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平成26年度 第30回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:20594

第30回坪田譲治文学賞

クリオネのしっぽ

第30回坪田譲治文学賞受賞作
『クリオネのしっぽ』(講談社刊)
長崎夏海著

平成27年2月2日発表

選考経過

 平成25年9月1日から平成26年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、文学・出版関係者等から推薦された84作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作4作品を選定。
 これを、平成27年1月22日(木曜)開催の第30回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区平河町「ルポール麹町」)で慎重に審査した結果、長崎夏海著『クリオネのしっぽ』が選ばれた。


 選考委員は、五木寛之、川村湊、高井有一、西本鶏介、森詠の5名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)

受賞者略歴

長崎夏海

長崎 夏海 (ながさき なつみ)
1961年、東京都文京区生まれ。
1986年、「A DAY」(アリス館)でデビュー。
2000年、「トゥインクル」(小峰書店)で第40回日本児童文学者協会賞受賞。
幼年童話に「ふねにのっていきたいね」(ポプラ社)、「おなかがギュルン」(新日本出版社)など。
YA作品に「夏の鼓動」(偕成社)、「ライム」(雲母書房)、「長崎夏海の直球勝負」(プラス通信社)などがある。
現在、鹿児島県の沖永良部島に在住。

受賞者コメント

 子ども時代、中学高校生の時代、私は自分の思いをちゃんと言葉にすることができませんでした。私だけではなく、たくさんの少年少女たちが、胸にあふれる思いを抱え、その思いを表現できずにいる。その思いを伝えられる言葉を持ちたい、伝えたい。ずっと、それだけを思い描き続けてきました。
 サンタクロースからの贈り物のような賞! うれしいです。
 大丈夫、頑張れる。描き続ける力をいただきました。ありがとうございます。

作品の概要

 中2の6月、美羽は、学校というところは友だちをつくったり、楽しく過ごすための場所ではなく、「公共塾」だと考えることにした――。
 いじめの首謀者である水泳部の先輩に逆らい、暴力を振るったことで、周囲から浮いてしまった美羽は、転校してきたオールドファッションなヤンキー娘・幸栄に対し、「かかわりたくない」と強く意識しながらも、空気を読まずにからんでくる幸栄との接点が増えていく自分に気がつく。
 夫から浮気され、家を出て行かれた母親が徐々に自立していく過程や、病弱な弟の世話に明け暮れるクラスメート・唯のむき出しの本心に触れながら、美羽自身も、自分だけの世界にとどまらず、世界と自分とのつながりに目を向けはじめ、そここそが輝いていることに気がついていく。
 中2の時期特有の、あのもやもやとした時期を切り取った、どこかドライで、どこかリアルな青春小説。
 装画・挿絵は、『バッテリー』(あさのあつこ著)の装画を担当した佐藤真紀子氏。

選考委員 川村湊氏(文芸評論家)のコメント

 長崎夏海氏の『クリオネのしっぽ』は、中学2年生で、学校を公共塾だと思っている少女・美羽(みう)と、彼女のクラスに転校してきた、美人だけど〝危険〟な匂いのするサッチ(幸栄)と、心優しい唯(ゆい)ちゃんの三人を中心とした物語である。母親譲りの〝学校嫌い〟の美羽も、サッチもまわりの冷たい視線には負けない、強くて健やかな、本当は心根の優しい女の子たちだ。落ちこぼれでも、ヤンキーでも、みんな精いっぱい生きて、叫んで、立ち上がろうとしている。
 思春期の少女たちの、時には荒々しく、時には苛烈で、時には靜かで、時には感動的な生活を、彼女たちの存在に寄り添うように描き出している。可憐なクリオネが、北方の激しく、寒い海の流氷の下で生きているように。

お問い合わせ

市民生活局スポーツ文化部文化振興課

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