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平成17年度 第21回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:21130

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第21回坪田譲治文学賞

ぎぶそん

第21回坪田譲治文学賞受賞作
『ぎぶそん』(ポプラ社刊)
伊藤たかみ著

選考経過

 第21回坪田譲治文学賞選考委員会は、平成18年1月19日(木曜日)午後3時から東京都平河町で開催され、選考委員会の五木寛之、砂田弘、高井有一、竹西寛子、立松和平、西本鶏介(50音順・敬称略)の6名の委員が全員出席した。
 選考委員会で、平成16年9月1日から平成17年8月31日までの一年間に全国で刊行された単行本の中から、大人も子どもも共有できる優れた作品という観点から予備選考委員会を通過した候補作品4編を、一作ずつ慎重に審議した結果、伊藤たかみ氏の『ぎぶそん』を受賞作品に決定した。

受賞者略歴

 伊藤 たかみ(いとう たかみ)

 1971年4月5日、兵庫県神戸市に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。1995年、大学在籍中に『助手席にて、グルグル・ダンスを踊って』で文藝賞を受賞しデビュー。2000年、『ミカ!』(理論社)で小学館児童出版文化賞受賞。
 その他主な作品として、『17歳のヒット・パレード(B面)』、『盗作』(以上、河出書房新社)、『アンダー・マイ・サム』(青山出版社)、『ミカ×ミカ!』(理論社)、『指輪をはめたい』(文藝春秋)、『ミカ!』文藝春秋、『雪の華』(角川春樹事務所)などがある。
 短編作品については、『無花果カレーライス』(『文藝』平成17年夏号/第133回芥川賞候補)、『ボギー、愛しているか』(『群像』平成17年12月号/第134回芥川賞候補)など。

受賞者コメント

 今回は、このような立派な賞を頂き、とてもありがたく思っています。同時に、今後とも本賞に恥じぬようなふさわしい書き手でいられるか、一抹の不安も感じています。こうした不安をいつの日か完全に払拭できるよう、よりいっそう創作に励んでいこう、いくしかないのだと決意したところです。
 受賞した拙作ですが、執筆の際はいつも二つの不安がありました。昭和が平成に変わる時期という舞台設定を選んで、果たして子どもたちにちゃんと読んでもらえるだろうかという点。もう一つは、小説の中に忍ばせた、実は重たいテーマに大人たちが気づいてくれるかどうかという点でした。
 もっとも前者の不安は、若い読者からの手紙などが届くようになって、すぐに消えてしまいました。彼らは受け入れてくれたようです。
 残る大人たちへの不安というのも、今回の賞によってどうにか解消することが出来そうです。今、そんな手応えを感じています。

作品の概要

 昭和が終わる年の大阪。「ガンズ・アンド・ローゼス」のコピーを完璧にやりたいと言い出した中学2年生のガク。ガクを慕う同級生のマロ、ドラムスの女の子リリィのバンドは、ギターが抜群にうまい(けど、問題児?の)かけるをひっぱりこんで、4人の練習が始まった。
 昼間から酔っ払った大人がくだをまいているような一帯に住んでいるかけるは、憧れのギター、ギブソンのフライングVを持っている。行っていないのに戦争の話ばかりするかけるのおじいさんは、ガクたちを「ぎぶそん仲間」と呼ぶ。
 だれがだれを思うのか。だれが、どうして気になるのか。どうして音はばらばらなのか。バカやったり、けんかしたり、恋したり。それぞれの気持ちがゆれ、そしてひとつにまとまる、心が熱くなるビートな物語。

(解説:ポプラ社 編集担当) 

選考委員 西本鶏介氏(児童文学者)のコメント

 女生徒一人を含む四人の中学2年生がバンドを結成して文化祭で演奏するまでの練習を通して今日の若者らしい友情や切ない恋心が鮮やかに描かれ、さわやかな感動を与えてくれます。四人の個性がくっきりとしていて、どんないさかいも音楽によって解消され、心を一つにしていく姿が臨場感を持って迫ってきます。生と死や戦争に対する若者らしい考え方も教えられることが少なくありません。ドライに見えながら誠実で清潔感あふれた青春小説になっています。

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