西寛子、西本鶏介(50音順・敬称略)の各委員が出席した。
 選考委員会で、平成14年9月1日から平成15年8月31日までの一年間に全国で刊行された単行本の中から、大人も子どもも共有できる優れた作品という観点から予備選考委員会を通過した候補作品5編を、一作ずつ慎重に審議した結果、長谷川摂子氏の『人形の旅立ち』を受賞作品に決定した。

受賞者略歴

長谷川摂子

長谷川 摂子(はせがわ せつこ)

1944年、島根県平田市に生まれる。
東京外国語大学でフランス科を専攻。
東京大学大学院哲学科を中退後、公立保育園で保育士として6年間勤務した。
現在は、「赤門こども文庫」「おはなしくらぶ」をひらき、子どもたちと絵本を読んだり、詩やわらべうたを歌ったり、ストーリー・テリングをしたりしている。
絵本に『みず』『めっきらもっきら どおんどん』『きょだいな きょだいな』『おっきょちゃんとかっぱ』『きつねにょうぼう』『かさ さしてあげるね』(以上福音館書店刊)など。
評論に『子どもたちと絵本』(同刊)がある。埼玉県在住。

受賞者コメント

 私はこの二十数年、主として幼い子のための絵本のテキストを作ってきました。私の創作部屋には、読み手になる子ども達の声がいつもにぎやかに響いていました。
 しかし、『人形の旅立ち』を書く時は全く違っていました。ひっそりとした暗い部屋にたったひとりで、こもらなければならなかったのです。誰に向けて書くのか、と問われれば、答に窮したでしょう。私はひたすら自分自身の内側に向かって井戸を掘り続けました。
 本が出版され、様々の声が寄せられ、さらにありがたいことに本賞を受けることになり、私は暗い部屋の天井の一角に大きな窓が開いたような思いです。光が入ってきて、私自身にも見えなかった作品の全体像がゆらめきながら立ち上りました。読者とともに作品が生まれるとはこういうことかもしれません。            

作品の概要

 表題作の「人形の旅立ち」のほか、「椿の庭」「妹」「ハンモック」「観音の宴(うたげ)」の五編のファンタジーからなるこの作品集は、戦後まもない出雲地方の町を舞台に、子どもたちが毎日、川やお宮で遊びに遊んでいたころの話である。
 子どもたちが遊ぶ神社の大クスノキの下に捨てられた雛人形たち、「椿の庭」に遊びにやってくる、幼くして死んだきみじょっちゃん、小児結核で寝ている妹のみっちゃん、戦争で子どもをなくしたとよばば、年は八百歳だという旅芸人のおばさんなどを通して、主人公、なおはふしぎな光景に出会っていく。

選考委員 竹西寛子氏(作家・評論家)のコメント

 長谷川摂子さんの「人形の旅立ち」は、完成度の高い作品で、文章が上質である。少女が生活している山陰の、風土と人間が、具体的でありながら余情を曳く鮮明さで次々に描き出されている。少女の幻想やこの世の不明への怖れは、作品に拡がりを与えた。生地に対する作者の愛着は紛れもないが、愛着に頼るだけでもむろん批判によるだけでもこうした作品は生まれまい。方言の活用ひとつにも作者は細心で、仕込みの豊かな表現力に称賛が集まった。            

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