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平成29年度 第33回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:20338

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第33回坪田譲治文学賞

キジムナーkids

第33回坪田譲治文学賞受賞作
『キジムナーkids』(現代書館刊)
上原正三著

平成31年1月23日発表

選考経過

 平成28年9月1日から平成29年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された95作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作4作品を選定。
 これを、平成30年1月16日(火曜日)開催の第33回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区平河町「ルポール麹町」)で慎重に審査した結果、上原正三著『キジムナーkids』が選ばれた。


 選考委員は、阿川佐和子、五木寛之、川村湊、中脇初枝、西本鶏介、森詠、森絵都の7名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)

受賞者略歴

上原正三

昭和12年沖縄生まれ。中央大学卒業。
シナリオライター。昭和39年「収骨」が芸術祭テレビ脚本部門で佳作入選。
『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」をはじめ、差別や公害問題などを扱い、
タブーに向き合う脚本家として昭和のヒーロー番組を先導してきた。

受賞者コメント

 拙著『キジムナーkids』が「坪田譲治文学賞」にノミネートされたと聞いて、正直意外でした。盗みかっぱらいをする悪ガキや米兵相手に売春をする少女が主人公だからです。そして文学賞受賞の知らせを受けた時には、「ホント?」過分な評価を頂いたことに驚いてしまいました。坪田譲治先生は児童文学の先駆者です。僕も『ウルトラマン』や『秘密戦隊ゴレンジャー』など50年にわたり特撮番組のシナリオを書いてきました。坪田先生が子ども世界に注ぐ視線に少し近づけた気がします。それが何よりの喜びです。

作品の概要

 太平洋戦争末期、多くの住民が犠牲となった沖縄地上戦。この戦中戦後を生き抜いた少年たちの物語。洟タレで怖がりの主人公ハナー、10.10空襲で片腕を失ったポーポー、祖父に代わって家計を支える決意をするハブジロー、家族の集団自決を目の当たりにしたベーグァ、米司令官のオンリー(現地妻)を母親にもつサンデー。戦争で傷ついた少年たちは沖縄の伝説の精霊「キジムナー」を拠りどころとし、強く、逞しく成長していく。戦後の沖縄はヤマトの手が及ばなかったため標準語を強いられず、占領下であっても琉球人が伸び伸びと生きられる自由があった。その奇跡的なひと時を、子どもの視点で描いた「ウチナー版スタンドバイミー」。とかく暗くなりがちなテーマをのびやかに陽気に語り、尊厳を失わなかった少年たちの描写は今を生きる大人たちに溢れる勇気を与える。沖縄が強いられてきた多くの痛みと豊かなウチナーグチ(沖縄ことば)を織り交ぜた、新しい沖縄文学の誕生である。

選考委員 森詠氏(小説家)のコメント

 平成29年度の第33回坪田譲治文学賞は、選考委員会が慎重に審査した結果、全員一致で上原正三さんの『キジムナーkids』に決定した。
 『キジムナーkids』は敗戦後、米軍に占領された沖縄で、著者の分身らしい主人公を中心にした悪ガキ五人が、食い物もろくにない貧しい生活にもめげず、みんなで逞しく生きていく物語だ。(キジムナーとは琉球語で神聖な熱帯樹ガジュマルに棲む妖精である。)
 子どもの純粋な目で見た占領下沖縄の現実と悲惨は、私たちが忘れかけている戦争の記憶を思い起こさせる。著者の実体験に基づいただけに書かれている逸話は生々しく、胸を苦しくさせる。本書はまさしく坪田譲治の子どもの世界にも通底している。

お問い合わせ

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